全国910進学校の進路指導教諭が選ぶ
イチ押しの大学はここだ!

ランキング 安田 賢治
全国910進学校の進路指導教諭が選ぶ イチ押しの大学はここだ!

10月になって、初めて実施する共通テストの出願が締め切られ、総合型選抜が始まり、学校推薦型選抜のスタートも近づいてきた。コロナの影響で共通テストはセンター試験と異なり急遽3回実施されることになった。日程が変わり、コロナ禍の影響を受ける来年入試は混迷を深めている。情報も少なく、志望校選びが難しくなった。志望校をどう選んでいけばいいのか、進路指導教諭にオススメの大学を聞いた。


共通テスト初年度となる来年入試は混迷を深めている。センター試験の替わりに実施される共通テストは、紆余曲折の末に民間英語試験の成績利用、記述式問題の出題が見送りになった。多面的評価の柱であったジャパン・イー・ポートフォリオも運用を停止。その結果、共通テストはセンター試験とあまり変わらなくなった。


ところが、新型コロナウイルス感染拡大によって入試日程が大きく変更になった。センター試験では、本試験と追試験の2回の実施だったが、来年は3回になる。コロナ禍によって、学校が3か月近く休業していたこともあって、学業に遅れが生じている。その生徒の救済の意味がある。第一日程は1月16日、17日、第二日程は1月30日、31日で、どちらも全国の試験会場で実施される。高校生は学業遅れがあると判断して、在学校の学校長の許可があれば第二日程を選択できる。浪人生は第二日程を選択できない。第二日程は第一日程の追試も兼ねている。さらに、第二日程の追試として特例追試が2月13日、14日に実施される。


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文部科学省は高校生にどの日程を受けるか、意向調査を行った。7月末日現在で、第一日程は43万1千人、第二日程は3万2千人が受検予定だ。9割が第一日程を受けることになる。大学通信は注目を集める来年入試について、全国の進学校2000校にアンケートを行い、過去最高の910校から回答を得た。その中で「どちらの日程の共通テストを受検するか」(グラフ1参照)の質問に、9割の学校が第一日程と答え、高校生の意向調査と同じ結果となった。


第二日程受検のほうが有利との声も聞かれる。なぜなら、第一日程の問題を見て対策を立てられるからだ。ただ、国公立大の出願締め切りが2月5日のため、試験終了後の対策を立てる時間が少なくなる。共通テストのできが芳しくなく、志望校変更するにしても検討の時間が短いのだ。さらに、1月30日、31日には関西で人気の龍谷大、近畿大などが一般選抜を実施する。進路指導教諭の代表的な意見としては、「第二日程では、国公立大への出願や二次試験への対策の時間がない、私立大入試への対応を考えると時間的に厳しい」(岡山・公立高)ということだ。その他、学習遅れを取り返せていることを理由に挙げる学校も多くあった。なかには、「学校としては、第一日程受検を勧めていますが、生徒が第二日程を受けたいと言えば許可する方針なので、最終的に受検者数がどうなるかはわかりません」(東京・私立高)という意見もあった。


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次にアンケートでは、来年入試の傾向についても聞いている(グラフ2参照)。その回答を見ると多い順に「安全志向がさらに強まる」76.9%、「学校推薦型選抜(旧・推薦入試)や総合型選抜(旧・AO入試)が人気になる」66.9%、「地元志向が強まる」55.6%、「現役での進学志向がさらに強くなる」53.6%で、これらが回答のほとんどだった。


近年の入試の特徴である、安全志向、地元志向、現役進学志向がさらに強まりそうだ。回答を見ると、「安全志向が強まり、学校推薦型・総合型選抜での入学者が増え、一般選抜は厳しくなる。コロナの影響で東京の大学の人気が落ちる」(東京・私立高)、「コロナで休校中に学習がしっかりやれた生徒、学校が有利。中堅と言われる大学の難化は今年と同様か。今後コロナが再流行すれば混乱が起きる」(神奈川・公立高)、「受験生の不安から早い時期の入試を選択する生徒が多くなる。一般選抜を選択する受験生は大きなチャンス」(静岡・私立高)、「地方から都市部への進学は減少すると思う。各大学のコロナ対策(予防対策、講義対策、テスト対策、就職支援など)も大学を選択する上で重要な要素のひとつになると考えられる」(宮崎・公立高)などだ。


共通テストは問題の難易度が上がって平均点が下がると予測されており、安全志向が強まりそうだ。過去問がないことも不安に拍車をかけている。コロナ禍があり、来年の一般選抜の頃に感染拡大があるかもしれない不安から、早く進学を決めたいと考え、学校推薦型選抜、総合型選抜が人気になるとの予測だ。東京や大阪では感染者が増えているので進学するのは怖いし、大手の大学に入学しても今年は後期もオンライン授業で大学に行けず、友達もできないのなら、地元の大学のほうが友達も近くにいて安心ということだろう。


今年のコロナ禍で、もっとも不安を感じたのが、子どもを1人暮らしさせて大学に通わせている保護者だった。来年は感染拡大がどうなるのか次第だが、ますます地元大学への進学志向が高まりそうだ。


アンケートでは、各項目別に、進路指導教諭にオススメの大学を挙げてもらっている。5校連記で記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次を4ポイント…として計算し集計した。