全国910進学校の進路指導教諭が選ぶ
イチ押しの大学はここだ!

ランキング 安田 賢治

全国910進学校の進路指導教諭が選ぶ イチ押しの大学はここだ!

まずは表Aの「面倒見が良い大学」だ。トップは16年連続で金沢工業大。進路指導教諭からも「しっかりと学生を一定レベルになるよう指導している」(岩手・公立高)、「学生がやりたいことを妨げずに挑戦できる大学」(新潟・公立高)、「高校在学中からは想像もできなかったような就職、進学をしている」(兵庫・公立高)、「面倒見が良い大学といえば金沢工大と言われるくらい有名で、実際に生徒が進学して納得」(愛媛・私立高)などの声が寄せられた。


入学後の授業、学生生活、部活動、就職などへのサポートの手厚さが評価されている。企画部の志鷹英男次長がこう話す。


「数理系の知識が道具として使いこなせることが必要で、それが社会にどう役立っているかを可視化することで、学生のやる気を引き出しています。例えば課外活動になりますが、学生と教員が一緒になってソーラーカーやロボットを作って大会に出るなどの活動をする夢考房がありますが、そこで自分が学んだことを活かせており、逆に自分が知らなかったことに出会うと、学びにつながるなどのいい循環になっています」


かつては「大学から出される課題が日本一多い」と言われ、敬遠されていた。それが近年では魅力に変わり「勉強する大学」、「勉強させる大学」として人気になってきている。


2位は東北大、3位は武蔵大、4位は国際教養大、5位は明治大だった。今年はこのランキングに異変が起きた。大手大学が上位に進出したのだ。14位の中央大は昨年の48位から上昇、立教大は86位から18位に躍進した。今までの受験生や学生ファーストの様々な取り組みが評価されたと見られるが、その他にも今年ならではの理由もありそうだ。それがコロナ禍への対応だ。大手大学の中でも、オンライン授業を初期に導入すると発表したのは立教大だが、中央大も3月には「学生支援指針」を公表し、4月1日にはオンライン授業への切り替えを公表している。奨学金制度の充実、学生への支援に早く対応したことが、評価されているようだ。


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次に表Bの「就職に力を入れている大学」を見てみよう。トップは11年連続で明治大。学生の就活サポートに力を入れていることで知られている。今年の就職先企業を見ると、楽天43人、りそなホールディングス42人、日本電気38人、TIS30人、SMBC日興証券29人など。この他、東京特別区60人、国家公務員一般職56人が就職者トップツーで、公務員試験対策にも力を入れている。


次いで金沢工業大、九州工業大、法政大、立命館大、福井大と続いた。ランキングには実就職率(就職者数÷<卒業生数-大学院進学者数>×100)が高い大学も多くなっている。卒業生数1000人以上でトップの金沢工業大が2位、2位の大阪工業大は17位、3位で国公立大12年連続トップの福井大が6位、5位で10年連続女子大トップの昭和女子大が10位に入っている。地域別にみると、北海道・東北、北陸・東海は金沢工業大、関東・甲信越は明治大、近畿は立命館大、中国・四国と九州・沖縄は九州工業大がトップだった。


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表Cの「教育力が高い大学」のトップは14年連続で東大だ。2位は京大、3位は東北大で、旧7帝大がトップ3を独占した。進路指導教諭の東大への評価は「学生が主体的で学ぶ姿勢を重視し、高い水準での授業が行われている」(兵庫・公立高)、「優秀な学生や教授から刺激を受けられる」(福井・公立高)、「研究環境に恵まれ、学生が成長する機会が多い」(福岡・公立高)などだ。トップ3の大学に共通するのは、学生や教員の質が高いことだ。「教育力に関しては大学の難易度に比例している」(栃木・公立高)との意見もあった。4位は公立大トップの国際教養大、5位は大阪大、6位は私立大トップの東京理科大だった。東京理科大について、進路指導教諭の評価を見ると、「本校から入学した生徒が能力を伸ばし、就職後も活躍している」(茨城・私立高)、「図書館を利用している人の多さ、学習意欲を高めている」(東京・私立高)などだ。

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