全国857進学校の進路指導教諭が選ぶ
イチ押しの大学はここだ!

ランキング 安田 賢治
全国857進学校の進路指導教諭が選ぶ イチ押しの大学はここだ!

まずは表Aの「面倒見が良い大学」だ。

トップは15年連続で金沢工業大。進路指導教諭からも「理系分野の基礎基本から力をつけるカリキュラム」(北海道・公立高)、「教員に親近感をもて、生徒の目的意識を高めている」(富山・公立高)、「入学後の生徒の変容ぶりから面倒見の良さを感じる」(岐阜・公立高)、「授業、就職など、きめ細かく指導している」(愛媛・公立高)など高評価だ。リメディアル教育の充実を評価する声が多かった。

2000年から他大学に先駆けて数理工教育研究センターを設置し、高校の数学・理科の復習から大学の専門領域で活用できる数理学習まで、個別学習指導が受けられる体制を整えている。企画部広報課長の志鷹英男さんがこう話す。

「最近は高校の先生に勧められて進学してくる学生が増えています。先生から『あそこはしっかり学ばせてくれる大学だから、進学して鍛え直してもらいなさい。宿題もあって必ず大学の教員が目を通し、学習指導にも力を入れ、就職でも一流企業に入社できるから』と言われて来たという学生もいます。大学教員が目を光らせていることが、学生、保護者に安心感をもたらしているようです」

他にも「学生アパートの大家さんにまで配慮がなされている」(石川・私立高)という意見があった。志鷹さんがこう説明する。


「75%が県外生ですので、大学周辺に5千人ぐらい住んでいます。大学と提携しているアパートをKIT指定学生寮と呼んでいますが、金沢工大の学生しかいない、大家さんが近くに住んでいるという条件のアパートです。授業を連続して休んでいる学生とかの事情を聞いてもらったり、病気の時は大家さんが看病したりと、いろいろ面倒を見ているところが評価されているのでしょう」

2位は東北大、3位は武蔵大、4位は国際教養大、5位は明治大の順。3位の武蔵大は〝ゼミの武蔵〞といわれるほど、ゼミナール形式の授業が有名だ。このゼミナールは少人数教育で、今でいう双方向で授業を進めるアクティブ・ラーニングにあたる。武蔵大は昔から実践しており4年間必修だ。進路指導教諭の評価もゼミと少人数教育について多かった。

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次に表Bの「就職に力を入れている大学」を見ていこう。トップは10年連続で明治大。学生の就活サポートに力を入れ、有名企業に強いことで知られる。

今年の就職先企業を見ると、日本郵政グループ39人、みずほFG35人、富士通31人、大和証券グループ本社、りそなホールディングス各30人、NEC28人、凸版印刷27人などだ。次いで金沢工業大、九州工業大、立命館大、法政大、福井大の順だった。

ランキングには実就職率(就職者数÷〈卒業生数-大学院進学者数〉×100)が高い大学も多くなっている。卒業生数1000人以上で実就職率トップの金沢工業大が2位、3位の大阪工業大は20 位、4位で9年連続女子大トップの昭和女子大が11位、5位の国公立大11年連続トップの福井大が6位に入っている。この高い実就職率は、進路指導教諭の評価を大きく変える要素のひとつになっている。

10年前の「就職に力を入れている大学」の評価では、福井大は157位、昭和女子大は99位で、そこからの躍進だ。就職支援力に対する評価を地域別に見ると、北海道・東北と関東・甲信越は明治大、北陸・東海は金沢工業大、近畿は立命館大、中国・四国と九州・沖縄は九州工業大がトップだった。

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表Cの「教育力が高い大学」のトップは13年連続で東大だ。2位は京大、3位は東北大で、旧7帝大がトップ3を独占した。

進路指導教諭の東大への評価は「国際的にみても、競争力のある教員、設備、学習環境が充実している」(神奈川・私立高)、「優秀な学生の向学心を満足させるような教育内容で、進学した生徒の満足度も高い」(静岡・私立高)、「研究費が多く、教員と学生の質が高く、互いの刺激になっているから」(愛知・公立高)などだ。

4位は公立大トップの国際教養大、5位は大阪大と私立大トップの国際基督教大だった。

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