教育力が高い大学ランキング2022(近畿編)
写真=京都大学
多くの受験生が迷うのが志望校選び。そこで頼りになるのがエキスパートの意見だ。全国の進学校2000校に、進路指導教諭おすすめの大学についてアンケートを行った。各項目5校連記で大学を記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次の大学を4ポイント…として集計しランキングを作成した。今回は「教育力が高い大学ランキング(近畿編)」だ。
1位は京都大学で288ポイント。指定国立大学法人として2017年に掲げた4つの目標のうち、「次世代を担う若手研究者の育成と若い頭脳の国際循環」という目標のもと、2021年に「大学院教育支援機構」をスタートさせた。同機構では大学院生に対する経済支援を拡充するとともに、博士人材が幅広く活躍するための多様なキャリアパスの整備を進めていく。大学が恒常的かつ長期的に優れた研究成果を生み出していくためには、大学院の役割が非常に大切であり、優秀で意欲ある学生の進学を促す環境づくりが喫緊の課題だ。大学院生への国際教育(海外短期留学、海外インターンシップなど)の支援のほか、留学生のリクルーティングなどを通じて多様な人材を獲得・育成するとともに、その才能を世界に還元する「頭脳循環」の加速を目指している。
2位は大阪大学で97ポイント。国立大学の中で外国語学部を有する唯一の存在となった同大ならではの教育プログラムに、部局横断的に展開される「マルチリンガル・エキスパート養成プログラム」がある。このプログラムでは、文系学部と一部の理系学部がそれぞれの専門分野の授業を提供し合うことで、多言語・多文化に精通し、現代世界の喫緊の課題に取り組む専門的な知識を備えた、グローバルに活躍できる人材を育成することを目指している。例えば、外国語学部の学生が工学部のプログラムに参加して工学の基礎を学んだり、法学部の学生が外国語学部の専門教育レベルの語学プログラムに参加して多様な言語を学んだりと、学部や研究科の枠を越えたさまざまな学びの機会を提供している。
3位は同志社大学で12ポイント。同大は、全学生を対象とする全学共通教養教育科目の改革を進め、「クリエイティブ・ジャパン科目」の設置や英語教育の新カリキュラムの構築などに加え、「同志社データサイエンス・AI教育プログラム(DDASH)」を開設。文理を問わず「数理・データサイエンス・AI」に関する知識・技能を身につけ、専門の学修や社会生活でこれらを道具として活用し、新たな価値を創造できる人物の養成を目指す。学部レベルでは3段階のプログラムで構成し、文科省の数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)に準拠した「DDASH-L」を開設。2023年度以降は同(応用基礎レベル)に準拠する「DDASH-A」と、これらを包含する「DDASH副専攻」の開講を予定している。
4位は同志社女子大学など5大学が10ポイントで並んだ。
同志社女子大学では、段階的な学びを通して確かな専門性と豊かな教養を育む教育を行っている。1年次は「基礎教育科目」「導入科目」で専門分野の基礎を学修しながら研究・学修方法を身につけ、主体的に学ぶ力を養い、2年次は「入門・概論科目」「基礎科目」で各分野の基礎力、専門性を高める。3年次の「応用・各論科目」「基幹科目」「実技実習科目」で専門性を深化させ、4年次(薬学部は6年次)の「ゼミナール科目」「卒業論文」「卒業研究」で学びを結実。大学で学んだ知識・スキル・体験を互いに関連づけ、社会に生かす方法を考える。また、創立150周年を迎える2026年に向け「21世紀社会を女性の視点で『改良』できる人物の育成」をコンセプトとする「VISION 150」を2017年に策定。2022年からは、この長期計画も第2期に入り、29のアクションプランの実現を推進していく。
<表の見方>
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全国の約2000進学校を対象にアンケートを行い、624校から回答を得た。各項目ごとに5校を選んで順位をつけてもらい、1番目の大学を5ポイント、2番目を4ポイント……として集計した。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立を表す。