来年度入試はどうなるか
大学入試改革とコロナ禍は2022年度入試にも影響

入試 小松 栄美
来年度入試はどうなるか 大学入試改革とコロナ禍は2022年度入試にも影響

共通テスト難化で、安全志向、地元志向は変わらず

2021年度は、初めての大学入学共通テストが行われた。新型コロナウイルス感染症の流行で生活が一変する中、入試では安全志向と地元志向が前年にもまして強まった。改革2年目となる22年度入試はどうなるのか。

まず、21年度入試を振り返ってみよう。

大学入学共通テストは、現役志願者数がほぼ昨年のセンター試験並みだったのに対して、浪人が19%も減少した。平均点は予想を上回り約6割と高かったため、国公立大志願者数は、共通テスト志願者の減少率を上回る3%減。国立難関大では地元受験生が多い東北大、名古屋大、九州大などで志願者数が増加し、全国区型の東京大、京都大、北海道大で減少した。もうひとつ特徴的なのは、新型コロナウイルス感染症の流行に備えて二次試験の負担を軽減した横浜国立大などで志願者の減少が目立ったことだ。

一方、私立大入試は、一般選抜の志願者数が昨年より12%減った。これほどの大幅減は近年例がなく、戦後最大の減少だ。現役進学にこだわり併願校数の多い浪人生が減ったことも志願者減の一因だ。現役生は指定校推薦などを利用して早めに合格を決めたこと、コロナ禍でオープンキャンパスや合同相談会に参加できず併願校選びが限定されたことも影響した。

また、せっかく都市部の大学に進学しても、授業がリモートでは新しい友人もつくれない。これも地元志向を後押ししたようだ。

22年度入試は、今年の大学入試改革とコロナ対策を受け継いで実施される。

2年目となる大学入学共通テストは、難化しそうだ。過去の例では大学入試センター試験、その前身の共通一次試験ともに2年目は平均点が下がった。もともと想定されていた得点率の5割となるように問題がレベルアップすると考えられる。平均点が下がれば、安全志向は必至だ。さらに、21年度の二次試験志願者数に極端な増減が見られた大学では「隔年現象」に注意したい。共通テストの平均点が下がれば、受験校のランクを下げたり、前年の倍率が低かった大学を志望するのが受験生心理だからだ。なお、21年度に設けられたコロナ対応の第2日程は廃止され、本試験の2週間後に追試験が行われる。

今年は募集要項公表後の入試変更や、オンライン入試で不具合が起きたケースがあったが、22年度はそうしたことがないように文部科学省では各大学へ配慮を求めている。

22年度入試もコロナ禍の中で受験生は大学受験に臨むことになる。安全志向、地元志向が変わることはなさそうだ。