海外名門大学に強い学校
日本のグローバル化が進み、大学受験にも影響が出始めている。日本の大学の世界ランキングでの順位が話題になり、高校卒業後すぐに海外の大学に進学する受験生も増えてきた。海外大学進学に強い学校はどこか探った。
近年、高校卒業後、すぐに海外大学に進学する高校生が増えている。かつて日本の大学入試が厳しい時代に、日本の有名大学に合格できないため、進学先を海外の大学に求めた受験生もいた。まだ、海外の大学の様子もよくわからない中で、手探りで進学して卒業していた。
ところが、こういった日本の大学受験失敗組の挑戦が多かった時代から時は流れ、近年は大きく変わってきている。日本のグローバル化が進み、高校を卒業してすぐに海外大を目指す受験生が増えているのだ。東大と海外の大学にダブル合格し、東大を蹴って海外の大学に進学する生徒も出てきている。
こうなってきたのは、海外の大学の実情がわかってきたことや、どこの学校にも帰国子女やネイティブ教員がいることで、海外の大学が身近になってきたことがある。中高でも修学旅行やフィールドワークで海外を訪れたり、長期休暇を活用した海外研修というのも珍しいことではない。海外大に進学することが、特別なことではなくなってきている。
さらに、最近では海外の学校と同じように、授業がすべて英語のIB(国際バカロレア)校が公立を含め国内に設置され始めている。また、東京の文化学園大杉並のように、日本の高校とカナダの高校、両方の卒業資格を手に入れられるダブル・ディプロマ制を取る学校も出てきた。カナダの高校卒だと海外大へ進学もしやすい。来年からは、東京の国本女子もダブル・ディプロマ校になる。
こういった教育のグローバル化にあわせ、国も児童、生徒の英語力向上に力を入れ始めている。2020年から小学校5、6年生で英語が外国語科という教科になり、算数や国語と同じ扱いになる。大学入試では、センター試験が大学入学共通テストに替わり、英語の試験が4技能(読む、聞く、書く、話す)重視に変わる。こういった教育のグローバル化、英語教育の充実が進む中で、海外大学への進学も盛んになってきている。
そうなると、気になってくるのが世界の大学ランキングだ。なかでも日本の大学の世界での順位はどうなっているのだろうか。世界大学ランキングを見てほしい。
《世界大学ランキング》
順位 | 大学名(国名・地域名) |
---|---|
1 | オックスフォード大(英) |
2 | カリフォルニア工科大(米) |
3 | ケンブリッジ大(英) |
4 | スタンフォード大(米) |
5 | マサチューセッツ工科大(米) |
6 | プリンストン大(米) |
7 | ハーバード大(米) |
8 | エール大(米) |
9 | シカゴ大(米) |
10 | インペリアル・カレッジ・ロンドン(英) |
11 | ペンシルベニア大(米) |
12 | ジョンズ・ホプキンズ大(米) |
13 | カリフォルニア大バークレー校(米) |
13 | スイス連邦工科大チューリヒ校(スイス) |
15 | ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(英) |
23 | 清華大(中国) |
24 | 北京大(中国) |
25 | シンガポール国立大(シンガポール) |
35 | 香港大(香港) |
36 | 東京大 |
47 | 香港科技大(香港) |
48 | 南洋理工大(シンガポール) |
57 | 香港中文大(香港) |
64 | ソウル大学校(韓国) |
65 | 京都大 |
80 | 中国科学技術大(中国) |
89 | 成均館大学校(韓国) |
「Times Higher Education」世界大学ランキング2020
上位15大学と100位以内のアジアの大学を掲載
トップはオックスフォード大、2位はカリフォルニア工科大、3位がケンブリッジ大だった。トップ3にイギリスの大学が2校入っている。4位はスタンフォード大、5位はマサチューセッツ工科大だった。アメリカの有名大学も上位に来ている。
アジアの大学トップは中国の清華大で23位、北京大が24位、シンガポール国立大が25位となっている。日本の大学トップは東大の36位、次いで京大の65位。世界の中では日本の大学のランキングは低い。教育ジャーナリストの小林哲夫さんはこう話す。
「日本の大学がトップ10に入るには、論文の引用数を増やすことや、キャンパスのグローバル化を進めることが必要です。教員の論文数をもっと増やすことはもちろんのこと、優秀な学生を世界から集めて、学生の2〜3割は留学生にするとか、さらに制度を変えて海外の研究者を受け入れやすくし、ノーベル賞を受賞した教員を高給で教鞭をとってもらうとか、こういった施策を行わないことにはランクは上がっていかないでしょうね。もう10年ぐらいはかかるのではないでしょうか」
アジアの大学の中には、日本の海外大進学実績が高い学校に、説明会を開いたりするスカウト活動に力を入れているという。日本からの留学生を増やすことで、世界の大学ランキングの順位を上げる狙いがあるようだ。