伸びている学校はここだ! 2010年と2020年の大学合格者数を比較 総合第1位は東京都市大付!早稲田大でトップなど難関7大学でランクイン

伸びている学校はここだ! 2010年と2020年の大学合格者数を比較 総合第1位は東京都市大付!早稲田大でトップなど難関7大学でランクイン

写真=東京都市大学付属中学校高等学校

学校選びで注目したいのが大学合格実績だ。大学合格実績は学校の教育力を見極めるのに重要なデータになる。ここで注意したいのは、今年の入試結果だけで判断しないということだ。過去から近年にかけての動向を追うことによって、学校が伸びているのかどうかをチェックしよう。ここでは、今年と10年前の大学合格実績を比べ、伸びている学校はどこかを探っていく。

皆さんはどうやって志望校を決めているのだろうか。楽しい学校生活を送るために、学校に求めるものは何か。将来やりたいことが勉強できる学校、部活動が盛んな学校、家から通いやすい学校、自分の成績に合った学校――いろいろな基準で学校を見ることが大切だ。

ここではたくさんある基準の中から、大学合格実績に焦点を当て「伸びている学校」を見ていこう。合格実績の数字を追うだけでなく、自分の目指している進路とあわせて見てほしい。その学校の特色が、生徒を送り出す大学の傾向と関係していることも少なくない。大学合格実績を知ることは、その学校のことをよく知るきっかけにもなる。国公立大に強いのか、理系の大学に合格者が多いのかなどでも学校の教育方針が明らかになる。

ただ、前年度の合格実績だけを見て手っ取り早く判断しては、誤った評価をしてしまう可能性もある。例えば、東大合格者1人を出した学校があったとする。これが1年限りのものだった場合と、毎年コンスタントに東大合格者1人を輩出している場合とでは、学校の評価は大きく変わってくる。前者であれば、たまたま優秀な生徒が在籍していただけで、学校の指導による実績とは考えにくいこともある。後者であれば「学校の教育力」が高いというのが自然な判断だろう。教育力の低い学校で、毎年連続して東大合格者が出ることはあまり考えられないからだ。このように、学校の合格実績を正確に知るためには、過去のデータも含めた形で見ていくことが重要だ。

大学入試では就職を視野に入れた志望校選びが主流に

大学別合格実績を見ていく前に、近年の大学入試の傾向を見てみよう。

近年では大学受験にも就職という要素が重要になってきている。女子の理系学部進出が顕著になってきているが、これは手に職をつけることを意識している生徒が増えたことが影響している。とりわけ女子のトップ層では医学部が人気だ。薬学部は2006年から薬剤師国家試験受験資格を得るのに大学で6年間学ばなければならず、人気が急落した。しかし、6年制になって初めての卒業生が出た12年以降、就職は売り手市場となり、就職率100%の薬学部があるほど好調だった。その結果、志願者が大きく増えたが、近年は国家試験の難化に伴い、就職率が低くなっていることから、私立大を中心に再び人気が下がっている。人気が高いのは、看護やリハビリテーション系など医療系の学部・学科だ。特に看護はいろいろな大学に設置され、人気が高くなっている。いずれも国家試験合格までは厳しい道のりだが、合格すれば就職は他学部に比べて有利だ。大学生の就職状況が良くなったことから、経済や経営、商学、法学など、社会科学系の人気も高くなっていたが、ここ数年落ち着いてきている。

大学入試改革を見据え しっかりとした対策が必要

大学入試の受験生の志望動向では、やはり学費の安い国公立大が人気で、この傾向は首都圏以外の学校で特に強くなっている。

人気の高い国公立大だが、19年は志願者が8年ぶりに増加したものの、20年は再び減少に転じ、6.4%減となった。内訳を見ると国立大が7.0%減、13年から7年連続で増加していた公立大も5.2%減となっている。これは今年のセンター試験の志願者が2万人近く減少したことなどが影響したと見られる。減少したとはいえ、公立大の方が減少幅が小さく、国立大を避けて、より合格可能性の高い公立大を志望する受験生の安全志向は続いているようだ。

センター試験とは1990年にスタートした、共通一次試験の後継の試験だ。国公立大入試では、センター試験が1次試験の成績となり、その後大学独自の2次試験を受験して合否が決まる。今春はセンター試験の平均点が国語・数学・英語の主要科目を中心にダウンしたことから、受験生の根強い安全志向により国公立大の志望者は増えなかったようだ。

また、国立大の志願者減は、後期試験を廃止する大学が増えていることも大きな原因となっている。本来、国立大では前期と後期、2回の受験機会があるが、近年、後期は縮小の一途をたどっている。東大は16年入試で後期を廃止して推薦入試を実施、大阪大も、17年から後期を廃止してAO・推薦入試を実施している。国立大が国の行政法人から国立大学法人に独立して入試も自由に行えるようになったこともあり、後期試験を廃止してコストダウンを図る狙いもあるようだ。

前期と後期の2回受験できる大学が減り、国公立大の中でも難関大はさらに狭き門となっている。私立大受験と異なり、試験科目の多い国公立大入試では、学校の通常の授業でしっかりと基礎学力を身につけ、早くから進路を定めて入試対策を講じることが重要だ。また、20年からの大学入試が改革により、21年からはセンター試験に代わる「大学入学共通テスト」が実施される。国公立大を目指している人は、国公立大受験に力を入れている学校を選ぶことも重要になる。受験を視野に入れたカリキュラムを組んだり、進路指導を徹底するなど、学校はさまざまなサポートを行っている。各校独自の取り組みに注目して、自分を伸ばしてくれそうな学校を探すことが大切だ。

私立大入試では16年入試から、文部科学省が大規模大学の入学定員に対する入学者の超過率を厳格化させているため、合格者の絞り込みが進んで試験が難化。安全志向が広がって推薦・AO入試にシフトする受験生が増えた結果、20年の一般入試では難関大から中堅上位大まで、志願者が軒並み減少している。

大学入試改革は私立大志願者にも大きな影響を与える。大学入学共通テストを積極的に活用する大学が数多くあるからだ。また、国公立大・私立大を問わず、これからの大学入試は、単なる知識の暗記だけではなく、それらの知識を活用した「思考力・判断力・表現力」、さらに「主体性」が問われるようになる。こうした力が身につくのかどうかも、学校選びの大事な要素になる。

東大合格者が増えている高校上位20校