千葉商科大学・付属高校の大規模教育改革、2025年始動へ

大学改革 松本 陽一
千葉商科大学・付属高校の大規模教育改革、2025年始動へ

写真=左から内田理事長、宮崎次期学長、高井次期校長、出水大学本部長兼入学センター長

千葉商科大学と千葉商科大学付属高等学校は、10月21日に記者発表会を開き、2025年度から実施される大規模な教育改革について発表した。登壇者には内田茂男理事長、千葉商科大学次期学長の宮崎緑教授、千葉商科大学付属高等学校次期校長の高井宏章氏、大学本部長兼入学センター長の出水淳氏が参加し、大学と高校の一体的な教育方針と未来への展望が語られた。

少子化による課題と今後の方針

発表会の冒頭、内田理事長は、少子化の進行により教育界が直面している深刻な課題について説明した。昨年の出生数は72万7277人に過ぎず、日本の18歳人口は今後大幅に減少する見通しで、18年後にはさらに35%減少すると予測されている。この状況を踏まえ、千葉商科大学は2014年度から経営計画を立て、持続可能な運営に向けた改革を進めてきた。

「2014年には全学部で定員割れを経験しましたが、その後は一度も定員割れを起こすことなく、経営の安定化を図っています。経営計画も第1期、第2期を終え、2025年度からはさらなる改革を行います」と内田理事長は語り、今後は付属高校との連携を強化しつつ、経営と教学が一体となり大学の独自性を強調した改革を進める方針を示した。

宮崎緑次期学長の抱負

2025年4月に千葉商科大学の学長に就任予定の宮崎緑教授は、AIの社会実装やSNSの台頭で社会が大きく変化し、大学の役割も変わってきていると指摘。「今後の社会では、高い倫理観と問題解決能力を持ったリーダーが必要です。これは、千葉商科大学の建学者である遠藤隆吉が提唱した『治道家』に通ずる」と述べた。

宮崎氏はまた、千葉商科大学の元学長である故・加藤寛氏の言葉を引用し、過去に彼が「昨今の学問は細分化している。もっとホロニックな学問へと練り直すべきだ」と語っていたエピソードを紹介した。宮崎氏は「その構想を現代にふさわしい形でさらに進化させ、アカデメイアの構築を目指す」と述べ、改革への強い意欲を示した。

付属高校との連携と7年制教育

千葉商科大学付属高等学校との連携も強化される。高井宏章次期校長は、大学と高校を一体化させた7年間の高等教育プログラムを充実すると発表。高校の探究の授業では、すでに大学と連携したカリキュラムが実施されているが、今後は生徒が高校在学中に金融リテラシーを学び、大学でその知識をさらに深められるような体制を整えていく。

「金融リテラシーは、社会に出てから学ぶ時間が限られています。高校の3年間でしっかり知識を身に付け、さらに大学で学ぶことで、他の人にも教えられるようになってほしい」と高井氏は話した。また、金融リテラシーを通じて、生徒が答えのない問題に自分で答えを見つけられるようになり、より自立した人間に育ってほしいとも語った。

教育改革の具体的内容

大学本部長兼入学センター長の出水淳氏は、2025年度に予定されている大学改革の詳細を説明した。今回の改革により学部学科数は5学部7学科から4学部6学科に。教育研究領域の括り直しにより、4割以上の教員が異動の対象となる大規模な再編が行われた。改革の大目的は、「学修者本位の教育体制の強化」であり、学生は所属学部の学びに加えて、自らの成長に寄与するための、他学部、全学共通の幅広い科目を履修できるようになる。

出水氏は「来年4月に向けて教職一体で準備を行ってきた。特に、カリキュラムを作りには膨大な会議議論を要した。今回の教育改革で、学生の幅広い興味関心をきちんと受け止められる体制にする」と抱負を述べた。