神戸女学院大学が「生命環境学部」を新設–文系・理系問わずチャレンジできる理系学部

大学改革 ライター 松平 信恭
神戸女学院大学が「生命環境学部」を新設–文系・理系問わずチャレンジできる理系学部

写真=2/20の取材会にて  左から西特別客員教授・高橋教授・高岡教授・高木専任講師(4月着任予定)・笠原建築分野アドバイザー

神戸女学院大学は2025年度、新たに「生命環境学部」を開設する。新学部の概要や学びの内容を、2月20日に実施された取材会からいち早くお伝えする。

神戸女学院大学は、現在の人間科学部環境・バイオサイエンス学科の教育内容を発展させる形で、2025年度に「生命環境学部」を新設する(※)。

同大は、1948年に新制大学になった際、家政学科を設置。家政学科は1967年に家政学部として独立し、1993年に人間科学部に改組された。この歴史の中で、生化学や食品学、数理統計学、住居学といった理系教育に長年取り組んできた。新たな生命環境学部にはデータサイエンスや建築といった学問分野を取り入れ、リベラルアーツの理系分野を深化させることで、持続可能な「Well Being」の実現に向けた教育を推進する。

同学部の定員は1学年80人。人と自然の理想的な在り方をフィールドワークや実験・実習を通して探る「環境科学」。身体の構造や食と健康などの基礎を学び、身の回りの課題を細胞や遺伝子レベルで解明する「生命科学」。情報技術を活用しながら、データの収集・分析・解析力など社会でも役立つ知識とスキルを身につける「情報科学」。科学的知識をもとに、他者に科学を分かりやすく伝え、科学と社会をつなぐ方法を学ぶ「サイエンスコミュニケーション」。これら4つの専門分野を横断的に学べるカリキュラムが特徴だ。

全ての分野の学びの基盤として「データサイエンス」を位置づけている点にも注目。学部生全員が、多様なデータの処理・分析能力など理系分野へ応用できる実用的なデータサイエンスを修得。データサイエンスを道具・技能として、専門分野の学びに生かしていく。

「環境科学」領域へ新たに加わる建築分野では、建築の保存・再生に関する学びに特に力を入れる。重要文化財にも指定される同大キャンパスの建物を教材として、古い建物を残しながら時代に合わせた改修を行い、使い続けていくことを目指す「持続可能な建築」を学ぶ。木造建築に関する学びも充実しており、卒業後は2級建築士と木造建築士の受験資格を取得可能だ。

建築は人間を含めた「環境」を考える学問分野。分類上は理系とされるものの、中身は総合的で、文系的な内容も多い「リベラルアーツ」の学びだ。教科書だけから学ぶのではなく、同大が立地する岡田山の豊かな自然と充実したキャンパスでの学生生活を通じて、持続可能な社会を作っていく方法を肌感覚で学んでいく点は、他の専門分野でも同様だ。

理系分野は「数学が苦手だから」という理由から敬遠されがちだが、大学入学後に必要とされるのは興味のある分野に関する数学だ。神戸女学院大学は興味と意欲のある文系出身者のチャレンジを後押ししており、入試は国語と英語でも受験可能。理系科目に苦手意識がある人に向けた「数学入門」「生物入門」といったリメディアル教育も充実している。

理系分野の学びから身につく論理的思考は社会で生きていく上でのリテラシーとして重要度が増しており、どんな分野でも必要とされる能力だ。同学部は卒業後、研究者、理科教員、建築士など、理系企業を含む幅広い進路選択が可能。その傍証として、現在の環境・バイオサイエンス学科では、食品・製薬・化粧品・医療機器関連・国立研究所といった理系分野に進んだ卒業生が数多くいる。また、卒業生の10人に1人が大学院に進み、そのうち半数以上が国公立の大学院に進学している(2023年3月卒業生)。身近な生活環境から大きな地球環境まで、幅広い自然科学分野に興味を抱く女性たちをサポートする新たな学部には、女性の理系人材へのニーズが高まる社会からの大きな期待が寄せられそうだ。


◎注釈
※「生命環境学部(仮称)」は設置予定・構想中。名称・内容などは予定につき、変更される場合がある。