写真＝明星大学
今回は小学校教諭の就職者が多い大学を紹介する。小学校教諭を多く輩出している大学では、どのような取り組みを行っているのか。順に見ていこう。
1位は318人の愛知教育大学。2位は313人の北海道教育大学、3位は303人の福岡教育大学がランクイン。4位は237人の東京学芸大学、5位は209人の岐阜聖徳学園大学、6位は206人の大阪教育大学、7位は179人の明星大学、8位は178人の文教大学、9位は175人の玉川大学が続いた。
1位の愛知教育大学は、1873（明治6）年に開校した愛知県養成学校が前身。2021年度に「学校教員養成課程」は、「幼児教育」「義務教育」「高等学校教育」「特別支援教育」「養護教育」の5専攻に改組した。このうち、義務教育専攻の「学校教育科学専修」「生活・総合専修」「ICT活用支援専修」「教科指導系10専修」で小学校教諭一種免許の取得が卒業要件に含められている。「日本語支援専攻」は小学校教諭二種免許が卒業要件だ。また、「特別支援教育専攻」においても、小学校教諭一種免許の取得が卒業要件になっている。全課程の学生が受講する共通教育科目の一つ「実践力育成科目」は、学校現場などでの活動を通して子どもたちにふれ、実践的な指導力や教師としての感性を磨く。
5位の岐阜聖徳学園大学は、2022年に創立50周年を迎えた。開学時からの歴史を持つ教育学部で学んだ学生たちが教員としての資質を評価され、長年トップクラスの教員就職率を維持している。「学校教育課程」では、1年次から各専修で教科に関わる専門科目を開講し、教員の資質を早期から磨く。また、実体験を通して教員としての力を高める「クリスタルプラン」は「教職体験科目群」と「子ども理解活動」から構成される独自のプログラム。1年次から子どもたちとふれあう機会を設け、授業や学級経営の参観を経て3年次で教育実習を行い、段階的に実践力を身につける。こうした取り組みを推進する上で、同大では延べ350校を超える実習先（小・中学校、幼稚園）と連携し、学生の学びを支えている。
7位の明星大学は、2023年に学苑創立100周年を迎えた。「教育学部」では、教育の現場を実際に体験する「教育インターンシップ」、他の学生と協働して課題に取り組む「フレッシュマンキャンプ」など、多様な体験や交流を通して幅広い視野を持つ教育者を育成している。「小学校教員コース」「教科専門コース」「特別支援教員コース」「子ども臨床コース」の4つのコースを設置し、いずれのコースも小学校教諭一種免許の取得が可能だ。また、教員を目指す学生のキャリア支援については、「教職センター」が入学後から卒業まで一貫してサポート。インターンシップや実習に関する手続きや校長経験者による指導、教員採用試験対策など、個々に応じた情報提供やアドバイスを行っている。
8位の文教大学は、建学の精神に「人間愛」を掲げ、すべての人を尊重し、思いやる心の育成を実践している。1969年に、教員養成を目的とした私立大初の「教育学部」を開設して以来、数多くの教員を輩出してきた。教育学部は、「学校教育課程」と「発達教育課程」の2課程を設置。「『先生の助手』体験プログラム」など学校現場での実践を通して、理論と実践を融合した学びを推進している。学校教育課程では、教科別の9専修に分かれて専門教科の知識・技能を習得。小学校から高校までの学習体系の理解のもと、小・中・高の学びをつなぐスペシャリストを育成する。発達教育課程では、「特別支援教育」「初等連携教育」「児童心理教育」「幼児心理教育」の4専修を設置。それぞれの子どもに応じた発達支援ができるスペシャリストを育てている。
9位の玉川大学は、教育者である小原國芳が1929年に設立。「教員養成の玉川」として知られている。教育学部は創立者の精神を受け継ぎ、豊かな人間性と人格を育む「全人教育」のもと、多くの教員を輩出している。小学校教諭一種免許の取得が可能なのは、「教育学科」の「初等教育専攻」だ。1年次から幼稚園や小学校などで実際の授業を参観する「参観実習」のほか、玉川学園や学外の学校・保育所などで実施する「教育インターンシップ」、近隣の学校などで学習補助などを行う「教育ボランティア」など、教育現場でのさまざまな体験を通して、教員としての資質を磨き、将来の方向性を見出していく。また、小中一貫教育も視野に入れ、小学校の免許に加えて中学校二種免許の取得も可能だ。
＜表の見方＞
-
医科・歯科の単科大等を除く全国743大学に2022年春の就職状況を調査。558大学から得た回答を基にランキングを作成した。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立。大学名横の＊印は大学院修了者を含むことを表す。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。
