大学受験 入門講座
2020大学入試はこうして行われる!

入試
大学受験 入門講座 2020大学入試はこうして行われる!

今の大学は、保護者世代が受験した30年前とは大きく異なる。時代の移り変わりと同じで、大学も“象牙の塔”と呼ばれるままではない。大学を取り巻く環境、入試制度、人気学部、就職状況、学費など、大きく変わっている。まさに隔世の感といっていいだろう。大学入試の現状はどうなっているのだろうか。この講座で知識を深め、入試についてじっくり考えてみよう。

大学・短大全入時代到来が明らかに

「大学・短大全入時代が到来する」のは、もはや時間の問題。全入時代とは、「大学・短大の入学定員≧大学・短大志願者」になることだ。つまり、大学・短大入学希望者が、進学先を考慮しなければ、全員が必ずどこかの大学・短大に入学できることを意味している。日本中を探せば、必ず入れる大学・短大があるという意味だ。

しかし、全入のような状況は、現実には起こりえない。東京大学、早稲田大学などの人気大学や医師になるための医学部医学科に、浪人しても進学したい受験生はたくさんいるからだ。

浪人生が生まれた分、定員が埋まらない大学・短大が出てくることになる。その割合が高い学校では、淘汰されることに結びつく。

こうなった大きな理由が少子化です。表1を見てほしい。受験生数がもっとも多かったのは1992年で、その後、18歳人口は減少の一途をたどっている。

92年当時の受験生数は約121.5万人で、入学者数が79.6万人。受験生の3人に1人、42万人近くが、大学・短大に入学を希望しながら入学できなかったことになる。大変な激戦入試だった。

それが2018年には、受験生数が約73.0万人で、1992年の入学者より少なくなっている。一方、入学者数は約68.3万人で、進学を希望しながら入学できなかった人はわずか4.7万人だ。大学・短大に進学を希望しながら入学できなかった人は、およそ16人に1人と激減しているのである。

表1 18歳人口と受験生数の推移

以前に比べ、大学に入りやすくなっている

受験生数減もさることながら、大学数が増えていることも全入時代到来に拍車をかけている。4年制大学は1992年の523校から2018年は782校へ259校、約1.5倍に増えた。新設大学だけではない。既設の大学でも学部新設のラッシュが続き、受け皿は広がっている。

特に4年制大学の入学者を1992年と2018年とで比べると、およそ54.2万人から62.9万人に16.1%増えている。逆に短大入学者は減ってる。この間、18歳人口は42.5%減っているから、4年制大学への入りやすさが浮き彫りになってきている。

表2 この5年の私立大の定員充足率

このように、受験生は減り、大学入学者は増えているとなると、各大学にとって定員確保が厳しいことになる。その結果、定員割れの大学も多くなる。表2を見てほしい。これは日本私立学校振興・共済事業団調べのこの5年の定員割れ状況だが、定員割れの私立大の割合は14年から18年まで45.8→43.2→44.5→39.4→36.1%と推移している。

定員割れ校数は、景気の状況や、18歳人口の増減の影響を受けて変動している。リーマン・ショックによる不況が改善されたここ数年は、主に18歳人口の増減により、定員割れ校の増加と減少を繰り返している。

とはいえかつての不況の影響は色濃く、大学入試の志望校の選び方にも大きな影響を与えている。その第一が大学進学にかける経費の削減だ。なるべく安上がりに大学に進学してほしいと考える保護者が多いのだ。その結果が国公立大人気の高さに表れている。近年は確実に合格できる大学を目指す「安全志向」、浪人を避ける「現役志向」、自宅から大学に通う「地元志向」が高まっている。