大学受験 入門講座
2020大学入試はこうして行われる!
国公立大の一般入試はセンター試験の受験が不可欠である。19年のセンター試験には57万6830人が志願した(表3参照)。昨年より5841人(1.0%)減っている。19年は平均点が文系・理系ともにアップし、特に文系は大きく上がった。
かつては、センター試験の平均点がアップすると、国公立大の志願者が増え私立大の志願者が減り、逆にセンター試験が難化し平均点がダウンすると、受験生は弱気になって国公立大志願者が減り、私立大志願者が増える傾向にあった。センター試験が難しいことは受験生全員に共通のことだが、どうしてもこのような状況が毎年繰り返されてきたのである。
ただ、近年はこうした傾向が影を潜めている。国公立大の志願者は、センター試験の平均点に関係なく連続で減少してきた。19年は8年ぶりに増加に転じたが、国立大だけの集計では減少が続いている。
国公立大人気は高いが、難関大学を中心に後期の縮小もしくは廃止が進んでいるため、出願したくてもできない状況にあるからだ。さらに、現行の教育課程になって、国立大のセンター試験のハードルが高くなった影響もある。理系の受験生は専門理科を2科目受ける必要があり、数学も学ぶ範囲が広がった。そのため私立大に志望変更する受験生が増えているのだ。
一方、私立大はセンター試験の平均点に関係なく、近年、志願者が増え続けている。これは、国立大からの志望変更に加え、入試方式の多様化や受験料割引、ネット出願の普及などにより、出願しやすくなったためだ。
さらに、16年から大規模大学を中心に、入学者が募集定員を超える割合が厳しく制限されたため、合格者が減っている。志願者が増えているところに合格者が減少しているので、私立大入試が難化しているのだ。そのため、受験回数を増やそうと、大半は出願するだけで合否が決まるセンター利用入試に出願する受験生が増えている。
センター利用入試は一般方式よりハードルが高くなりがちだ。そのため、合格校を確保するために、自分の学力で確実に受かる大学に出願するケースが多い。現在の大学入試において、センター試験は大きな影響力を持っているのだ。
- ■入試トピックス①
- センター試験
19年のセンター試験志願者は昨年より1.0%減り、4年ぶりの減少となった。これは、現役生が9千人ほど減ったことが影響している。ここ数年、大規模私立大を中心に入学者の定員超過率の抑制が進み、合格者が大幅に絞り込まれて一般入試が難化したことから、推薦入試やAO入試にシフトする現役生が増えているためと見られる。
2020年は1月18日、19日に実施される。
- ■入試トピックス②
- 私立大入試
16年度入試から、文部科学省が大規模大学の入学定員に対する入学者の超過率を厳格化させているため、私立大では合格者の絞り込みが進み、試験は難化している。近年は景気の回復とともに、難関大にチャレンジする受験生が増加傾向にあったが、この難化の影響で、一般入試では再び安全志向が広がっている。
難関大の早稲田大学、慶應義塾大学は、19年はそろって志願者減となった。