総合型・学校推薦型選抜の出願がスタート
大学入学者の半数が両選抜を利用

入試 小松 栄美
総合型・学校推薦型選抜の出願がスタート 大学入学者の半数が両選抜を利用

大学入学共通テストの出願受付が締め切られ、9月から総合型選抜の出願が始まっている。11月には学校推薦型選抜の願書受付がスタートし、24年度入試の前半戦が幕を開ける。

「年内入試」と総称される学校推薦型選抜と総合型選抜は、ここ数年の高大接続改革やコロナ流行を受けて、人気が高まっている。22年度大学入学者のうち、年内入試による入学者は50%と、一般選抜による入学者49%を上回った。私立大では年内入試の合格者が57%を占め、私立大入試は年内入試の比重が高いことも特徴だ。22年度年内入試ののべ志願者数は高校等卒業者数の68%※に相当し、一般選抜の前に年内入試を視野に入れた受験計画を立てる生徒は少なくない(※文部科学省資料より算出)。24年度入試では、来年度の新課程入試を前に、年内入試を活用して受験機会を増やす生徒が増加しそうだ。

学校推薦型選抜は、調査書・推薦書等に加えて、小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、学科試験、資格・検定試験の成績、または大学入学共通テストからいずれかを活用して実施される。また、総合型選抜は、それらの活用のほか、時間をかけた丁寧な面接や生徒が作成した資料などを活用し、能力・適性、学習意欲、目的意識を総合的に評価する。大学での学習に必要な知識・技能、思考力・判断力・表現力を評価することを目的に、一般選抜とは異なる観点で選考するため、多様な学生を確保したい大学には、メリットのある入試だ。対策が必要だが、早稲田大、慶應義塾大、上智大などの難関大でもさまざまな年内入試を実施しており、アピールできる実績や能力がある生徒なら、そうした能力をより伸ばす機会ととらえて挑戦するとよいだろう。受験機会が増える、大学進学のモチベーションが上がる、早い時期に合格が決まるなど、生徒にとっても大きなメリットだ。

国立大では募集人員全体の20%、公立大は32%を総合型・学校推薦型選抜で募集する。旧7帝大(北海道大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大)の平均は10%と低いが、このうち東北大は28%と特に比率が高い。同大は第一志望者が対象の総合型選抜を全学部で実施し、学力試験と書類や面接によって選考する。一般選抜合格者の1割以上が総合型選抜からの再挑戦者で、受験機会の拡大に利用されている。

さて、24年度の年内入試は、理工系学部の女子枠新設・拡大が目立つ。大学統合と新大学への移行を24年10月に見据える(申請中)東京工業大は、総合型選抜に58人の女子枠を導入。北見工業大や東京理科大は女子対象の総合型選抜を新設する。学校推薦型選抜では、大分大・理工、大阪工業大などが女子枠を新設予定だ。