大学入学前に採用される給付型奨学金で学費負担を軽減

入試 小松 栄美
大学入学前に採用される給付型奨学金で学費負担を軽減

芝浦工業大が一般入試で成績優秀な女子対象の奨学金制度新設

日本学生支援機構(JASSO)の20年度の調査によると、大学生の約50%が奨学金を利用している。

大学の初年度学費※は、国立大約82万円、公立大(地域内)約76万円。私立大は学部系統によって異なり、社会科学系約127万円、理工系約166万円など(※21年度平均額、公立のみ20年度。大学通信調べ)。地元を離れる場合は、さらに住居費などの生活費も必要だ。家計の収入だけでは賄えない家庭も多く、奨学金とアルバイトで補うのが一般的なようだ。

利用者が最も多いのがJASSOの奨学金で、貸与型と給付型がある。給付型は、国の修学支援新制度と呼ばれるものだ。昨年導入され、約27万人の学生が利用した。授業料等の減免と給付奨学金がセットになっており、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生を対象とする。それ以外の大多数の学生が利用するのは、貸与型だ。無利子と有利子の2種類があり、大学卒業後に返済しなければならない。高校3年の初めに申し込み、採用されると大学入学後に奨学金が振り込まれる。

一方、各大学でも独自の奨学金制度を設けており、近年は給付型制度の充実が図られている。家計に余裕がなくても大学進学をあきらめることがないよう、入学前に受給の可否がわかる制度を整備する大学が多い。

秋から冬にかけては入学前予約型奨学金として慶應義塾大、青山学院大、中央大、学習院大、立教大、法政大などが募集を行い、早稲田大は1200人、明治大は1000人と募集規模も大きい。入学を強く希望し、世帯所得や高校の成績、居住地(大都市圏以外)などの条件を満たす生徒が対象で、採用候補者になれば合格と同時に給付が決定する。国立大でも東京大、東京工業大、お茶の水女子大などが実施している。

このほか、一般入試等の成績上位者対象の奨学金を用意する大学も多い。100人以上の採用枠を設ける大学には、目白大、立正大、愛知大、愛知学院大、金城学院大、中京大、名城大、摂南大、桃山学院大などがあり、芝浦工業大では22年度から女子入学者を対象として導入する。合格発表時に該当者へ通知され、入学手続きがとりやすいのが特徴だ。

なお、予約型奨学金は2年次以降の継続に成績等の条件がある。入試成績上位者対象の奨学金は、入学金など入学年度のみの支給となるものも多く、受給時に確認が必要だ。

また、今は資金計画に問題がなくても、入学後に家計が急変することもある。そうした際、利用できる奨学金やサポート制度があるかを知っておくことは大切だ。昨年から続くコロナ禍において、学生たちへどのような経済的支援を行ってきたか各大学がホームページで紹介しているのも参考になるだろう。