福祉系 ─ 2019年学部系統別実就職率ランキング

群馬医療福祉大学＝写真

同じ大学でも、学部によって実就職率は異なる。より詳細に大学の就職力を検証するために、学部系統別に実就職率を比較してみよう。第3回となる今回は、「福祉系」学部に注目して実就職率を比較してみた。

「福祉学」の学問領域は

「福祉」には「幸福を追求すること」といった意味がある。その字義通り、福祉学とは全ての人の幸福とそのための問題解決を学ぶ学問だ。人の悩みとは心身の健康や家庭、育児、仕事などに多岐に渡ることから、福祉学の内容も心理、法律、社会、経営、教育、医療など、様々な学問領域にまたがっている。

「福祉系」学部では社会福祉士や精神保健福祉士などの資格取得が可能なことが多い。全体の実就職率は91.6%と、文系の学部系統では最も高い。

（参照：2019年学部系統別実就職率ランキング）

地方の大学が上位を占める

表は「福祉系」学部の実就職率ランキングだ。トップは群馬医療福祉大・社会福祉だ。卒業生108人のうち大学院進学者を除く106人全員が就職し、実就職率は100％だ。2位は金城大・社会福祉で98.6％、3位は新潟医療福祉大・社会福祉で97.9%だ。地方の大学が上位を占めている。

4位は愛知県立大・教育福祉（97.8％）、5位は県立広島大・保健福祉（97.8％）だった。

　6位以下は国際医療福祉大・医療福祉、名寄市立大・保健福祉、神戸女子大・健康福祉、関西福祉科学大・健康福祉、神奈川県立保健福祉大・保健福祉と続く。

少人数教育が功を奏す

トップの群馬医療福祉大は社会福祉、リハビリテーション、看護の３学部を有する医療と福祉の専門大学だ。うち社会福祉とリハビリテーションが実就職率100％、看護は95.7％といずれの学部も高い就職実績となっている。その秘訣は少人数教育だ。３学部あわせた卒業生数が268名と少なく、卒業までクラス担任制を敷いて一人ひとりに対して学生生活をサポートする。知識・技能のみならず、礼儀挨拶に始まる福祉・医療従事者にふさわしい人間性を磨く指導が就職力の高さに結実している。

３位の新潟医療福祉大も同様に少人数の環境を生かした個別指導を行っている。就職活動の際は、１人の学生に対し、ゼミ指導教員、学科の就職センター運営委員（教員）、キャリア開発室（職員）の３者が一体となってサポートする。支援内容は面接試験対策、履歴書作成相談、業種別学内説明会など。希望の就職先に就職できた学生が多く、離職率も全国平均を下回っているという。

＜表の見方＞
医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に今春の就職状況を調査。541大学から得た回答（9月30日現在）を基に、系統別に学部実就職率上位校を掲載した。卒業者数が80人未満の小規模な学部、通信教育学部、２部・夜間主コースのみのデータは掲載していない。東京大などデータを未公表、または未集計の大学・学部は掲載していない。
各系統は、主に学部名称により分類したため、学科構成や教育の内容が似ていても掲載していないものがある。例えば、法学科をもつ大学・学部でも学部名に「法」が付かない場合、法学系に掲載していないことがある。
実就職率（％）は、就職者数÷（卒業者数－大学院進学者数）×100で算出。大学院への進学者数が未集計の場合、実際の数値が掲載している値より高い場合がある。
文部科学省では、就職率を「就職希望者数に占める就職者の割合」で算出することを推奨しているため、各大学が公表している就職率と異なる場合がある。本誌では文部科学省が用いる「就職率」と区別するため、「実就職率」という表記を用いた。同率で順位が異なるのは、小数点2桁以下の差による。
大学院進学者数の「－」は進学者がいないか未集計を表す。大学名の△印は国立、◎印は私立、無印は公立を示す。大学・学部名は現在の名称で掲載している場合がある。所在地は大学本部の所在地で学部の所在地と異なることがある。

《福祉系》