国際系 ─ 2019年学部系統別実就職率ランキング

ランキング 大学通信 雫 純平
国際系 ─ 2019年学部系統別実就職率ランキング

グローバル人材育成に力を入れる昭和女子大学(写真は学生ホールで談笑する学生たち)

同じ大学でも、学部によって実就職率は異なる。より詳細に大学の就職力を検証するために、学部系統別に実就職率を比較してみよう。第1回となる今回は、「国際系」学部に注目して実就職率を比較してみた。

国際系 ─ 2019年学部系統別実就職率ランキング

トップは昭和女子大・グローバルビジネス

社会のグローバル化が急速に進む中で、「国際系」学部で学んだ学生への期待は大きくなっている。グローバルに活動している企業はもちろん、日本国内での企業活動においても多様な背景をもつ顧客や取引先などと接する機会が増えているからだ。

表は「国際系」学部の実就職率ランキングだ。トップは昭和女子大・グローバルビジネスだ。卒業生115人のうち113人が就職し、実就職率は98.3%だった。2位は北九州市立大・国際環境工(96.4%)、3位は愛知大・国際コミュニケーション(95.9%)、4位は新潟県立大・国際地域(95.8%)、5位は静岡県立大・国際関係(95.0%)。トップ5校までに公立大が3校ランクインしている。

以下、学習院女子大・国際文化交流、同志社大・グローバル地域文化、山口大・国際総合科、金城学院大・国際情報、横浜市立大・国際総合科と続く。

「自立」を重視するキャリアデザイン・ポリシー

グローバルビジネス学部がランキング1位となった昭和女子大は、伝統的に就職に強い。大学全体としてみたときの実就職率は97.3%で、卒業生数1000人以上の女子大としては9年連続で全国トップだった。

キャリア教育の特徴は、独自に「キャリアデザイン・ポリシー(社会的・職業的自立に関する方針)」を策定・公開していること。このことについて、キャリア支援部長兼センター長で、グローバルビジネス学部の磯野彰彦教授はこう語る。

「キャリアデザイン・ポリシーは学科ごとに制定していますが、全体に共通するのは学生の自立を重視していること。社会人としての自立を促す教育を一貫して行っていることが、結果として就職実績に結び付いていると思います。」

豊富な経験をもつ実務家教員のもとで行われるプロジェクト活動

グローバルビジネス学部の大きな特徴は、旧経済企画庁出身でOECDエコノミストとして20年の経験を持つ八代学部長をはじめ、豊富な経験をもつ実務家教員を数多く配置していること。「プロジェクト活動」というプログラムでは、教員たちの人脈を生かしながら、様々な企業や自治体と連携して活動する。学生のうちからビジネスの場に参加し、厳しさも含めた様々な経験ができることが就職力向上に一役買っていそうだ。

昭和女子大・グローバルビジネスは2学科制だが、2018年設置の会計ファイナンス学科がまだ完成年度を迎えていないため、今回のデータはビジネスデザイン学科のみのもの。低年次より日商簿記2級の取得を目指すなど資格取得に強みのある会計ファイナンス学科も含め、今後も注目していきたい。

<表の見方>
医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に今春の就職状況を調査。541大学から得た回答(9月12日現在)を基に、系統別に学部実就職率上位校を掲載した。卒業者数が80人未満の小規模な学部、通信教育学部、2部・夜間主コースのみのデータは掲載していない。東京大などデータを未公表、または未集計の大学・学部は掲載していない。

各系統は、主に学部名称により分類したため、学科構成や教育の内容が似ていても掲載していないものがある。例えば、法学科をもつ大学・学部でも学部名に「法」が付かない場合、法学系に掲載していないことがある。

実就職率(%)は、就職者数÷(卒業者数-大学院進学者数)×100で算出。大学院への進学者数が未集計の場合、実際の数値が掲載している値より高い場合がある。

文部科学省では、就職率を「就職希望者数に占める就職者の割合」で算出することを推奨しているため、各大学が公表している就職率と異なる場合がある。ここでは文部科学省が用いる「就職率」と区別するため、「実就職率」という表記を用いた。同率で順位が異なるのは、小数点2桁以下の差による。

大学院進学者数の「-」は進学者がいないか未集計を表す。大学名の△印は国立、◎印は私立、無印は公立を示す。大学・学部名は現在の名称で掲載している場合がある。所在地は大学本部の所在地で学部の所在地と異なることがある。

《国際系》

順位   大学(所在地) 学部 実就職率
(%)
卒業者数 就職者数 大学院
進学者数
1 昭和女子大(東京) グローバルビジネス 98.3 115 113 0
2   北九州市立大(福岡) 国際環境工 96.4 276 132 139
3 愛知大(愛知) 国際コミュニケーション 95.9 270 256 3
4   新潟県立大(新潟) 国際地域 95.8 171 160 4
5   静岡県立大(静岡) 国際関係 95.0 184 171 4
6 学習院女子大(東京) 国際文化交流 94.7 425 395 8
7 同志社大(京都) グローバル地域文化 94.4 187 170 7
8 山口大(山口) 国際総合科 94.2 88 81 2
9 金城学院大(愛知) 国際情報 94.1 186 174 1
10   横浜市立大(神奈川) 国際総合科 94.1 725 585 103
11 新潟国際情報大(新潟) 国際 93.4 108 99 2
12   山口県立大(山口) 国際文化 93.3 122 111 3
13 東京農業大(東京) 国際食料情報 93.1 622 555 26
14 福岡女学院大(福岡) 国際キャリア 92.9 128 118 1
15 東京外国語大(東京) 国際社会 92.5 409 358 22
16 秋田大(秋田) 国際資源 92.4 101 61 35
17 文教大(埼玉) 国際 92.3 254 229 6
18 名古屋外国語大(愛知) 現代国際 92.2 336 309 1
19 神戸大(兵庫) 国際文化 92.1 151 128 12
20 関西学院大(兵庫) 国際 92.0 293 266 4
21 青山学院大(東京) 国際政治経済 91.8 287 258 6
22 上智大(東京) 総合グローバル 91.6 212 185 10
23 敬愛大(千葉) 国際 91.5 166 150 2
24 共愛学園前橋国際大(群馬) 国際社会 91.4 223 202 2
25 阪南大(大阪) 国際観光 91.2 170 155 0
26 宇都宮大(栃木) 国際 91.1 114 102 2
27 中京大(愛知) 国際英語 90.8 164 148 1
28 フェリス女学院大(神奈川) 国際交流 90.6 204 184 1
29 法政大(東京) 国際文化 90.6 234 203 10
30 明治学院大(東京) 国際 90.6 280 250 4
31 東洋大(東京) 国際地域 90.5 428 382 6
32 中部大(愛知) 国際関係 90.5 129 114 3
33 東洋英和女学院大(神奈川) 国際社会 90.3 321 289 1
34 中京大(愛知) 国際教養 90.1 81 73
35 椙山女学園大(愛知) 国際コミュニケーション 89.9 230 205 2
36   長崎県立大(長崎) 国際情報 89.9 149 133 1
37   福岡女子大(福岡) 国際文理 89.9 233 195 16
38 共栄大(埼玉) 国際経営 89.8 179 159 2
39 東海大(東京) 国際文化 89.7 196 175 1
40 駒澤大(東京) グローバル・メディア・スタディーズ 89.6 329 293 2
41 共立女子大(東京) 国際 89.4 268 237 3
42 順天堂大(東京) 国際教養 89.2 105 83 12
43 阪南大(大阪) 国際コミュニケーション 89.2 149 132 1
44 同志社大(京都) グローバル・コミュニケーション 88.6 140 124 0
45   広島市立大(広島) 国際 88.3 95 83 1