伸びている学校はここだ! 2010年と2020年の大学合格者数を比較 総合第1位は東京都市大付!早稲田大でトップなど難関7大学でランクイン
早慶は首都圏上位校から根強い人気
【表4】慶應義塾大合格者が増えている学校上位20校
次に難関私立大について見ていこう。まずは慶應義塾大だ(表4参照)。トップには表1で2位の渋谷教育学園渋谷と、同じく5位の横浜翠嵐が54人増で並ぶ。
3位の市川は、教科を連携したコラボ授業など、生徒が積極的に授業に関わる独自の学習カリキュラムにより、難関大への合格実績を伸ばしている学校だ。4位は東京都市大付、湘南、洗足学園の3校が36人増で並んでいる。上位5位までの間に慶應義塾大の日吉、矢上、湘南藤沢の3キャンパスがある神奈川から3校がランクインしている。
続く表5の早稲田大では、表4で4位の東京都市大付がトップ。東京都市大付は高校募集のない完全中高一貫校で、そのメリットを生かし、6年間を前期・中期・後期に分け、発達段階に応じた教育プログラムを展開することで難関大の合格者を大きく増やしている。2位には朋優学院、3位には吉祥女子と広尾学園が入った。
ランキング全体では東京と神奈川の公立校が数多く見られる。東京では6位の九段中教、9位の両国、13位の豊多摩など6校、神奈川は8位の川和、9位の湘南、12位の南など4校。東京、神奈川の公立校の教育改革の成果が表われている。
表2の東大合格者ランキングでは男子校の多さが目立っていたのに対し、東大や早慶をはじめとする私立大合格者の増加数ランキングでは、多くの共学校や女子校が登場している。以前は女子の進学先と言えば文や家政系の学部というのが一般的だったが、近年は社会科学系、理工系、医療系などを含め進路に多様性が出てきている。国公立大、私立大ともに女子受験生の進出が顕著になってきており、それが大学合格実績に反映されているといえる。
また、首都圏の上位校に早慶人気が高い理由は、東大をはじめとする難関国立大の併願校として定着していることが挙げられる。その背景には受験生の現役志向の高まりも見過ごせない。経済的な問題もあって、浪人するよりは現役で進学する生徒が増えている。早慶などの難関私立大は就職もよく、国公立大を上回る実績を残している。そのため、浪人すれば東大に合格できる実力があっても、現役進学を優先して早慶などの難関私大に進学するわけだ。
【表5】早稲田大合格者が増えている学校上位20校
女子受験生の受験動向が変化 “リケジョ”の増加で理系人気高まる
表6は上智大のランキングだ。1位は学習院女子、2位は広尾学園、3位は国際になった。
上智大はカトリック系の大学で英語をはじめとする語学教育に力を入れているため、女子学生の比率が高いのが特徴で、女子受験生から人気を集めている。上位20校は全て女子校と共学校が占め、男子校はない。しかし今後は、国際系人気の高まりもあって男子校の割合も増えてくるかもしれない。
【表6】上智大合格者が増えている学校上位20校
次に表7の東京理科大を見てみよう。1位は昭和学院秀英、2位は日比谷、3位は東京都市大付だ。理系というと、男子が多いと思いがちだが、近年では“リケジョ”と言われる理科系女子が増加している。リケジョには主に医、歯、薬、看護など医療系学部の人気が高いが、理、生命科、農、理工などの学部でも女子受験生が増えている。東京理科大の合格者増加数のランキングでも、上位20校のうち男子校は3校にとどまり、ほとんどが共学校で、女子校では桜蔭が4位にランクインしている。