京都産業大学・佐藤賢一教授らがアフリカツメガエル未受精卵の死のメカニズムを解明

研究・産学連携 大学プレスセンター
京都産業大学・佐藤賢一教授らがアフリカツメガエル未受精卵の死のメカニズムを解明

(アフリカツメガエルの(a)未受精卵、(b)アポトーシス卵、(c)オーヴァーアクチベーション卵、(d)受精による活性化卵。(e)アフリカツメガエルの未受精卵の集団にオーヴァーアクチベーション卵(矢印)が混在している様子=写真

―BioMed Research International誌に掲載―

京都産業大学生命科学部の佐藤 賢一教授とトクマコフ アレクサンデル研究助教らの研究グループは、アフリカツメガエル未受精卵がより短時間で起こす細胞死に伴う細胞タンパク質および生命活動に必要なエネルギーであるATPの動態を明らかにした。

アフリカツメガエル未受精卵は受精により発生を開始するが、受精できなかった未受精卵は1~2日がかりでアポトーシス(プログラム細胞死)を実行してしまう。今回の研究はアフリカツメガエル未受精卵がより短時間で起こす細胞死(オーヴァーアクチベーション)に焦点をあて、その試験管内再構成実験系の構築および生化学的性状解析を行った。

研究の結果、過酸化水素が濃度依存的に、アフリカツメガエル未受精卵に対してオーヴァーアクチベーション様の表層構造の変化および膨化をもたらすことを見出した。また、過酸化水素処理を受けた未受精卵内において、酸化ストレスマーカのリポフシンの増加、可溶性タンパク質量およびATP の減少が見られることも判明した。

本研究成果は、オーヴァーアクチベーションによるアフリカツメガエル未受精卵の死のメカニズムを明らかにすること、さらにはアフリカツメガエルやヒトなどの脊椎動物の卵細胞がもつ生物学的機能のよりよい理解に貢献することが期待される。

この研究成果は2019年7月2日、BioMed Research International誌に掲載された。

むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学

関連リンク
・アフリカツメガエル未受精卵がより短時間で起こす細胞死に伴う細胞内タンパク質およびATPの動態を解明
http://www.kyoto-su.ac.jp/news/20190702_345_release_ka01.html

・生命科学部 遠藤 斗志也 教授・河野 慎 研究助教等の研究グループが、ミトコンドリアのプレ配列をもつタンパク質の内膜透過に必須の膜電位の役割を解明しました!
https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20190619_850_tanpakuken.html
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