農学系 ─ 2019年学部系統別実就職率ランキング

ランキング 雫 純平
農学系 ─ 2019年学部系統別実就職率ランキング

写真=東京工科大学

同じ大学でも、学部によって実就職率は異なる。より詳細に大学の就職力を検証するために、学部系統別に実就職率を比較してみよう。第10回となる今回は、「農学系」学部に注目して実就職率を比較してみた。

人類の長い歴史の中で蓄積されてきた学問

「農学系」の研究対象となるのは、主に農業、畜産業、林業、水産業など。人類の長い歴史の中で蓄積されてきた知識や技能を、科学的に体系化した学問だ。

系統全体の実就職率は92.5%だった。(2019年8月5日現在。)

農芸化学、農業工学、農業経済学、獣医学など、農学が他の学問領域と結びついた分野も多く、多様な業種が就職の対象となる。農学系志望の受験生以外にも、ぜひ関心をもってみてほしい学部系統だ。

岐阜大がトップ

表は「農学系」学部の実就職率ランキングだ。トップは岐阜大・応用生物科。卒業生211人のうち、就職者が106人、大学院進学者が104人で実就職率は99.1%だ。2位は新潟大・農で97.2%、3位は私立大でトップの東京工科大・応用生物で97.0%、4位は秋田県立大・生物資源科で96.8%、5位は中部大・応用生物で96.8%だ。

以下、島根大・生物資源科、神戸大・農、名城大・農、山形大・農、山口大・農と続く。

U・Iターン就職に強い大学も

3位の東京工科大の特徴は、産業界と学術界のそれぞれで実績のある教員をバランスよく配置していること。学会で注目される技術と、実社会での最新技術の双方を学べることが実就職率の高さの要因の1つだ。

5位の中部大のキャリア支援は、1年次に「スタートアップセミナー」とキャリア教育科目「自己開拓」を全学一斉導入。2年次は全学共通教育科目「社会人基礎知識」を実施するなど、入学直後から卒業前4年間を通じたキャリア開発を支援している。

8位の名城大は、名古屋の大学ながら日本中から受験生が集まることから、Uターン、Iターンの就職支援に力を入れる。就職試験の旅費サポート、愛知・岐阜・三重以外の出身者を対象としたU・Iターン支援ガイダンスの実施、静岡・長野・福井・石川の4県との就職支援協定などだ。全学で20万人以上の卒業生が全国各地で活躍しており、そのネットワークも心強い。中部大と名城大はともに、大学としての手厚い就職支援が学部の高い実就職率を支えている。

<表の見方>

医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に今春の就職状況を調査。545大学から得た回答(2月6日現在)を基に、系統別に学部実就職率上位校を掲載した。卒業者数が80人未満の小規模な学部、通信教育学部、2部・夜間主コースのみのデータは掲載していない。データを未公表、または未集計の大学・学部は掲載していない。

各系統は、主に学部名称により分類したため、学科構成や教育の内容が似ていても掲載していないものがある。例えば、法学科をもつ大学・学部でも学部名に「法」が付かない場合、法学系に掲載していないことがある。

実就職率(%)は、就職者数÷(卒業者数-大学院進学者数)×100で算出。大学院への進学者数が未集計の場合、実際の数値が掲載している値より高い場合がある。

文部科学省では、就職率を「就職希望者数に占める就職者の割合」で算出することを推奨しているため、各大学が公表している就職率と異なる場合がある。ここでは文部科学省が用いる「就職率」と区別するため、「実就職率」という表記を用いた。同率で順位が異なるのは、小数点2桁以下の差による。

大学院進学者数の「-」は進学者がいないか未集計を表す。大学名の△印は国立、◎印は私立、無印は公立を示す。大学・学部名は現在の名称で掲載している場合がある。所在地は大学本部の所在地で学部の所在地と異なることがある。

《農学系》

順位   大学(所在地) 学部 実就職率
(%)
卒業者数 就職者数 大学院
進学者数
1 岐阜大(岐阜) 応用生物科 99.1 211 106 104
2 新潟大(新潟) 97.2 164 103 58
3 東京工科大(東京) 応用生物 97.0 272 230 35
4   秋田県立大(秋田) 生物資源科 96.8 156 122 30
5 中部大(愛知) 応用生物 96.8 341 302 29
6 島根大(島根) 生物資源科 96.6 209 140 64
7 神戸大(兵庫) 96.5 156 55 99
8 名城大(愛知) 96.4 319 269 40
9 山形大(山形) 95.9 156 116 35
10 山口大(山口) 95.4 104 62 39
11 三重大(三重) 生物資源 95.3 247 163 76
12 近畿大(大阪) 95.0 700 575 95
13 明治大(東京) 95.0 556 438 95
14 佐賀大(佐賀) 94.5 159 120 32
15 宇都宮大(栃木) 94.3 236 164 62
16 龍谷大(京都) 94.0 362 314 28
17 東京農業大(東京) 応用生物科 93.8 758 604 114
18 東京農業大(東京) 生物産業 93.7 401 357 20
19 香川大(香川) 93.2 144 82 56
20 玉川大(東京) 92.5 291 247 24
21 岡山大(岡山) 92.5 126 74 46
22 鹿児島大(鹿児島) 92.2 207 142 53
23 岩手大(岩手) 91.9 210 125 74
24 信州大(長野) 91.9 183 102 72
25 愛媛大(愛媛) 91.6 190 131 47
26 静岡大(静岡) 91.1 163 82 73
  高知大(高知) 91.1 166 123 31
28 日本大(東京) 生物資源科 91.1 1,715 1,473 98
29 北海道大(北海道) 91.1 211 51 155
30 弘前大(青森) 農学生命科 91.0 183 121 50
31 東海大(東京) 90.8 234 207 6
32 千葉大(千葉) 園芸 90.8 192 108 73
33 茨城大(茨城) 89.4 116 76 31
34 東京農業大(東京) 89.1 602 499 42
35 宮崎大(宮崎) 87.5 266 175 66
  酪農学園大(北海道) 農食環境学群 87.5 544 469 8
37 琉球大(沖縄) 87.4 132 90 29
38 東京農工大(東京) 87.2 320 123 179
39 京都大(京都) 86.9 311 53 250
40 広島大(広島) 生物生産 86.8 114 46 61