教育力が高い大学ランキング2023(全国編)
写真=東京大学
多くの受験生が迷うのが志望校選び。そこで頼りになるのがエキスパートの意見だ。全国の進学校2000校に、進路指導教諭おすすめの大学についてアンケートを行った。各項目5校連記で大学を記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次の大学を4ポイント…として集計しランキングを作成した。今回は「教育力が高い大学ランキング(全国編)」だ。
1位は東京大学で702ポイント。全学生が最初の2年間を教養学部前期課程で過ごし、その後に専門を選ぶ「進学選択制度」を取り入れる大学だ。前期課程ではリベラルアーツ教育を重視し、特定の専門分野に偏らない広い視野と総合的な判断力を養成。その上で、自分の適性を見極めながら3年次以降の専門分野を選択していく。また、学部段階では「自ら原理に立ち戻って考える力」「忍耐強く考え続ける力」「自ら新しい発想を生み出す力」という3つの基礎力の涵養を重視。主体的な学びの機会の活性化を進めている。その柱の一つが「初年次ゼミナール」で、先端研究に取り組む教員が専門性を生かした授業を展開。学生の積極的な参加を促すため、1クラス20人程度の少人数制で実施している。
2位は東北大学で590ポイント。同大は研究と教育を一体のものと位置づけており、優れた研究に裏打ちされた教育を目指す大学として、時代に先駆けた多くの研究成果を世界に向けて発信してきた。2023年には、世界トップレベルの研究力を目指す「国際卓越研究大学」の認定候補第1号に選定。「未来を変革する社会価値の創造」「多彩な才能を開花させ未来を拓く」「変革と挑戦を加速するガバナンス」という3つのコミットメントを掲げ、学部改革や若手リーダー研究者への支援などに取り組んでいる。また、自然科学系分野に進む女子学生比率の向上や女子研究者の育成にも力を入れており、中高生対象の出張セミナーなどを実施するサイエンス・アンバサダー(SA)をはじめ、さまざまな女子学生支援を行っている。
3位は京都大学で462ポイント。独創性の根源である知的好奇心と探求心を大切にしてきた同大は、「研究を通して教育する」をモットーに掲げ、それを体現する「対話を根幹とした自学自習」を教育の柱に据える。主に学部新入生が対象の「ILASセミナー」は、生きた現場で教育研究に携わる教員と5~25人程度の学生が、特定のテーマについて議論しながら授業を進めるゼミナール方式の科目。自ら課題を見出だし、必要な資料を収集し、対話を通じて新たな知識を生み出す、という学問のプロセスを学ぶ機会になっている。大学院生が自身の研究内容を紹介する「出前授業」や、高度な学術に触れる体験型科学講座「ELCAS(エルキャス)」など、学問する楽しさを高校生に届ける活動も盛んだ。
4位は東京理科大学で132ポイント。1881年の開校時から「実力主義」を掲げ、真に実力を身につけた学生を社会に送り出すことを大切にしている。学部ごとに定められた指定科目(関門科目)の単位を取得しなければ次の学年に進級できない「関門制度」は同大の伝統で、「学生を鍛える教育」は社会から高く評価されている。その一方で、時代に合わせた教育のアップデートも進めており、2020年度には実力主義を「未来を拓く実力」と再定義し、今の大学で培うべき資質や能力を発信している。学生への学習支援も進化を続けており、新入生のサポート体制も充実。「学習相談室」には専門研修を受けた2年生以上の学生が常駐し、低学年向けに基礎科目である数学、物理、化学のアドバイスを行っている。
<表の見方>
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全国の約2000進学校を対象にアンケートを行い、645校から回答を得た。各項目ごとに5校を選んで順位をつけてもらい、1番目の大学を5ポイント、2番目を4ポイント……として集計した。
学校名の※印は国立、◎印は私立、無印は公立を表す。