2020年学部系統別実就職率ランキング(法学系)
写真=日本文化大学
警察官採用試験合格率が強みの日本文化大
法学系で1位となったのは、実就職率99.3%の日本文化大だ。
高い就職率の要となるのが、警察官採用試験の合格率。ランキング調査において10年連続で日本一の実績を誇る。試験対策プログラムが充実しているだけでなく、警察官を志望する学生の専門基礎となる科目「警察学」をカリキュラムに取り入れている。市民を犯罪から守る活動や犯罪捜査、国際テロ対策などを具体的に指導することで、高い職業意識を育成している。
また、警察官以外にも、国家公務員、消防官、市役所職員といったさまざまな公務員志望者向けに手厚い対策講座を実施しており、毎年安定した就職率を維持する要因となっている。
ニーズが高まる知財のエキスパートを育成する大阪工業大
写真=大阪工業大学
実就職率98.3%で2位となったのは、大阪工業大だ。工学部、ロボティクス&デザイン工学部、情報科学部といった理系学部が中心の同大では、法学を基礎として産業社会を支える人材育成を目指す、日本で唯一の知的財産学部が設置されている。
同学部では卒業生は知的財産の専門領域や、メーカー、商社、小売、金融系などさまざまな分野で活躍している。
特許や意匠、商標の管理や活用は、近年その重要性を増しているため、専門的な知識や能力を持った人材へのニーズは今後より拡大することが期待される。
また、法律の学びを生かし、特許事務所や公務員へも就職の道が広がっている。
法学部系就職率の鍵となる公務員試験対策
写真=札幌学院大学
3位は94.5%で国立の新潟大、4位からは再び私立で94.1%の甲南大、5位は93.8%の札幌学院大となった。
札幌学院大は、就業力のアップに力を入れ、希望の進路に合わせた2コース6プログラム制を実施。公務員や民間企業など希望する進路に合わせた専門科目を学べるようになっている。公務員試験対策にも力を入れており、2019年度は就職者のうちの25%以上が公務員に就職した実績を持つ。
6位は93.3%の青森中央学院大・経営法学部。7位と8位は国立で、93.1%の熊本大と93.0%の信州大がランクインした。
9位は92.7%の中京大、10位は92.5%の愛知大となった。
中京大では、「法学部生の将来を考え支える会」という独自の支援組織を有しており、法律や政治といった専門科目を学びながら、公務員採用試験や企業採用に向けた対策講座などのサポートで就職率アップを果たしている。
法学部は専門知識を生かした士業や公務員を目指す学生が多いため、ランキング上位のほとんどの大学で、そうした資格試験や公務員採用試験へのサポートに力を入れる傾向がみられた。
<表の見方>
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医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に2020年春の就職状況を調査。551大学から得た回答(11月18日現在)を基に、ランキングを作成した。卒業者数が80人未満の小規模な学部、通信教育学部、2部・夜間主コースのみのデータは掲載していない。データを未公表、または未集計の大学・学部は掲載していない。
各系統は、主に学部名称により分類したため、学科構成や教育の内容が似ていても掲載していないものがある。例えば、法学科をもつ大学・学部でも学部名に「法」が付かない場合、法学系に掲載していないことがある。
実就職率(%)は、就職者数÷(卒業者数-大学院進学者数)×100で算出。同率で順位が異なるのは、小数点2桁以下の差による。大学院への進学者数が未集計の場合、実際の数値が掲載している値より高い場合がある。
文部科学省では、就職率を「就職希望者数に占める就職者の割合」で算出することを推奨しているため、各大学が公表している就職率と異なる場合がある。ここでは文部科学省が用いる「就職率」と区別するため、「実就職率」という表記を用いた。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立を示す。大学・学部名は現在の名称で掲載している場合がある。所在地は大学本部の所在地で学部の所在地と異なることがある。