ランキングで見る平成の大学
大学合格者出身校別ランキング
東大④

入試 大学通信 安田 賢治
ランキングで見る平成の大学 大学合格者出身校別ランキング 東大④

平成も終わり、この間、大学入試、高校などの勢力図は大きく変わった。その中で東大ランキングはどう変わってきたのか。平成時代は東大ランキングで、開成がずっとトップを維持した。度重なる入試制度の変更が行われ、翻弄された平成の東大ランキングを見ていこう。

東大④ 平成28年~31年

28年から推薦入試を実施

28年から実施されたのが推薦入試だ。募集人員100人程度で、前期試験の科類別募集ではなく、学部別募集になるため3年進級時に決まる学部が最初から選べる。各校男女1人ずつしか応募できず、東大合格者ナンバーワンの男子校の開成からは1人しか応募できないことになる。

科学オリンピックのメダリスト、海外留学体験、在学中に論文を発表し評価されているなど、出願資格のハードルは高い。センター試験も8割の得点が必要だ。推薦入試実施の狙いには、地方、女子受験生を増やすこともある。

初年度は151校から出願があり、志願者は173人で77人が合格。募集人員割れとなったが、不足分は前期試験の募集が増えることになった。2人合格校は札幌南、渋谷教育学園幕張、東京学芸大附、日比谷、大阪教育大附天王寺の5校だ。1人合格を含めた合格校の顔ぶれを見ると、公立を含め一貫校が強かった。

さらに、文科省が指定する先進的な理数教育を実施し、大学との共同研究や、国際性を育むための取組を推進しているスーパーサイエンスハイスクール(SSH) や、グローバル・リーダー育成に資する教育を通して、生徒の社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付けるスーパーグローバルハイスクール(SGH)からの合格者も多かった。

SSHやSGHでは、生徒のグループでの研究成果の発表会があり、推薦入試の出願資格となる機会があることも大きいようだ。合格校の内、一貫校、SSH、SGHのいずれにも該当しない高校は10校にとどまった。東大は記者会見で「優秀な学生を入学させることができて、推薦入試は成功だった」と発表した。

合格者の割合を見ると、関東地方を除く割合は推薦入試が55.8%、前期試験が40.5%で推薦入試のほうが地方からの合格者が多かった。女子についても推薦入試が37.7%、前期試験が17.9%だから、推薦入試のほうが倍以上も高い結果となった。

この年の合格者数トップは開成の169人、2位は筑波大附駒場の101人、3位は麻布と灘の94人だった。麻布には推薦入試合格者を含んでいる。5位には前年より20人合格者が増え76人と過去最高となった渋谷教育学園幕張が入った。

公立では都立日比谷が11位だ。合格者を16人増やして53人となり、1971(昭和46)年の57人に次ぐ合格者数となった。この年は私立中高一貫校で合格者を大きく減らすところが目立った。駒場東邦が25人減の57人、海城が26人減の30人などだ。

これは20年に起きたリーマンショックによる不況の影響があると見られる。東京では中高一貫校の人気が高い。しかし、中学受験段階で、経済的な問題から受験を断念する生徒もいたのではないかと見られる。私立中高へ進学せず、公立中、公立高に進学した生徒も多く、それが公立高躍進につながったとの見方もある。リーマンショックが起きた翌年の21年の中学入試には大きな影響は見られなかったが、22年入試から中学受験志願者は減少している。

また、この年、埼玉の栄東が前年から18人合格者を増やして27人合格となり、浦和(県立)が22人合格にとどまったため、初めて埼玉トップの東大合格者数となった。これで初めて1都3県の合格者数トップが、すべて私立中高一貫校となった。

平成28年(2016年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 170
2 筑波大附駒場 東京 102
3 麻布 東京 94
3 兵庫 94
5 渋谷教育学園幕張 千葉 76
6 聖光学院 神奈川 71
7 桜蔭 東京 59
8 東京学芸大附 東京 57
8 駒場東邦 東京 57
8 栄光学園 神奈川 57
11   日比谷 東京 53
12 ラ・サール 鹿児島 44
13 豊島岡女子学園 東京 41
14 早稲田 東京 38
15 東大寺学園 奈良 37
15 久留米大附設 福岡 37
17 女子学院 東京 34
18 西大和学園 奈良 33
19   千葉(県立) 千葉 32
19 筑波大附 東京 32
19   西 東京 32
20 愛光 愛媛 27

29年から掲示での合格発表再開

29年のトップ開成は161人合格、2位は筑波大附駒場、3位は灘、4位は麻布、5位は渋谷教育学園幕張で、トップ5は前年と変わらない顔ぶれだった。この年、1971(昭和46)年から47年間、トップ10を維持してきた東京学芸大附が、ついに11位に後退した。

首都圏では中高一貫校人気だが、東京学芸大附の中学校は3校ある。ところが、高校ヘは3中学校から半数ほどしか進学できない。そのこともあって、中学入試で敬遠されたことが東大合格者減の理由と見られる。

また、掲示での合格発表が中止されていたが、この年から再開される。かつてのような掲示板で合格か不合格かを見る熱気は失われ、東大のホームページで合格を確認した受験生や保護者が、掲示板でも合格を確認する風景になった。胴上げも禁止されて、優雅な散歩コースのように変わった。ただ、安田講堂前で運動部を中心とした在学生に、熱烈な歓迎を受けることができる。

平成最後となった31年は開成が3年連続合格者増で187人のトップ。平成はすべて開成がトップだった。2位は筑波大附駒場、3位は麻布、4位は前年から21人増、過去最高の合格者数となった聖光学院、5位は灘となった。灘の5位は5年以来26年ぶり。灘は17年から続いてきた東大合格者数の4強から脱落した。10位に入った久留米大付設は福岡の学校として初めてのトップ10入りだ。前年より27人も合格者が増えた。初めて中高一貫の女子が卒業し、この実績に結びついたと見られる。

31年は東大文Ⅰの合格最高点、平均点、合格最低点が文Ⅱを下回った。今までにないことだ。文Ⅰと言えば、キャリア官僚を多数輩出する法学部に進学する学生が多いが、近年の官僚、法曹人気の低下によるものと見られる。

平成は開成の強さが際立った。昭和を含めて38年連続トップだ。令和になると、果たして開成を超える学校は出てくるのか。公立校の巻き返しはどこまで進むのか。令和3年から始まる大学入学共通テスト実施の影響は出るのか。東大入試改革が行われるのか。今後の動向にも注目したい。

平成29年(2017年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 161
2 筑波大附駒場 東京 102
3 兵庫 95
4 麻布 東京 79
5 渋谷教育学園幕張 千葉 78
6 聖光学院 神奈川 69
7 桜蔭 東京 63
8 栄光学園 神奈川 62
9 駒場東邦 東京 52
10 海城 東京 49
11 東京学芸大附 東京 46
12   日比谷 東京 45
13 ラ・サール 鹿児島 40
14 筑波大附 東京 39
14 甲陽学院 兵庫 39
16   旭丘 愛知 37
17 女子学院 東京 36
18 西大和学園 奈良 35
19   横浜翠嵐 神奈川 34
20   浦和(県立) 埼玉 32
20 武蔵(私立) 東京 32

平成30年(2018年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
2 筑波大附駒場 東京 109
3 麻布 東京 98
4 兵庫 91
5 桜蔭 東京 77
5 栄光学園 神奈川 77
7 聖光学院 神奈川 72
8 東京学芸大附 東京 49
9 渋谷教育学園幕張 千葉 48
9   日比谷 東京 48
9 海城 東京 48
12 駒場東邦 東京 47
13 浅野 神奈川 42
13 ラ・サール 鹿児島 42
15 筑波大附 東京 38
15 早稲田 東京 38
17 女子学院 東京 33
18 東海 愛知 30
18 西大和学園 奈良 30
20 武蔵(私立) 東京 27
20 甲陽学院 兵庫 27

平成31年(2019年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 187
2 筑波大付駒場 東京 113
3 麻布 東京 100
4 聖光学院 神奈川 93
5 兵庫 73
6 渋谷教育学園幕張 千葉 72
7 桜蔭 東京 66
8 駒場東邦 東京 61
9 栄光学園 東京 54
10 久留米大付設 福岡 50
11   日比谷 東京 47
12 海城 東京 46
13 東京学芸大附 東京 45
14 西大和学園 奈良 42
15   浦和(県立) 埼玉 41
16 浅野 神奈川 38
17 東海 愛知 37
18 甲陽学院 兵庫 34
18 ラ・サール 鹿児島 34
20 筑波大付 東京 31