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2020大学入試はこうして行われる!

入試

大学の二極化進み、志望校選びが難しい時代へ

ここ数年、私立大の志願者は増加傾向だが、大学に入りやすい状況は変わっていない。志願者が集まる大学と集まらない大学で「大学の二極化」が進んでいる。

どういうことかというと、やがて大学は「入試を実施しても全員合格に近いため、試験を実施する意味があまりない大学」と、「厳しい入試が展開される難関大学」との二極に分かれていくということだ。

こうした状況になってくると、志望校選びが難しくなる。学力を測る尺度である偏差値が、全入の大学では役に立たなくなる。およそ4割の私立大で定員割れが起きているわけだから、進学しようと思えばどこかの大学に進学することが可能。それが進みたい大学であれば、いうことはないが、なかなかそうはうまくいかない。難関大の入試は厳しいままだからだ。

大学の選び方は大きく分けて3通りある。ひとつは大学で学びたいことが決まっていて、それを実現できる大学を選ぶという方法。その分野で学べば、大学卒業後の進路まで考える余裕があり、目標が早く定まる。もっともオーソドックスな大学選びの方法だ。

一方、行きたい大学が決まっている場合もある。どうしても○○大学に行きたい場合は、学力と相談しながら、その大学で自分が学びたい分野を探し、受験する学部を決めていくことになる。特に文系でよく見られる方法だ。

最後は前記のどちらでもないという時の選び方。これは様々な視点から選んでいくことになる。この場合、学力で合格できそうな大学を選びがちになるが、これはあまり感心しない。

その前に自分なりに絞っていくことが必要だ。高校で既に文系か理系かは選んでいるはず。さらに、自分に向くかどうかもそれぞれの学部で何を学ぶかを知ればわかってくるだろう。大学選びについても、自宅を離れて進学していいかどうか、親と相談して決めれば絞ることができる。

また、学部によって学費の差もある。表4の学部系統別の平均の学費を参考にしてほしい。ぼんやりとでもいいから、進学したい学部、大学を決めていくことが大切だ。

表4 2018年春の学部系統別学費の平均

どのような方法で大学に入学していくか

大学の二極化が進んでくると、どのルートで大学に入学するかも重要になってくる。その中で人気を集めているのが推薦・AO入試だ。

表5を見てほしい。これを見ると、一般入試での入学者が、国立大では84.5%、公立大では73.0%と高率だが、私立大では08年に初めて5割を切り、17年は48.6%になった。

私立大では一般入試より推薦やAO入試などで入学する学生の方が多くなって、昨年も5割を超えている。それだけ、私立大では、入試における推薦やAO入試の比重がアップしているのだ。

2017年の入試種別入学者数の割合(%)

推薦入試は高等学校長の推薦を受けて出願するが、多くの場合、出願に際して高校在学中の成績基準が設けられている(評定平均値が4.0以上、など)。これは高校1年、2年と3年の1学期までの成績を平均した値。これが一定のレベル以上であることが必要だ。さらに、学業成績だけでなく、課外活動を評価する推薦入試も多い。

私立大の推薦入試では、大きく分けて指定校制と公募制の二種類がある。

指定校制推薦では、応募できる高校が大学によってあらかじめ決められている。難関大で多く実施され、面接や小論文などの試験があるが、出願すればほとんどの場合、合格になる。ただ、各高校から応募できる人数が1人など募集枠が小さく、高校内での選考を通過できるかどうかが重要になってくる。

一方の公募制推薦は高等学校長の推薦を受けることは同じだが、成績基準を満たしていれば、どこの高校からでも出願できるのが特徴だ。一般入試に比べて小論文、面接が中心のため科目負担が軽く、関西の大学などでは学力試験を課すが、一般入試より科目数が少ないところが多い。

また、推薦入試では合格=入学が原則だが、関西の大学などでは、他大学との併願を認め、合格後に入学する大学を決められる一般入試のような推薦入試も多いのが特徴だ。

これ以外にも、スポーツの成績を重視したスポーツ推薦、学校長ではなく自分で自分を推薦する自己推薦などがあり、方式もバラエティに富んでいる。

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