ランキングで見る平成の大学
大学合格者出身校別ランキング
東大①

入試 大学通信 安田 賢治
ランキングで見る平成の大学 大学合格者出身校別ランキング 東大①

平成も終わりが近づき、この間、大学入試、高校などの勢力図は大きく変わった。その中で東大ランキングはどう変わってきたのか。平成時代は開成がずっとトップだった。度重なる入試制度の変更が行われた中で、平成の東大ランキングはどう推移したのか見ていこう。

平成元年~10年

平成初め頃の大学入試は激動の時期だった。受験生数が昭和61年から激増し、受験生数が100万人を超える激戦入試の時代だった。さらに、国公立大は昭和62年に、旧7帝大をA日程(名古屋大、京大、大阪大、九州大)、B日程(北海道大、東北大、東大)に分け、両日程の併願を可能にし、進学できる大学は入試後に決められる方式を実施した。他の国立大もそれぞれの日程に、大学自らの選択で分かれていった。

入試は大混乱となり、足切り不合格者が10万人を超えた。東大、京大ダブル合格者は1500人を超え、ほとんどが東大に入学。京大は当初合格者を前年の5割増しにした上で、追加合格を出しても定員割れ。逆に東大は多めに合格者を発表したが、入学者は定員を大きくオーバーした。

この方式で不利益をこうむった京大をはじめとする西日本の9大学44学部が、平成元年に新方式の分離・分割方式を実施する。これは大学を二つに分けるのではなく、1大学が定員を前期と後期に分けて入試を実施する方式だ。事実上、前期に不合格の受験生が後期を受けることになった。元年にはA日程、B日程の連続方式と分離・分割方式が混在する入試となった。

この分離・分割方式が、現在の国公立大の入試方式に統一されるのが平成9年で、今に続いている。元年はまた、昭和54年に始まった共通一次学力試験の最終年でもあった。翌2年からは大学入試センター試験に代わった。

2年に分離・分割方式に替わり志願者激増

元年に東大ランキングトップは開成の167人。京大などの分離・分割方式の実施もあり、東大の水増し合格者は2.5%に抑えられ、合格者数は3466人だった。2位は過去最高順位となった東京学芸大附、3位は灘、4位は麻布、5位はラ・サールだった。桐蔭学園が前年の16位から初のトップ10入りを果たした。文Ⅰ、文Ⅱ、理Ⅰで開成がトップ、文Ⅲは学芸大附、理Ⅱは桜蔭、理Ⅲは灘がトップだった。

入試方式変更で、近畿圏の学校の東大合格者が激減したのも特徴だ。東大と京大が事実上、併願できなくなったからだ。灘が28人減、東大寺学園が24人減、甲陽学院28人減、洛星40人減、洛南20人減などとなった。東大、京大の併願を積極的に活用していたのが近畿圏の学校だったことが分かる。この5校は元年の京大合格者トップ5だった。

大学入試センター試験が初めて実施された2年は、東大も初めて分離・分割方式を実施した。前期募集人員は3095人、後期は337人だ。後期の入試科目は、文系がセンター試験が国語、社会1科目、外国語で二次試験は論文だ。理系はセンター試験は数学、理科1科目、外国語で、二次試験は総合科目と数学や理科などの学科試験が課され、理Ⅲでは面接が実施された。私立大型受験生でも受けられる科目だった。

志願者は過去最高の1万8141人で、前年に比べ7284人、67%も志願者が増えた。前期の志願者は9864人だったが、後期は8277人になり、倍率は22.7倍にも達した。後期の志願者には前期合格者も含まれており、この前期合格者を除いた志願者に対して、募集人員の5倍で足切りが実施された。前年のB日程1回限りの受験チャンスが2回に増えたことから、志願者が激増した。

前後期合計トップは開成の155人。次いで、灘、桐蔭学園、東京学芸大附、筑波大附駒場の順だった。開成は前期トップだったが後期は2位に終わった。後期トップは14人の筑波大附駒場だ。また、初めて実施された後期の合格者数のトップ20校中、首都圏外は愛光、東海、灘の3校に過ぎなかった。この頃の国立大の併願は、前期に東大を受けると、後期は地元の国立大など、東大より難易度を抑えた大学を受験するのが一般的だった。現役進学を考え、後期では安全策を取る受験生が多かった。

首都圏の学校が多くなったのは、受験生に前後期とも東大を受ける人が多かったからだろう。あるいは私立大型の受験生が挑戦したのも、首都圏の受験生に多かったからと見られる。文Ⅲでは後期だけ東大を受ける受験生が多かった一方で、文Ⅱでは8割以上が前期不合格者の敗者復活だった。この年から私立中高の躍進が目覚ましく、初めて私立校からの合格者数が公立校合格者数を上回った。

3年のトップ開成は191人合格で、前年より36人増。前後期ともトップだった。2位は前年の9位から躍進し、過去最高順位となったラ・サールの105人。3位は麻布、4位は灘、5位は東京学芸大附だった。

4年に開成が初の200人超の合格者数

4年は受験生数が過去最高となった年だ。トップは開成の201人で、合格者数が初の200人の大台に乗った。昭和39年に日比谷が記録した193人を超える過去最高の合格者数だった。2位は麻布、3位は桐蔭学園、4位は灘、5位は東京学芸大附だった。トップ10に初めて巣鴨が入った。

東大合格者出身校別ランキング 平成元年~10年

平成元年(1989年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 167
2 東京学芸大附 東京 113
3 兵庫 102
4 麻布 東京 94
5 ラ・サール 鹿児島 92
6 筑波大附駒場 東京 75
7 筑波大附 東京 66
8 桐蔭学園 神奈川 65
9 武蔵(私立) 東京 63
10 栄光学園 神奈川 62
11   浦和(県立) 埼玉 54
12   千葉(県立) 千葉 53
12 桜蔭 東京 53
14 愛光 愛媛 47
15 桐朋 東京 45
16 久留米大附設 福岡 40
17 巣鴨 東京 39
17 東大寺学園 奈良 39
19 駒場東邦 東京 36
20 広島学院 広島 35

平成2年(1990年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 155
2 兵庫 123
3 桐蔭学園 神奈川 102
4 東京学芸大附 東京 100
5 筑波大附駒場 東京 95
6 麻布 東京 88
7 栄光学園 神奈川 67
8 武蔵(私立) 東京 65
9 ラ・サール 鹿児島 64
10   千葉(県立) 千葉 62
11   浦和(県立) 埼玉 60
11 桐朋 東京 60
13 駒場東邦 東京 57
14 筑波大附 東京 56
15 久留米大附設 福岡 51
16 桜蔭 東京 42
16 東大寺学園 奈良 42
18   湘南 神奈川 41
19 洛星 京都 39
19 広島学院 広島 39

平成3年(1991年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 191
2 ラ・サール 鹿児島 105
3 麻布 東京 102
4 兵庫 101
5 東京学芸大附 東京 96
6 桐蔭学園 神奈川 90
7 武蔵(私立) 東京 70
7 栄光学園 神奈川 70
9 筑波大附駒場 東京 65
10   千葉(県立) 千葉 61
11 桜蔭 東京 59
12   浦和(県立) 埼玉 58
13 東大寺学園 奈良 55
14 駒場東邦 東京 51
15 筑波大附 東京 46
16 巣鴨 東京 44
17 久留米大附設 福岡 43
18 桐朋 東京 40
18 愛光 愛媛 40
20 洛星 京都 38
20 洛南 京都 38

平成4年(1992年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 201
2 麻布 東京 126
3 桐蔭学園 神奈川 114
4 兵庫 105
5 東京学芸大附 東京 95
6 武蔵(私立) 東京 85
7 筑波大附駒場 東京 81
7 ラ・サール 鹿児島 81
9 巣鴨 東京 78
10 栄光学園 神奈川 74
11   千葉(県立) 千葉 61
12 桜蔭 東京 59
13 駒場東邦 東京 56
14 聖光学院 神奈川 53
15 東大寺学園 奈良 52
16 愛光 愛媛 49
17   浦和(県立) 埼玉 47
18 海城 東京 42
19 洛南 京都 41
20 桐朋 東京 39

5年はトップ開成が171人、2位ラ・サール、3位東京学芸大附と灘、5位麻布の順だった。トップ10に18年連続でランクインしていた、首都圏中学入試の男子校御三家の1校、武蔵・私立がトップ10から陥落し、16位に後退した。公立では千葉・県立が後期でトップに立ち、前後期合計でも9位に入った。この翌年から公立校はトップ10から長らく姿を消す。30年に日比谷が9位に入るまで、25年間トップ10入りはならなかった。この間、国私の中高一貫校のトップ10独占が続いた。10位の駒場東邦は初のトップ10入りを果たした。また、昭和20年代から40年代初頭にかけて、東大合格者トップを独占した東京都立日比谷の東大合格者が、わずか1人にまで減った。都立校トップは27位の西の31人だった。

他でもこの年は、前期で日本最難関の東大理Ⅲに合格した受験生が入学手続きを取らず、後期で別の大学に合格した。この年、東大は後期で理Ⅲの募集人員10人を上回る11人を合格発表している。東大理Ⅲを蹴った受験生はめずらしい。

6年以降も開成のトップは続く。6年には元年からトップ20入りを果たしていた桜蔭が、前年の16位から8位に躍進。女子校で初めてトップ10入りを果たし、以後トップ10をずっとキープしている。

7年はセンター試験の終わった直後、1月17日に阪神・淡路大震災が起きた。1月23日からの国公立大出願に大きな影響を与えた。4年にトップ20入りした海城が、この年、初のトップ10入りとなった。

届かなかった合格番号表で追加入学者

8年は理Ⅲでラ・サールがトップに立ち、洛南が初めてトップ10入りを果たした。京都の学校のトップ10入りは昭和63年の洛星以来8年ぶりだ。元年からトップ20入りしていた浦和・県立がトップ20から陥落した。

9年は国立大すべてが分離・分割方式に統一された年だ。この年は東大が追加入学を認める事態が起こった。今はネットで合格者番号を確認できるが、当時は合格者の受験番号表を電子郵便(レタックス)で、希望する受験生に合格発表日に届けるシステムだった。当日、合格番号の掲示を見に行けない受験生のためだ。ところが、届けられた番号表に抜けページがあり、それで合否を確認した受験生が、自分の番号がなく不合格だと思ったのだ。後にサンデー毎日の東大合格者全氏名に、自分の名前が載っていることを知り、郵便局側の不手際が判明した。入学手続き締め切り後に発覚したことで、東大は入学を認めなかったが、受験生のせいではないことが明らかになり、東大が追加で入学を認めたのだ。この受験生は後期で別の大学にも合格していた。

10年は開成が過去最高の205人合格。この記録はいまだに破られていない。トップ20がすべて中高一貫校となったのは初めてだ。公立では岡崎が21位に入ったのが最高だった。公立校の冬の時代の始まりだ。

平成5年(1993年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 171
2 ラ・サール 鹿児島 107
3 東京学芸大附 東京 104
3 兵庫 104
5 麻布 東京 96
6 桐蔭学園 神奈川 85
7 筑波大附駒場 東京 75
8 巣鴨 東京 59
9   千葉(県立) 千葉 56
10 駒場東邦 東京 54
11 海城 東京 51
12 桐朋 東京 50
13   浦和(県立) 埼玉 48
13 筑波大附 東京 48
13 栄光学園 神奈川 48
16 桜蔭 東京 47
16 武蔵(私立) 東京 47
18 洛南 京都 46
19 聖光学院 神奈川 41
19 久留米大附 福岡 41

平成6年(1994年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 197
2 麻布 東京 105
3 兵庫 100
4 桐蔭学園 神奈川 90
5 筑波大附駒場 東京 87
6 東京学芸大附 東京 83
7 ラ・サール 鹿児島 81
8 桜蔭 東京 70
9 栄光学園 神奈川 66
10 駒場東邦 東京 65
11 巣鴨 東京 64
12 武蔵(私立) 東京 58
13   千葉(県立) 千葉 57
14 愛光 愛媛 54
15 洛南 京都 53
16   浦和(県立) 埼玉 49
17 海城 東京 47
18 桐朋 東京 41
19 東大寺学園 奈良 40
20   岡崎 愛知 37

平成7年(1995年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 170
2 東京学芸大附 東京 110
3 桐蔭学園 神奈川 107
4 麻布 東京 101
5 兵庫 95
6 筑波大附駒場 東京 84
7 ラ・サール 鹿児島 73
8 桜蔭 東京 72
9 栄光学園 神奈川 70
10 海城 東京 68
11 巣鴨 東京 63
12 洛南 京都 58
13 武蔵(私立) 東京 57
14   千葉(県立) 千葉 55
14 桐朋 東京 55
16   浦和(県立) 埼玉 50
17 愛光 愛媛 48
18 筑波大附 東京 47
18 駒場東邦 東京 47
20 久留米大附設 福岡 41

平成8年(1996年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 158
2 兵庫 104
3 麻布 東京 103
4 筑波大附駒場 東京 102
5 桜蔭 東京 93
6 東京学芸大附 東京 90
7 ラ・サール 鹿児島 87
8 桐蔭学園 神奈川 83
9 武蔵(私立) 東京 66
10 洛南 京都 63
11 栄光学園 神奈川 60
12 巣鴨 東京 53
13 駒場東邦 東京 47
13 桐朋 東京 47
15 海城 東京 45
15 久留米大附設 福岡 45
17   千葉(県立) 千葉 43
18 聖光学院 神奈川 40
19 筑波大附 東京 37
20 東海 愛知 36

平成9年(1997年)

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 188
2 東京学芸大附 東京 111
3 兵庫 96
4 桐蔭学園 神奈川 95
5 麻布 東京 93
6 桜蔭 東京 92
7 筑波大附駒場 東京 90
8 洛南 京都 68
9 巣鴨 東京 63
9 ラ・サール 鹿児島 63
11 武蔵(私立) 東京 58
12 駒場東邦 東京 57
13 栄光学園 神奈川 48
14 筑波大附 東京 46
15 海城 東京 45
16   土浦第一 茨城 43
17 桐朋 東京 41
18 愛光 愛媛 40
19   千葉(県立) 千葉 37
20 東大寺学園 奈良 36
20 広島学院 広島 36

平成10年(1998年)

※は国立、◎は私立、無印は公立校を表す

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順位 設置 学校 所在地 合格者数
1 開成 東京 205
2 麻布 東京 101
3 桐蔭学園 神奈川 96
4 兵庫 92
5 東京学芸大附 東京 81
6 筑波大附駒場 東京 79
7 ラ・サール 鹿児島 77
8 栄光学園 神奈川 63
9 桜蔭 東京 58
10 駒場東邦 東京 55
11 海城 東京 54
12 洛南 京都 53
13 巣鴨 東京 46
14 武蔵(私立) 東京 44
15 久留米大附設 福岡 40
16 東海 愛知 39
16 愛光 愛媛 39
18 聖光学院 神奈川 36
19 筑波大附 東京 35
20 東大寺学園 奈良 32