国公立大一般選抜の志願状況発表
志願者数は昨年並み、系統別では「理高文低」に
国公立大一般選抜の出願が2月3日に締め切られ、文部科学省から同日10時時点の志願状況が公表された。
それによると、一般選抜志願者数は、国立・公立の合計で38万7085人。昨年の同日同時点の数値と比べ、1%減少した。国立大の志願者数は27万6846人(1%減)、公立大は11万239人(1%減)で昨年並み。志願者数を募集人員で割った志願倍率は、国立大3.6倍、公立大4.9倍。いずれも昨年同時点より0.1ポイント低い。
日程別では、国立大は前期、後期ともに1%減り、公立大は前期で2%増加、中期2%減、後期4%減。公立大は、学部新設や私立大の公立法人化により、一般選抜の募集人員も2%増加した。
昨年同時点の集計値は、確定値の91%にあたる。23年度の志願者数も1割程度増加するとみられ、最終的な倍率は、国立大は昨年並み、公立大は昨年よりやや緩和すると予想される。
国公立大志願者数合計は、共通テスト受験者数の82%で、昨年同時点の比率である80%を上回った。人数は減ったものの、国公立大への出願意欲は高まっているようだ。
主要国立大の志願状況を見てみよう(2月15日判明分)。
旧七帝大(北海道大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大)の一般選抜志願者数を昨年と比較すると、前期日程は京都大で3%増えたほかは、大阪大と九州大が1%減、北海道大と名古屋大が2%減、東北大と東京大が3%減と、いずれも微減だった。
東京大と大阪大を除く5大学が実施する後期日程は、北海道大(医・歯を除く10学部)で10%増、京都大(法)14%増、名古屋大(医-医)は昨年の2倍に増加。東北大(理、経済)24%減、九州大(11学部中7学部)13%減。名古屋大が大幅に増えたのは、医学部後期が地域枠から一般枠になり、二段階選抜の基準が「共通テスト900点満点中700点以上」から倍率「12倍」に変わったためだ。共通テスト平均点が低かった昨年は、高すぎる「ハードル」により倍率が下がっていた。九州大後期は、昨年、二段階選抜を実施した経済で39%減少した。
文理融合のソーシャル・データサイエンス学部を新設する一橋大は前期・後期の合計で14%増。同学部は前期6.1倍、後期25.8倍と人気を集めた。東京医科歯科大との統合に向けて基本合意書を締結した東京工業大は、10%増加した。
公立大は、22年度に私立から公立化した周南公立大が20.0倍の高倍率になった。
文部科学省の3日10時時点の集計によると、系統別では「農・水産」「薬・看護」「医・歯」の各系統が22年確定値の95%に届き、昨年より増加しそうな勢いがあるのに対し、「人文・社会」は89%。志願者数の増減のみに着目すると、国公立大は、文系学部よりも理系学部の人気が高い「理高文低」の志願状況となっている。
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