早稲田大学が2025年度の「一般選抜」「大学入学共通テスト利用入試」の変更点を発表

入試 大学通信 小林 聡
早稲田大学が2025年度の「一般選抜」「大学入学共通テスト利用入試」の変更点を発表

今年度から導入された高校の新学習指導要領を踏まえ、今の高校1年生が受験する2025年度の入試をどうするか、各大学の対応が注目されている。
そんな中、早稲田大学が2025年度(2025年2月に実施)の「一般選抜」および「大学入学共通テスト利用入試」の変更点を発表した。
私学の雄であり、毎年10万人近くの志願者を集める早稲田はどう動くのか。

新学習指導要領と新科目「情報」への対応

まず基本的な対応として、早稲田大学では全学部が新学習指導要領に即した出題範囲で試験を行う。例えば、旧課程の国語では「国語総合、現代文B、古典B」だったものが、新課程対応の入試では「現代の国語、言語文化、論理国語、文学国語、古典探究」となる。今の高1生は学校で履修している科目が出題範囲となる。ただ既卒生(今の高2生以上)は旧課程で学んでいるので不利になる恐れがある。これについては、2025年度の入試に限り、経過措置として新課程と旧課程で共通する範囲から出題する。しかし、2026年度以降は新課程の範囲のみから出題されるので、旧課程で学んだ受験生は注意が必要だ。

新たに導入された科目「情報」については、学部によって対応が分かれる。
例えば、政治経済学部、国際教養学部の一般選抜では、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の選択科目に「情報」が追加される。政治経済学部ではさらに、共通テストの成績のみで合否が決まる“大学入学共通テスト利用入試”の選択科目にも「情報」が追加となる。
また文化構想学部と文学部の一般選抜(共通テスト利用方式)においても、選択科目に「情報」が加わる。その他、人間科学部とスポーツ科学部にも、「情報」が選択できる入試方式がある。
「情報」を受験科目にする場合、学部ごと、入試制度ごとに使える・使えないが違うので注意したい。

早稲田大学が2025年度の「一般選抜」「大学入学共通テスト利用入試」の変更点を発表
各学部入試の主な変更点(早稲田大学のプレスリリースから)

入試制度を大きく変える学部も

同じタイミングで入試制度を大きく変える学部がある。

○社会科学部
一般選抜は現状、「英国地歴」「英国数」というスタンダードな私大文系型の入試を行っているが、2025年度から「総合問題型」と「数学型」の2種類に再編される。
「総合問題型」は共通テストの3教科3科目が必須となり、それに加えて英語と総合問題の学部独自試験が課される。総合問題について大学は「社会における諸課題に関する文章を読み解き、論理的思考力および表現力を問う問題とします」としている。
もう一つの「数学型」も共通テストの3教科3科目が必須となる。それに加えて学部独自の英語と数学が課される。
今後、学部独自試験のサンプルが公開される予定だ。

○人間科学部
一般選抜は現状、学部独自試験のみの「文系方式」「理系方式」と「共通テスト+数学選抜方式」の3種類だが、2025年度から「国英型」「数英型」「数学選抜方式」に再編される。いずれの方式も共通テストが必須となる。「国英型」は国語と英語、「数英型」は数学と英語、「数学選抜」は数学の学部独自試験を受験する。

上記の2学部についてはこれまで、学部独自試験のみの入試が募集人員の大半を占めていたが、2025年度以降は共通テストを受けていなければ志願できなくなる。

○商学部
一般選抜の「英語4技能テスト利用型」が募集停止となり、「地歴・公民型」の募集人員が増加となる。

ほとんど変更のない学部も

一方で、ほとんど変更のない学部もある。

法学部と創造理工学部・先進理工学部については、新・旧課程による出題範囲以外の変更点はないとみられる。なお理工系学部のもう一つ、基幹理工学部は学系を3つから4つに再編、それに伴って募集人員のスライドがある。

教育学部は2023年度(来年2月実施)の入試において大きな改革を実施するため、2025年度においては新・旧課程による出題範囲の変更以外の対応はない模様だ。

その他詳細は早稲田大学のWEBサイトを参照してほしい。
https://www.waseda.jp/inst/admission/news/2022/12/12/13037/

新学習指導要領への対応は、すべての大学の入試にかかわる。新課程への対応だけでなく、早稲田大学のように同時期に入試改革を行う大学もあるとみられる。今後、各大学の対応方法が順次発表されるので、注目していきたい。