2019年最新実就職率ランキング

キャリア・就職 大学通信 井沢 秀
2019年最新実就職率ランキング

金沢工業大学進路開発センターでの個別指導の模様=写真

19年3月卒の就職状況がまとまった。大学生の好調な就職状況を数値が示し、学生の満足度も高いようだ。ランキングを俯瞰すると、上位に工科系大学や資格系大学が並ぶ例年の光景が見られた。

2020年3月卒の大学生の就職戦線は、就活ガイドラインに則った企業が内々定を出す、6月で山場を越えた。リクルートキャリアの調査によると、6月1日時点の内々定率は70.3%で前年を2.2P上回っている。すでに7割の学生の就職先が決まっており、相変わらずの大学生の売り手市場を物語る。

好調な大学生の就活状況について、すでに確定している19年卒の就活状況から検証してみよう。

19年卒の大学生の就職状況は、18年卒の延長線上にあり、売り手市場が続いた。業種別の動向を見ると、採用人数を減らした銀行を中心に金融志望者が減少し、建設業や福祉関係も労働環境のイメージから厳しい採用環境が続いている。一方、食品業界やメーカーなど、大学生にとってイメージが湧きやすい業種は引き続き人気が高かった。

医学部と歯学部の単科大学を除く全大学を対象に大学通信が実施している就職状況調査によると、19年3月卒の平均値実就職率は、前年を0.7P上回る89.1%だった。高い就職率を背景として、第一志望群に就職が決まる学生は増えており、就職に対する満足度も高い。

リクルートキャリア就職みらい研究所の「就職白書 2019年版(18年12月調査)」によると、就職先に対する満足度について、「非常に満足」と「どちらかというと満足」を合計した「満足・計」は83.0%となっている。ただ、就職先に納得しているかと問い直すと、「あてはまる」と「どちらかというとあてはまる」を合わせた「あてはまる・計」は、前年の73.9%から67.4%に下がっている。

この背景にあるのは、終身雇用制の崩壊など働き方が変わる中で、会社の将来性や仕事内容など入社後の不安を感じる学生が増えていること。さらに、就職活動の短期化による情報収集不足が要因として挙げられる。学生と企業の相互理解が不十分な状態で内々定が出ていることも想定される。

就職先には満足しているが、就職することに対して納得しきれていない学生が多くいるという事が、19年卒特徴のようだ。こうした就活環境を背景とした各大学の就職状況について、大学の規模別の「実就職率ランキング」から見る。