中高受験のエキスパート
安田理先生が選ぶ
首都圏でおすすめの学校は?
私立中高受験のエキスパート。
安田教育研究所代表の安田理先生に注目の学校を聞いた。
わが子が働く環境は
どう変わるのか?
グローバル化の次はデジタル化が日本の課題
私学は早くから「グローバル教育」を行ってきました。が、今回のコロナ禍で、日本のデジタル化への立ち遅れが非常にはっきりしました。デジタル庁を慌ててつくったりしていますが、日本のデジタルの発展は国として避けられない大きな課題になっています。これから日本は 何十万人単位で IT人材が不足してくると言われている現在、教育面でもこの方向が欠かせないでしょう。
大学はすでにこうした時代の変化をにらんで理工系にシフトしています。今年、奈良女子大が工学部を開設しましたが、来年以降もお茶の水女子大に共創工学部、一橋大にソーシャル・データサイエンス学部、共立女子大に建築・デザイン学部、神奈川大に化学生命学部と情報学部、北里大に未来工学部、麗澤大に工学部と続々と誕生します。
このことは高校生の進路先として理工系にチャンスが広がるということでもあります。
「ジョブ型雇用」の時代に必要な資質は?
最近、大手企業が「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」へシフトという報道が頻繁にあります。
皆さんの世代は皆、職務を限定しない「メンバーシップ型」で雇用され、幅広い仕事を経験しながら出世していくという働き方だと思います。そしてそれは「終身雇用」ともつながっているわけです。
ところがここへきて「ジョブ型雇用」に切り替える大手企業が次々と出てきました。事前に職務の内容を明確にし、それに沿う人材を採用するというわけです。そうなると、賃金も基本的には職務に応じて決まり、年功序列給ではなくなります。ふつうに真面目に働いていれば、子どもが大学受験のころにはそこそこの給与になっている、そんな環境ではなくなるということです。
当然社員はスキルの向上が求められます。それも事業環境や企業の注力分野が変われば違ったスキル、より高度なスキルが必要になります。
以前は仕事の多くがマニュアル化されていて、いかに速く、いかに正確に達成するかが評価のポイントでした。ですからあまり主体性、創造性などは求められていませんでした。
私も20年ほど前まで会社員でしたが、何となく仕事は会社、上司から与えられ、人事異動も人事部から降ってくるような感覚でいました。
いまテレビには転職斡旋の企業のCMが頻繁に流れていますが、もはや1つの会社に定年まで、という働き方はごく少数の人にしか当てはまらなくなります。「ジョブ型雇用」へのシフトもそうした流れの中に位置づける必要があるでしょう。
日本の雇用構造、給与体系が大きく変化していくことは間違いないでしょう。
わが子が身につけたい資質
では、こうした変化の時代にわが子を育てるにあたって読み取らなければいけないことは何でしょうか。以下のことが挙げられるのではないでしょうか。
●いくつになっても学び続ける資質・能力。
●新しいことに貪欲に挑むチャレンジングな姿勢。
●受け身でなく、自分からアグレッシブに動く自発性、主体性。
●時代の変化、社会の変化を読み、何をすればいいか判断する力。
学校説明会に足を運ぶと、多くの学校で、ICTスキル、英語4技能、STEAM教育、論理的思考力・・・・・・などの話を聴かれると思います。もちろんそうしたスキルを身につけることはこれからの時代を生きていくうえで欠かせません。
上で挙げたのはそれらのスキルのベースにあるものとして、さらには生きていくうえで備えておきたいものです。お子さんの長い人生を支えてくれるもの、充実させてくれるものと言ってもいいかもしれません。
長い人生においては、先の4つがしっかり身についていないと、苦労して習得したスキルも活きないと考えてください。