中高受験のエキスパート

安田理先生が選ぶ
首都圏でおすすめの学校は?

私立中高受験のエキスパート。
安田教育研究所代表の安田理先生に注目の学校を聞いた。

安田理氏に聞く 今注目の学校

学校選びが難しくなっている

安田理氏に聞く 今注目の学校

安田教育研究所代表
安田 理
東京都出身。早稲田大学卒業。
大手出版社にて雑誌の編集長を務めたあと、
2002年安田教育研究所を設立。

学校により力を入れているものが異なっている

今保護者にとって学校選びが難しくなっている。なぜなのか。
理由のひとつ目は、学習内容の多様化だ。保護者の皆さんの中高時代は、学校のレベルが変わっても、学んでいることはほぼ均質だった。時間割はすべて教科名で埋まり、朝学習や補習・講習もすべて教科学習で、教科以外の時間といえば、HRくらい。ところが今は、時間割に教科以外のものを充てる学校が増えている。
例えば、ある学校の中1の時間割を見ると、週に3回「サイエンス」という時間が設けられている。これは、「科学」を学ぶのではなく、学習法を学ぶ時間。この学校では、「サイエンス」の時間に、探究のやり方、レポートの書き方、発表の仕方などを学ぶのだ。
他にも水曜日の午後はすべて「探究学習」にしたり、土曜日は教養講座にしたりしている学校も多数ある。つまり、それぞれの学校が自校のカラーを出しながら独自の時間割を考え、実施するようになっている。
保護者自身は経験していないだけに、何を重要と考え、学校に何を求めるのか決まっていないと判断がしずらくなっているのだ。

中学でも「コース制」が増えている

理由のふたつ目は、中学でも「コース制」を導入している学校が増えていること。従来は、「特進」「難関進学」「総合」など、「学力別」のコース制が主流だったが、今は、「医進サイエンス」、「グローバル」、「ダブルディプロマ(海外の高校と提携し、日本と海外の高校の2つの卒業資格が取得できる)」など、「学習内容別」のコースを設ける学校も増えてきた。保護者世代が経験していない多様化したコース制を前にして、中学進学段階で決めていいものか悩むわけです。

従来型の教育への不安

また、日本の現状と未来を考えて、従来型の教育でよいのかと悩む保護者も増えている。
皆さんもご承知の通り、日本の国力は低下の一途をたどっている。「JAPAN AS No.1」などと言われた時代は遠い昔のことで、今は経済力もどんどん下がり続けている。また、AIの進化によって、将来の仕事がどうなるのかといった見通しも不透明。「従来型の詰込み型受験校に進学しても、AIに仕事を奪われるのでは……」と言ってくる保護者が大勢いる。
それだけに、わが子には「どのような時代になっても生きていけるスキルを身に付けさせたい」「学歴格差、経済格差は今後ますます広がりそうだから、わが子は常に上層にいさせたい」「組織の一員となってもいつリストラに遭うかわからない。それならグローバル化、デジタル化社会にふさわしい起業家を目指してほしい」などといった多様な保護者からの声が寄せられるようになっている。

学校の役割とは?

親しい校長先生何人かに「次の時代を生きていく生徒をどう育てているのか」訊いてみた。左記のような答えが返ってきた。

●校内で海外進学ガイダンスを行ったところ、大教室がいっぱいになるほど生徒・保護者が参加した。進学先として多くの選択肢を視野に入れておきたいという志向がうかがえた。
●VUCAの時代、汎用性のある基礎学力や広い視野をきちんと身に付けておく必要がある。
●VUCA時代を乗り越える能力や答えは見つけたくても見つからないかもしれない。ならば、答えにたどり着かなくても、粘り強く考え行動し、答えの「近似値」を見つけることができる柔軟性を養う教育が大切になるのではないか。
●大変で不安な社会であっても、自分で世界のあり方や今後を考えつつ、明るく変化を楽しみながら「やってみよう!」とチャレンジできる生徒を育てられるように頑張ります!

いかかでしょう。なかでも最後のメッセージは本当に力強いと思う。だからこそ保護者の皆さんも、「厳しい時代になる。大変だ」ではなく「こんな時代だからあなたの進路はどんどん広がるのよ」という前向きな声掛けをしていただきたい。