大学学部学科選び入門
家政学 系統〜家政、生活科、生活環境学部など〜
この系統の多くは女子大に設置されています。伝統的に“良き家庭人”の育成に重きを置いていましたが、近年は、人々の生活全般を広くあつかう「生活科学」の色彩が濃く、管理栄養士や保育士などの資格が、学部の人気を後押ししています。
快適なくらしを追究する「生活科学」
家政学では、「衣食住」を中心に、生活に関わる分野を学びます。最近では、環境や教育とも結びつきが強く、より学際的に学べるカリキュラムを導入する大学もあります。
家政学で学べる分野は大きく、「環境」「栄養」「子ども」の三つの領域に分けることができます。
家政学で扱う「環境」では、主に「生活環境」について学びます。衣服や住居といった身近な環境をとおして、より快適な生活を追究していきます。
家政学の中で最も歴史が古い服飾分野では、裁縫技術を教えてきた伝統を受け継ぎ、現在の服飾系学科でも、服飾デザインやパターンメーキングといった実際の服作りに関わる教育が行われています。また、人間に一番近い環境として衣服をとらえ、肌に優しい素材や、着心地を重視した衣服設計などの研究も進んでいます。素材の研究では、洗浄や染色についての実験もあり、理系的な要素も含んでいます。1級衣料管理士(テキスタイルアドバイザー)の資格も取得可能です。
また、住環境に焦点を当てて学ぶ住居・環境分野では、どのような空間や環境が人々にとって快適であるのかを生活者の目線で考えていきます。住宅や建築、都市などに関わる科目のほか、福祉系の科目も充実しています。CAD演習や模型制作演習、空間表現演習、設計デザイン演習など、理論を実際の形に表す演習科目が充実しているほか、コンピュータ科目なども多く用意されています。大学によっては二級建築士や木造建築士の受験資格、インテリアプランナーの資格が取得できます。
「栄養」系は、食物全般を扱う食物学、食物科学の学科・コースと、管理栄養士の資格をめざす学科・コースに分かれます。
食物科学科では栄養学、調理学、食品学など自然科学系の科目を中心に学び、食物の特性や栄養についての知識、調理技術などを身につけます。栄養士やフードスペシャリストなどの資格が取得可能で、卒業後の進路としては、食品メーカーでの食品開発部門などが人気を集めています。
管理栄養士養成課程では人々の健康維持・増進や疾病予防に貢献する管理栄養士の国家資格取得を目標としています。生活習慣病や不適切なダイエット、高齢化社会への対応など、現代における管理栄養士のニーズは高く、医療や福祉との関係も深いことから、病院や介護施設での実習が必修となっています。
子どもの健全な食生活を指導する“食育”が重要視される中、その中心となる「栄養教諭」の活躍も期待されています。
幼稚園教諭免許、小学校教諭免許、保育士資格が取得できる「子ども」関係の学科・専攻は、家政学の中でも人気があります。児童学を軸に、家族・社会・文化・心理など幅広い視点から子どもの心身の発達を総合的に考察していきます。山積する現代社会の問題にも触れながら、人格形成において重要な子ども時代に関わる教育者としての自覚を育て、豊かな人間性と広い視野を養っています。カリキュラムには、理論科目とともに、ピアノや工作などの実技科目や、保育園などで子どもと接する実習も盛り込まれています。
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栄養学・保健学。それは、生命・生活のあり方を見つめる学問です。ー女子栄養大学栄養学部
写真=女子栄養大学
現在、日本は世界有数の長寿国となっていますが、現代の豊かな食生活は、糖尿病、心筋梗塞といった生活習慣病や、介護の必要な高齢者の増加という新たな課題を生みました。その一番の解決策は「病気にならない体をつくる」ということ。現在、予防医学の重要性が広く認識されています。
その基礎となるのが栄養学。栄養学の知識は、食・産業・健康・医療・教育など、様々な分野で生かすことができます。不適切なダイエットや超高齢社会なども社会問題化しており、食や健康に関する分野への社会的需要はますます高まっています。
女子栄養大学は創立以来、食と健康をテーマに栄養学と保健学の実践的な教育と研究に取り組んできました。管理栄養士国家試験の合格者数は9年連続全国1位の実績を誇っています。また、臨床検査技師国家試験の合格率や養護教諭、家庭科教諭などの採用者数にも高い実績があります。専門職への就職は社会動向の影響を受けにくく、病院、学校、福祉施設、食品メーカーなど多岐にわたり、極めて高い就職率を保っています。
キャンパスには、時代のニーズに即応した教育・研究活動が可能な充実した研究施設と、最高峰の教育陣が待っています。
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