大学学部学科選び入門
人文科学系統〜文、人文、人間、教養学部など〜

大学選び入門
大学学部学科選び入門 人文科学系統〜文、人文、人間、教養学部など〜

近年、教養教育“リベラル・アーツ”の重要性が再認識されています。この系統はその中枢に位置し、「人間とは何か」をテーマに、私たち人間の存在意義を問う普遍的な分野について多角的な視野から学んでいきます。

大学学部学科選び入門 人文科学系統〜文、人文、人間、教養学部など〜
写真=二松学舎大学文学部の授業風景

人文科学系統を代表する文学部

人文科学系統の筆頭として挙げられるのが文学部です。古く伝統ある学部で、文化、芸術、歴史、環境など、人間に関わる多様な学問領域をカバーする複数の学科・専攻を設置しています。ここでは、「文学」「歴史学」「哲学」「心理学」の4つの代表的な分野について説明します。

「文学」分野では、日本文学(国文学)や英文学、フランス文学、中国文学、ドイツ文学、ロシア文学など、地域や言語別に学びます。小説や詩歌、戯曲などを題材に、表現や文法を研究する言語学的なアプローチが特色。このほか、作品の時代背景や作者の心的模様にも触れる歴史学、心理学、社会学に通ずる周辺領域の研究にも焦点を当てています。また、最近では、「英米文学科」→「英語・英米文学科」というように名称を変更し、語学に力を入れる学科も多いほか、日本文学科などでは、外国人に日本語を教える日本語教員の養成課程が人気を集めています。

「歴史学」を学べるのは歴史学科や考古学専攻などですが、最近では、独立していた地理の分野と融合させた史学地理学科などもあります。各時代の文書や日記、絵画などの資料を通して、歴史という大きな流れに沿う人間の営みや文化を研究していきます。遺跡や博物館へ足を運ぶ学外でのワークショップも盛んに行われています。

人文科学の生みの親ともいうべき「哲学」は、哲学、倫理学、美学、宗教学などに細分化されます。哲学では、東洋・西洋の哲学を追究します。一方、倫理学はその哲学を現実社会に発展させ「いかに生きるべきか」を考える学問です。美学では、美そのものについての論理的研究のほか、芸術との関わりに触れる美学美術史の学科・専攻もあります。宗教学では世界の宗教や思想、宗教と人間との関わりなどを探究していきます。

そして、「心理学」では、人間の心のメカニズムを科学的に解明します。基礎心理学と応用心理学に大別され、目的や対象によって細かい分野に分かれています。知覚や記憶、思考など人間の基本的な認知機能を研究する「認知心理学」、脳と心の関係を研究する「神経・生理心理学」、人格の形成過程などを研究する「人格心理学」などがあります。応用分野はさらに幅広く、社会心理学や犯罪心理学など多岐にわたっています。

近年、学校や病院、一般企業など、さまざまな場でカウンセラーの需要が高まっています。実際にカウンセラーとして働くには、基本的に“臨床心理士”の資格が必要で、所定の大学院を修了する必要があります。

また、日本初の臨床心理の国家資格として誕生した公認心理師は、心理に関する支援が必要な人に対し、その心理状態を観察・分析し、相談に応じて助言、指導などを行う専門家です。心理学科などを擁する大学では国家資格取得に対応したカリキュラムを用意しています。受験資格を得るためには、大学かつ大学院で必要な科目を修了するか、大学で必要な科目を修了後、特定の施設で2年以上、心理職の業務に従事する必要があります。

なお、文学部に近い学部として、人類の知的営為にせまる人文学部、教養学部などがあります。人文学部は人間文化学科、現代文化学科など「文化」に関連する分野を扱うケースも目立ちます。また、教養学部では多様化した専門分野を横断的に学びながら、互いの領域を学問的に関連づけていくことで、人間や文化の深層に迫っています。

副専攻制で国際性を養う外国語学部

対象となる言語は、英米語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語のほか、近年のアジア圏への関心の高さから、中国語や韓国語も人気があります。これ以外にも、タイ語、ギリシア語、インドネシア語、アラビア語など、大学により広範な言語を学べる大学もあります。ただ、どの言語を専攻していても、英語は必修です。

外国語学部では、「読む・書く・聞く・話す」の4技能を磨き、文法や語彙力、コミュニケーション能力を高めます。専攻語圏の歴史や文化、政治、国際関係など、異文化理解を深める多彩な科目があります。第二外国語として他言語の習得も可能です。また、TOEIC®、TOEFL®などの語学試験のサポートや多彩な留学制度を用意している大学も数多くあります。

こうして培った言語能力と知識を生かして、卒業後は企業のほか、国際交流団体やNPOなど、国際社会における橋渡し役として活躍する人も少なくありません。

現実問題をあつかう人間科学系学部

人文科学系統の中で、より実際的な研究を行うのが、人間科学部、人間環境学部、人間関係学部などの人間科学系の学部です。実社会の問題に触れ、社会、教育、情報、自然といった人間を取り巻くさまざまな環境と人間との関わりを多角的に考察していきます。

大学によってカリキュラムは大きく異なります。例えば人間関係学科では、人間と人間を取り巻く家庭や地域、企業、社会など、さまざまな世界との関係性を追究しています。

〈言葉〉をとおして、他者と世界への通路をひらくー二松学舎大学 文学部 文学部長 瀧田浩教授

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心に伝えたいことが生まれたとき最も身近にあるのは〈言葉〉です。〈言葉〉は人生を変えることもあります。そのような〈言葉〉に改めてまなざしを向けるのが文学です。二松学舎大学文学部は、〈言葉〉にひそむ力を引き出し、みずからの可能性を広げ、他者に伝える知恵を学ぶ場です。

二松学舎大学の始まりは、日本が西洋文明に広く染まった明治初期に「東洋の文化を忘れてはいけない」と創られた小さな漢学塾です。活発なゼミナール合宿や勉強会など、教員と学生の対話、学生の主体的な学びを尊重する姿勢は140年以上続く伝統です。

開設6年目になる都市文化デザイン学科では現代的なメディアの映像言語等も、22年度開設の歴史文化学科では、東洋史と西洋史の双方を研究します。日本文学・中国文学を起点とした〈言葉〉をめぐる研究は、建学の精神を実践しつつ拡充してきました。

新型コロナウイルスの影響により価値観が世界規模で変化していく中、社会の動向を確実に見通すことはできません。そのような今だからこそ、人と人をつなぐ〈言葉〉の重要性は高まります。私たちは〈言葉〉を糧として、また武器として世界に対峙しようとする真摯な若者たちと共に学んでゆきます。

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