【中学入試】学習塾が勧める中高一貫校ランキング2024
ICT教育に力を入れている中高一貫校
写真=広尾学園中学校・高等学校
いつの時代も難しいのが学校選び。わが子にあった学校に進学させるためには、上手な志望校選びが必要だ。そこで役立てたいのがエキスパートの意見だ。首都圏の学習塾にアンケートを実施し、303学習塾の塾長、教室長から回答を得た。項目別に学校を5校連記で記入してもらい、最初の一貫校を5ポイント、次を4ポイント……として集計した。
1位の広尾学園は、近年サイエンス教育に力を入れるとともに、それに伴う学びの充実や情報リテラシーに関する指導に合わせ、ICTを活用した教育環境を充実させている。生徒たちはGoogle Workspace for Educationを中心に授業での教材配布や課題提出、委員会や部活動などでの連絡手段として活用。さらに、Web上の映像授業を予習に用いたり、スケジュールや定期試験の振り返りなどの記録用に自己管理ツールを使うなど、学校生活のさまざまな場面でICTを活用している。また、創造的な活動の場である「ICTルーム」では、3Dプリンタやレーザーカッターを使った講座を実施するほか、「サイエンスラボ」には大学レベルの最新設備を揃え、「LibrariE」という電子図書館も導入されている。
2位の開智未来は、「3I’s(Inquiry=探究活動、Internationalization=世界水準の英語発信力、ICT=つなげる知能としてのICT)」を教育の柱として、「知性と人間をともに育てる」をモットーに、開智学園が共通で掲げる「国際社会に貢献する心ゆたかな創造型発信型リーダーの育成」を目指している。300人が独習できる「アカデメイア」や「質問スペース」など独自の学びの空間のほか、ICT環境も充実。一人一台のタブレットPCを最大限に活用して、モラルやマナーを学んだ上でデジタルリテラシーを身につける。毎年2月に行われる「未来TED」は、中学1年から高校2年までの各学年代表の生徒がICT機器を活用して日本語や英語でのプレゼンテーションで競い合う、1年間の学びの総仕上げとなる一大イベントだ。
3位の工学院大附は、工学院大との包括的連携に基づく教育環境を整え、先端数理情報工学を核とした「K-STEAM教育」を推進。全てのHR教室には電子黒板とWi-Fiを完備し、ICTを活用したアクティブラーニングを実現する環境で、現代に必須の情報リテラシーを養うほか、全生徒がPCを携帯して授業が行われている。また、3Dプリンタや3Dスキャナ、大型モニタや可動ボードなどを設置した「MakeRoom」や「Fabスペース」では、マインクラフトや3Dモデリング・プログラミング、映像・音楽・デザイン制作など、生徒の柔軟な発想を形にする経験を積むことができる。さらに、隣接する工学院大学八王子キャンパスの施設の一部を利用でき、ラボでの実験授業や、大学教授による特別講座、探究論文のための研究室訪問といったプログラムも充実している。
4位の神奈川大附は、2024年に開校40周年を迎えた。「学び続ける生徒」を育む学校として、先進的な教育や体験を重視したプログラムなど、幅広い学びの機会を用意している。全生徒がタブレットPCを持ち、授業はもちろん、学習管理システムを活用した自己管理や探究活動を通じて、生徒の主体性と協働性を引き出す。ICTの活用により、学力とともに社会で求められる資質と「力」の土台を形成する。中学1年生では、道徳の授業でSNS講演会を開き、SNSの利用方法や向き合い方をクラスで話し合う。また、e-learningシステムの採用に伴い、海外協定大学推薦制度(UPAA)を導入。一定の条件を満たした生徒に対して、海外大学への進学を支援し、2024年度入試では計5大学に延べ6人が合格した。
5位には市川と芝浦工業大附がランクイン。
市川は、2009年度から文部科学省スーパーサイエンスハイスクールの指定を受けており、探究活動も活発な学校だ。同校では、2017年度より中学3年生から一人に一台のタブレットPCを貸与し、授業だけでなくさまざまな場面で活用している。たとえば、英語の授業では、ネイティブスピーカーによるマンツーマンでのスピーキングトレーニング、理科の実験や社会の授業では記録として動画や写真を撮影し、その後の検討や分析、試験前の復習などに活用している。さらに、クラウドサービス「Classi」を活用した学習記録のほか、文化祭や修学旅行の委員がプロジェクトを進める際に情報共有や資料のやりとりを行うなど、タブレットは生徒の自主的な活動に欠かせないものとなっている。
芝浦工業大附は、理工系大学の附属校である強みを生かし、「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Arts(芸術)」「Mathematics(数学)」の5つの力を総合的に学ぶSTEAM教育を実践。探究型学習や理工系人材育成のためのプログラムのほか、情報教育にも力を入れている。また、「日本語」「英語」「コンピュータ言語」をコミュニケーションの根幹となる3つの言語として、独自のカリキュラムを展開。コンピュータ言語を学ぶ中学校の実践型授業「探究IT」では、1年次にScratchでプログラミングの基礎に触れることから始まり、2年次にAI搭載データ検索・分析ツールAstrategyなどのITツールの使い方を学び、3年次には同校のオリジナルテキストで3DCADを学ぶ。
<表の見方>
-
首都圏の学習塾にアンケートを実施し、303学習塾の塾長、教室長から回答を得た。項目別に学校を5校連記で記入してもらい、最初の一貫校を5ポイント、次を4ポイント…として集計した。
無印は公立、◎印は私立を表す