2011年と2021年の大学合格者数を比較 伸びている学校はここだ! 総合第1位は東京都市大付!慶應義塾大、明治大でトップなど複数の難関大学でランクイン。厚木、洗足学園、横浜翠嵐が続く
早慶は首都圏上位校から根強い人気
表4 慶應義塾大合格者が増えている学校上位20校
次に難関私立大について見ていきましょう。まずは慶應義塾大です(表4参照)。トップは東京都市大付で、62人増でした。東京都市大付は高校募集のない完全中高一貫校で、そのメリットを生かし、6年間を前期・中期・後期に分け、発達段階に応じた教育プログラムを展開することで難関大の合格者を大きく増やしています。
2位は横浜翠嵐で57人増でした。横浜翠嵐は表1でもトップで、東大、慶應義塾大と国立・私立ともに最難関大学の合格実績を伸ばしていることが分かります。
52人増で3位となった頌栄女子学院は、高校募集のない完全中高一貫の女子校です。主要5教科について中学から発展的な内容を授業の中に多く取り入れており、特に英語と数学は授業時間数が標準よりも多いという特徴が奏功し、合格実績を高めています。
4位は洗足学園で51人増、5位が芝で41人増、6位は本郷が38人増で続きます。
慶應義塾大の本部がある三田キャンパスは東京・港区に所在していますが、日吉、矢上、湘南藤沢の3キャンパスは神奈川県に所在します。そのためか、上位5校までに神奈川の高校が2校ランクインしています。
表5 早稲田大合格者が増えている学校上位20校
続く表5の早稲田大では、日比谷が91人増でトップに立ちました。日比谷は表1の東大で2位、表4の慶應義塾大でも8位となっています。
2位は私立武蔵で76人増です。中学・高校とも1年次4学級ですが、授業の一部で1学級を2つに分ける、20~22人の分割授業による少人数教育に特徴があります。
3位は東京都市大付で75人増、4位は洗足学園で60人増、5位は横浜市立の中高一貫校である南が45人増で続きます。
ランキング全体では東京と神奈川の公立校が数多く見られます。東京では1位の日比谷、11位の九段中教、16位の青山、小金井北、城東の5校、神奈川は5位の南、8位の横浜翠嵐、12位の厚木など5校。東京、神奈川の公立校の教育改革の成果が表われています。
表2の東大合格者ランキングでは男子校の多さが目立っていたのに対し、東大や早慶をはじめとする合格者の増加数ランキングでは、多くの共学校や女子校が登場しています。以前は女子の進学先と言えば文や家政系の学部というのが一般的でしたが、近年は社会科学系、理工系、医療系などを含め進路に多様性が出てきています。国公立大、私立大ともに女子受験生の進出が顕著になってきており、それが大学合格実績に反映されているといえるでしょう。
また、首都圏の上位校に早慶人気が高い理由は、東大をはじめとする難関国立大の併願校として定着していることが挙げられます。その背景には受験生の現役進学の高まりも見過ごせません。経済的な問題もあって、浪人するよりは現役で進学する高校生が増えています。早稲田大、慶應義塾大などの難関私立大は就職もよく、国公立大を上回る実績を残しています。そのため、浪人すれば東大に合格できる実力があっても、現役進学を優先して早慶などの難関私大に進学するわけです。
女子から人気の上智大 近年は東京理科大も女子受験生が増加
表6 上智大合格者が増えている学校上位20校
表6は上智大のランキングです。1位は広尾学園、2位は頌栄女子学院、3位は国際基督教大の順になりました。
上智大はカトリック系の大学で英語をはじめとする語学教育に力を入れているため、女子学生の比率が高いのが特徴で、女子受験生から人気を集めています。ランキングに登場する25校のうち24校を女子校と共学校が占め、男子校は20位の東京都市大付のみとなっています。コロナ禍で国際系人気はやや下火となっていますが、状況が改善し人気が復活することがあれば男子校の割合も増えてくるかもしれません。
表7 東京理科大合格者が増えている学校上位20校
次に表7の東京理科大を見てみましょう。1位は横浜翠嵐、2位は県立船橋、3位は東京都市大付です。理系というと、男子が多いと思いがちですが、近年では“リケジョ”と言われる理科系女子が増加しています。リケジョには主に医、歯、薬、看護など医療系学部の人気が高いのですが、理、生命科、農、理工などの学部でも女子受験生が増えています。東京理科大の合格者増加数のランキングでも、上位20校のうち男子校は2校にとどまり、ほとんどが共学校です。女子校では洗足学園が20位にランクインしています。