2019年度入試状況から読み解く 私立高等学校 2020年度入試予測

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2019年度入試状況から読み解く 私立高等学校 2020年度入試予測

2019年度入試で人気を集めた東洋大学京北高校=写真

高校入試も中学入試と同様、大学付属校人気が続いている。特に早慶やMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)などの難関大付属は、ここ数年高い競争率で推移している。一方で、2021年度以降の変更点として本郷や、豊島岡女子学園などが高校募集を停止すること発表しており、今後は上位進学校の争いがいっそう厳しさを増しそうだ。

高校入試の仕組みを知る 一般入試と推薦入試

高校入試は中学受験に比べ複層的で、都県によって内容が異なる。まず首都圏における高校入試について、理解しておきたい。私立高校の入試には、一般入試と推薦入試がある。

一般入試は学科試験、調査書、面接などによって各校が独自に選考を行う。私立の学科試験は通常、国語・数学・英語の3科目だが、開成(東京)や渋谷教育学園幕張(千葉)、市川(千葉)などの難関校は、理科・社会を加えた5科目の入試を行っている。栄光ゼミナール高校入試責任者の内田幸仁さんは、次のように話す。

「これらの学校は併設中学の入試を国語、算数、理科、社会の4科目で行いますから、社会、理科もある程度の力がないと中学から入学した生徒との差が開いてしまいます。また、難関校は大学進学で国立大志向が強く、やはり理科や社会がしっかりできていないと対策が難しくなります」


推薦入試は募集人数の50%まで認められており、ほとんどの学校で実施されている。入試開始日は、東京と神奈川では推薦が1月22日以降、一般入試が2月10日以降だ。埼玉は推薦、一般などの制度による日程区分は設けず、1月22日以降に実施される。千葉県は前期と後期があり、前期は1月17日以降、後期は2月5日以降に行われている。


東京の多くの高校では、一般入試に「併願優遇」制度を設けている。公立高などが第一志望で、その私立高を第二志望(第三、第四などの場合もあり)として受験するときに活用される制度で、中学校での成績(内申)など、各私立高が定めた基準を満たしていれば、一般入試で優遇される。

入試本番で極端に点数が悪いなど、大きな失敗をしない限り、ほぼ合格する。都立(公立)が第一志望の生徒は、この制度を利用して私立高の合格を確保してから都立高入試に臨むパターンが一般的だ。


神奈川でも、東京と同じく一般入試で「併願受験」を設けている。学科試験は受験するが、各校が定める基準を満たせば、入試前にほぼ合格が保障される。さらに最近は、一般入試を「書類選考」で行う学校が増えてきた。これは、内申の基準を満たしていれば、学科試験を受けることなく入学が許可される試験方式だ。法政大国際、法政大第二は第一志望者に限定しているが、鎌倉学園や桐蔭学園などは他校併願が可能だ。


これらの制度は、秋以降に行われる「個別相談会」で高校と相談して申請することが多いので、必ず出席するようにしたい。その後、12月の「入試相談」で各中学校の先生と私立高との話し合いが行われ、合否の見込みを立てることができる。


また、難関校ではこれらの優遇制度を実施している学校は少なく、学科試験や面接等の成績による競争で合否が決まるケースが多い。


埼玉や千葉で、「併願優遇」や「併願受験」の役割を果たしているのが「推薦入試」だ。推薦入試には、必ず入学しなければならない「単願推薦」(第一志望のみ可)と、併願を自由に行える「併願推薦」(通称「B推薦」)がある。東京と神奈川は、一般入試の併願制度があるため、単願推薦しか受験が認められていない。

都内には併願推薦を設けている高校もあるが、埼玉と千葉の受験生を対象とした制度だ。併願推薦は基準を満たせばほぼ合格が保障されるので、早い段階で進学先を押さえ、より難度の高い高校にチャレンジする受験生も多くいる。なお、難関校では推薦の募集枠が少ないケースや、書類だけでなく学科試験や小論文、面接を課して合否を決定する学校もある。


高校入試が複雑なわけを、内田さんは次のように説明する。


「中学入試は受験した学校すべてが不合格でも、公立中に進学できます。義務教育ではない高校入試には、必ず選考があります。そのため、セーフティーネットとしていろいろと入試が工夫されています」

併願優遇・受験や推薦は内申が鍵になる。各教科の評定値の他に、英検や漢検、数検などの資格や、生徒会や委員会活動、部活動の部長、大会での成績、皆勤などを内申に加点してくれる高校もある。勉強はもちろんだが、いろいろなことに挑戦し充実した中学校活を送ることで、進学先の選択肢が広がる。

別学の共学化が進む 20年度から就学支援金が拡充

19年度入試も、この数年と同様に、大学付属校が人気だった。私立大学は入学定員厳格化などで大学入試が厳しくなっており、高校入試から付属校を目指す受験生が増えている。通常、高校入試の競争率は1.0〜1.5倍だが、早慶、MARCHのほとんどの付属校が2.5〜4.5倍で推移している。

早稲田大の付属校は、早稲田大本庄高等学院(埼玉)が2,351人の志願者を集め、競争率も前年の3.8倍を0.6ポイント上回る4.4倍だった。20年度から二次試験の面接がなくなり、さらに受験生が増えそうだ。早稲田大系属早稲田実業学校(東京)は男子が3.4倍、女子が4.3倍と、女子にはより厳しい試験になった。慶應義塾大の付属校は慶應義塾(神奈川)が2.6倍、慶應義塾志木(埼玉)が3.6倍、慶應義塾女子(東京)が3.7倍だった。


注目は中央大附(東京)だ。前年よりも志願者が188人多く、競争率も2.7倍から5.0倍と大幅にアップした。19年の競争率が低かったため、狙い目と考えた受験生が集中したと考えられる。法政大国際(神奈川)も学科試験が3.3倍、思考力入試は5.0倍に達した。


中でも人気を集めたのが東洋大京北(東京)だ。単願推薦で60人の募集に145人が志願した。一般入試でも1回目1.4倍(併願優遇を含む)、2回目3.2倍と高い競争率になった。


難関進学校も多くが競争率2.0倍〜4.5倍と、ほぼ例年通りだった。開成(東京)は2.8倍。渋谷教育学園幕張(千葉)は男子が2.9倍と例年並みだったが、女子は4.6倍と前年より1.7ポイントアップした。


最近の高校受験の特徴として、Web出願を導入する学校の増加が挙げられる。このほか、男女別学校の共学化や、学科・コースの改編、中高一貫校の高校募集の停止といった改革に取り組む高校も見られる。

20年度は小野学園女子(東京)が「品川翔英」に校名変更し共学に、横浜(神奈川)は高校のみ共学になる。武蔵野大(東京)は19年度に「武蔵野女子学院」から校名を変更し中学が共学化したのに続き、20年度は高校も共学化する。武蔵野大附千代田高等学院(東京)は女子のみの募集だったリベラルアーツコースとメディカルサイエンスコースを共学化し、全コースが共学になる。


聖セシリア女子(神奈川)は高校募集を再開、中村(東京)は18年に再開した国際科に加え、普通科の募集を再開する。専門学科の募集を停止するのは、村田女子(東京)の商業科、和洋国府台女子(千葉)のファッションテクニクス科、叡明(埼玉)の情報科、つくば国際大(茨城)の家政科など。


さらに、本郷(東京)が21年度入試から、豊島岡女子学園(東京)は22年から高校入学生の募集を停止する。入試の変更では、千葉の難関校、市川と昭和学院秀英が、20年度から後期入試を廃止する。


また、20年度から国の「私立高等学校等就学支援金制度」が拡充される。年収590万円未満の家庭を対象に、私立高授業料の全国平均額にあたる約40万円*が支給される。私立高の教育が評価され、最近は公立高との併願ではなく、私立高を第一志望で受験する生徒が増えている。この制度により、経済的な事情で私立高を選択できなかった生徒にも、選択肢が広がりそうだ。


(*文部科学省「私立高等学校等授業料等の調査結果」による)