大学受験 入門講座
2020大学入試はこうして行われる!

入試
表6 生徒に人気のある大学はどのような大学でしょうか?

トップは「自分のしたい勉強ができる大学」で69.8%、次いで「資格が取得できる大学」で62.6%、「社会的評価・イメージが良い大学」60.6%、「就職に有利な大学」59.5%、「知名度が高い大学」57.3%、「家から通える大学」53.1%の順だった。「就職に有利な大学」は不況期には1位を取るなどベスト3の常連だったが、ここ数年は4位以下にとどまっている。

就職状況の好転により、ブランド志向や有名大学志向が強まり、リーマン・ショックによる不況が到来する前の状況に戻ってきている。逆にその当時と異なるのが、国際系の躍進だ。「留学制度の充実・国際交流の活発な大学」は人気を維持、4年連続で10位以内に入っている。世の中のグローバル化の動きに、受験生の関心が高まっているようだ。

この傾向は受験生の学部志望動向にも表れている。表7を見てほしい。

生徒に人気がある学部・学科系統はどこでしょうか?

国際系は2位(49.2%)で、この4年で1位→1位→2位→2位と、安定した人気を得ている。1位は2年連続で経済系(64.2%)で、昨年よりさらに9.5ポイントも増えている。3位以降は経営系(48.0%)、看護(35.6%)、情報系(35.1%)と続く。3位の経営系も毎年上昇を続け、今年も5.2ポイント増えて初めて看護を抜くなど、好調な就職状況を背景にした文系人気の回復が顕著になってきている。

不況下で続いてきた「理高文低」が「文高理低」に変化している。大手予備校の入試分析担当者によれば、この傾向は来年も続きそうで、特に経済、商、経営の社会科学系の志願者が増えそうだ。

■入試トピックス④
文系学部の動向
文系の志願者は、景気の回復に伴って幅広い就職先のある経済・商・経営などの経済系学部を中心に増えてきたが、難化の反動で19年は沈静化した。
国立難関大では経済系が減った一方、志願者が減っていた法学部の人気が上がる傾向が見られた。
私立大でも文系学部は志願者増で難化が続いていた分、学部系統により志願者が減る傾向が見られました。難関大で志願者減が多く、安全志向が顕著になっています。

2年後に迫る大学入試改革

20年度(21年4月入学者が対象)から、大学入試が大きく変わる。現在はセンター試験が入試において大きな役割を果たしているのはこれまで見てきたとおりだが、21年1月からはセンター試験が廃止され、かわって「大学入学共通テスト」が実施される。

この入試改革の背景のひとつには、今までの試験が知識、技能に偏った問題が出題されてきたことへの反省がある。そのため日本の子どもたちは、他の国の子どもたちに比べて、答えが一つの問題には強いが、答えがない、あるいは複数ある問題には弱いといわれていて、これを改革していくのも狙いだ。

グローバル化の進展に加え、IoT、AIなど科学技術の進歩が著しい中、これからの子どもたちには、より柔軟で多様な能力が求められることは間違いないだろう。こうした将来の動きをにらみ、教育を変えていくための第一歩として、入試改革が実施されることになったのだ。

また入試も変わる。推薦・AO入試は学力をしっかり問うものになり、逆に一般入試は、従来は学力試験の成績だけで合否が決まっていたのが、高校時代の活動歴なども合否の判断に使うよう求められる。

20年度の入試改革にあわせ、推薦入試は「学校推薦型選抜」に、AO入試は「総合型選抜」に、一般入試は「一般選抜」にそれぞれ名称が変わる。

こういった改革が行われるわけだから、今までの学習に加えて、英語の4技能をしっかりと身につけることが求められる。さらに、国語力のアップも必要だ。しかも大学入試が多面的評価になるので、高校時代に部活動や学校行事にも積極的に取り組むことが求められる。勉強だけしていればいい、部活動さえしておけばいい、などという考えは捨てたほうがいいだろう。

改革後の入試を最初に受けるのは現在の高校2年生だが、もちろん浪人すれば現在の高校3年生も対象になってくる。学校生活の中で、何事にも主体的に取り組むなど、やがて来る新たな入試への対策をしていくことが大切だ。

■入試トピックス⑤
理系学部の動向
文系人気が高まる一方、理系志願者は減少傾向が続いているが、今年は理学系と工学系は前年並みと見られる。
工学系分野の中では、オリンピック需要などの影響で高まっていた建築、土木系の人気が沈静化した一方、AIやIoTなど情報化社会の急速な発展に伴い、情報科学や情報工学の人気がアップしている。
そうした中で農学系は私立大を中心に志願者が減少しており、志望者にとっては狙い目になりそうだ。