大学入試改革初年度となった21年度入試
全国型国立大、入試改革を断行した私立大で志願者減少
写真=関西学院大学提供
21年から新たに始まった大学入学共通テストの志願者数は53万5245人(前年比4%減)。現役志願者の0.5%減に対し、浪人志願者は19%と大きく減少した。
国公立大志願者数(2月5日現在)は、国立大28万545人(前年比4%減)、公立大12万57人(同3%減)でいずれも減少したものの、共通テスト志願者の減少率程度にとどまった。国公立大にこだわる受験生が少なくなかったためだろう。共通テストの英語、国語、数学の平均点が約6割と高かったことも、国公立大への出願を後押しした。
国立旧7帝大の志願者数は、全国型の北海道大(12%減)、東京大(3%減)、京都大(4%減)では減少したが、地元出身者の比率が高い名古屋大(4%増)、九州大(5%増)をはじめ大阪大(5%増)、東北大(0.2%増)で増加した。
新型コロナウイルス感染症の拡大により高校が休校し、学習の遅れに対応するため、共通テストは2回の日程と特例追試が設けられた。さらに横浜国立大や宇都宮大などが感染拡大防止の観点から個別学力検査の中止を発表し、入試改革以外の面でも大きな変更があった。
私立大一般入試の志願者数は、大都市圏の大学を中心に減少傾向だ。現役生は、早くに合格が決まる推薦入試などを選択したと見られ、併願受験が多い浪人生が減ったこともあり、全体に志願者数が減少した。
主な私立大の志願者数(2月16日までの確定分)を昨年と比較すると、大きな入試改革に踏み切ったところで減少が目立つ。その筆頭が早稲田大だ。一部学部で共通テストを必須化するなどして12%減少、ほぼ50年ぶりに志願者数が10万人を割った。青山学院大は共通テストと論述などを組み合わせた個別学部日程で大幅減、全日程で31%減少した。このほか、法政大や東京理科大、中央大などで減少が目立つ。
新たに共通テスト利用選抜を導入した上智大は0.4%増、同じく学習院大は1%増加。立教大は文学部の一部を除き英語の独自試験を行わず、共通テストや外部試験を利用する入試に変えて7%増。
近畿では、理系学部を改組した関西学院大で2%増加した。同志社大、立命館大、関西大はいずれも減少した。
系統別では、国公立大、私立大ともに医学系、看護系、薬学系などの増加が大きい。コロナ禍を反映し、国際系やスポーツ系が減っている。
16日の時点で志願者数が10万人を超えたのは、約12万人の近畿大のみ。9万人台は4校で、多い順に明治大、千葉工業大、早稲田大、法政大。昨年は8大学が10万人を超えていただけに、今年の減少は際立っている。早稲田大以外は後期の出願を受付中だが、2位の明治大は9万9千人で、最終的に10万人に届くかどうか微妙なところだ。21年も近畿大の8年連続志願者数トップは確実だ。