待遇に関する基礎知識編 ─ 入社前に知っておこう労働時間と賃金の内訳
斎藤幸江の就職ウォーミングアップ講座04【E】

キャリア・就職 斎藤幸江
待遇に関する基礎知識編 ─ 入社前に知っておこう労働時間と賃金の内訳 斎藤幸江の就職ウォーミングアップ講座04【E】

雇用に関する知識を身につけ、入社後のトラブルを回避しよう。労働時間と賃金の仕組みについて、ここでレクチャーする。

【斎藤幸江の就職ウォーミングアップ講座】
01.混乱も予想される21年就活の歩き方
02.前向き人間になり就活力を養成する
03.インターンシップを成功に導く方程式
04【A】自己分析・自己理解編 ─ 日常生活に視点を置き自分の強みを探し出す
04【B】面接編 ─ 小さなミスを気にせず フランクな態度で臨め
04【C】応募書類作成編 ─ アピールすべき情報を効果的に盛り込もう
04【D】就活クリニック編 ─ こうすれば解決できる就活生の悩みに処方箋
04【E】待遇に関する基礎知識編 ─ 入社前に知っておこう労働時間と賃金の内訳

「完全」実施なのかどうか 週休2日制にも差が

待遇を気にする学生が増えたが、労働時間について、実際どこまで知っているだろうか。

労働基準法では、法定労働時間を1日8時間以内、週では40時間以内と定めている。それを超える場合、あらかじめ労使間(働く側と雇う側)で協定を結べば、残業として働くことができる(三さぶろく六協定)。

で、休憩については、6時間を超える就労には45分間、8時間を超える場合は1時間を与えることが、義務づけられている。では、法定労働時間をもとに、休日について考えてみよう。

年間休日数120日以上の企業がある一方で、104日や110日といった職場もある。120日以上は、完全週休2日制(すべての週で2日間が休日)で、104日や110日の企業は週休2日制(月に1回以上、週2日の休日)を敷く。

留意すべき点は、週休2日制の前に「完全」がつくかどうか。週休2日制で土曜日に勤務する場合にも二通りある。ひとつは三六協定を結び、月に1、2回、土曜出勤で時間外手当が出るところ。もうひとつは、もともと1日の就業時間が「9時から17時が定時で、そのうち1時間昼休み」という場合だ。

後者のケースでは、毎週土曜日に出社して午前中働いたとしても、週40時間を超えることはなく、法律の範囲内のため時間外手当はもらえない。細かいことだが、こうした点についても、就職先を選ぶ際にはしっかり確認しておきたい。

内容のチェックが必要なみなし残業制の中身

職場外での労働時間が多い仕事や特定の職種について、一定の残業時間を織り込んで給与を支払う仕組みが、「みなし残業制」(固定残業代制)だ。〈初任給22万円「みなし(固定)残業30時間を含む」〉などと表記され、最近は新卒の求人でも見かけるようになった。

この場合、30時間以下の残業の月は22万円、35時間の残業をした月は、前月が20時間の残業であっても22万円プラス5時間分の残業代が支払われる。なお、「30時間未満の月は減額」、「残業が短い月は多い月と相殺」とする企業もあるが、これは明らかな違法行為である。

残業に関しては、19年4月に施行された「働き方改革法」で細かいルールが定められた。気になる人はチェックをしよう。

知っておきたい賃金体系 手取りはいくらか!?

毎月払われる給与は、一般的に基本給プラス手当である。手当は、通勤手当や住宅手当が一般的だが、なかには業務手当、勤務手当など、毎月全社員に支払われる手当もある。しかし手当というのがくせ者なのだ。

基本給は、ボーナスや退職金の基準となる。「月給は20万円で、内訳は基本給10万円プラス業務手当10万円」の場合、ボーナス3か月分だったら、もらえるボーナスは60万円ではなく、30万円になってしまう。給与については、できるだけ内訳についても調べよう。

さて、初任給の手取りだが、社会保険や年金、税金などを差し引いた額面の85%前後(月による)だ。入社月は日割計算で、さらに下がることもある。時間のある時に、就職後の収支を試算してみるといい。

また馴染のない雇用関係の制度だが、就職後の生活に大きな影響を与える。一度勉強しておこう。