2019年3月卒 有名400社実就職率ランキング
ランキング上位は昨年と同じ顔触れに
「有名企業に強い大学ランキング」を詳しく見ていこう。上位大学はほぼ固定されており、ベスト3は前年と同じ顔触れだが、就職先の傾向は異なる。1位の東京工業大の内定者が最も多かった企業は日立製作所の34人で、以下、本田技研工業(23人)、三菱重工業(22人)など製造業が中心。
2位の一橋大は三井住友銀行(17人)、東京海上日動火災保険(16人)、三菱UFJ銀行(16人)と金融が上位。3位の国際教養大は規模が小さく、まとまった人数の学生が就職する企業は少ないが、アシックス、京セラ、ソニーなど、グローバル系企業が多い。
国立大と私立大でも就職先の傾向が異なる。ランキング上位の国立大の就職先を見ると、4位の名古屋工業大や6位の電気通信大などの理工系大学はもちろん、総合大学でも理系学部の定員規模が大きいことから製造業の就職者が多い。
9位の大阪大の就職者が最も多いのはパナソニックの54人で42人の三菱電機が続く。12位の名古屋大はデンソーが60人でトヨタ自動車が41人。17位の京大はパナソニックが35人などとなっている。重厚長大な産業に強いのは国立の難関大全体に見られるもので、この傾向は変わらない。
IT、AIの発達で私立大の就職先に変化の兆し
一方、文系学部の定員が多い私立大は、大量採用をしていたメガバンクを中心とした金融系が多かった。それが、IT(情報技術)やAI(人工知能)の発達によるメガバンクの採用減に呼応して、各大学の就職先の顔ぶれが変わってきた。メガバンク就職者に女子が多かったことから、この傾向は女子の比率が高い大学で顕著。
21位の青山学院大は、昨年の就職者が最も多かったみずほFGが50人から23人に半減する一方、日本航空が19人増の39人となり最多就職先になった。全日本空輸は前年と同じ36人で1位と2位を航空会社が占めた。
11位の上智大は全日本空輸が25人、日本航空が24人で、同大の就職者が2番目と3番目に多い企業となった。30位の立教大も全日本空輸が28人、日本航空が25人でそれぞれ2番目と3番目に就職者が多い。29位の関西学院大は、全日本空輸が35人で2番目に就職者が多い企業になった。
航空以外に難関大の就職者が増えている企業に注目すると。7位の早稲田大はNTTデータが63人→76人、三菱電機の就職者が50人→61人。16位の同志社大は京セラグループが16人→39人、23位の明治大は富士通が26人→31人、NECが17人→28人、凸版印刷が12人→27人にそれぞれ就職者が増えた。
ベスト30に入っていない難関私立大に注目すると、慶應義塾大はNHKが38人→49人でソニーが31人→49人。中央大のJR東日本が16人→31人になって同大最多の企業となり、法政大は富士ソフトが16人→23人、関西大のトランス・コスモスが8人→19人、立命館大はパナソニックが35人→42人。
難関私大の就職者が多い企業は金融系から製造業や航空などへのシフトが見られ。就職先のすそ野が広がっている。
学生の意識の変化で就職先が変わる
国立と私立を問わず、19年卒の就職先のもう一つの特徴は、コンサル系企業が就職者数上位に名を連ねる大学が多いこと。代表的な企業であるアクセンチュアの大学別の就職者数を見ると、上智大は前年より13人増の28人となり、前年のみずほFGと入れ替わり、就職者最多企業になった。
慶應義塾大76人、早稲田大66人。国立大では、東大41人、京大29人、北海道大13人が就職し、それぞれの大学の就職者が多い企業の上位10社に入った。IT、AIを技術を活用する職業の代表格ともいえる、コンサル系企業に難関大生が注目している。
学生の意識も変わってきている。安定を求める学生の大手志向は強いが、その中で、自らの成長が期待できる企業を選ぶ傾向が強まっているという。
近年、ニトリの難関大からの就職者数が増えている。18年卒と19年卒で比較すると、北海道大が19人→30人で同大の最多就職先となり、東北大10人→21人、九州大17人→24人、中央大9人→27人、関西大24人→27人、立命館大28人→36人などとなっている。
同社は新卒採用のサイトなどで、人材育成のための充実した教育体制や福利厚生の充実を打ち出し、働き方を提示している。この姿勢が大学生の意識の変化と合致したようだ。
情報化社会の発達で今ある職業の半数がなくなると言われ、さらに学生の意識が変わる中、大学生が選ぶ就職先も変わっていく。