新島襄と同志社大学

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新島襄と同志社大学

新島襄の「志」を受け継ぎ、「良心を手腕に運用する人物」を養成

同志社大学の起源となる同志社英学校は、1875年に創立された。創立者・新島襄が掲げた建学の精神は「良心を手腕に運用する人物」の養成だ。そのためには知識のみに偏らず、キリスト教の精神に基づく徳育を並行して進める必要があるという新島の考えは、国禁を犯して渡ったアメリカで養われたものだ。

江戸時代の末期に生まれた新島は、武士の子として、幼い頃から文武両道に励んだ。漢学や蘭学などを学び、アメリカの地理や歴史を解説した『聯邦志略(れんぽうしりゃく)』や漢訳聖書に出会った。そして、欧米で学ぶことを切望するようになり、鎖国令を犯して国を出ることを決意。函館から密航し、1年がかりでアメリカに辿りついた。

その後、敬虔なキリスト教徒であるハーディー夫妻の援助を得て、フィリップス・アカデミー、アーモスト大学、アンドーヴァー神学校で教育を受けた。その8年の間に、新島はキリスト教に根差したアメリカ社会の仕組みと、社会を支える教養ある人物を育てる教育への理解を深めていった。

神学校在学中に、正式に日本からの留学生と認められた新島は、日本政府から派遣された岩倉使節団の教育視察旅行に通訳として同行。アメリカ国内だけでなく、ヨーロッパを訪ね、約1年かけて各国の教育制度を学び、教育こそが欧米諸国の文明の礎であると確信。日本にキリスト教主義の大学を設立することを決意し、10年ぶりに日本への帰国を果たした。

当時、官立学校が1校(現在の東京大学)であった日本において、新島がめざしたのは自由・自立の精神を持つ人物を養成する「民」の学校だ。そして1875年11月29日、「志を同じくするものの約束による結社」という意味を込めて、同志社英学校が2人の教師と8人の生徒によって誕生した。

新島の「志」を受け継ぎ「一国の良心と謂うべき人物」を養成

大河ドラマの主人公にもなった新島襄の妻・八重は、新島とともに同志社創立に尽力した京都府顧問・山本覚馬の妹だ。英学校の開校の年に婚約し、翌年に結婚した。男勝りの性格で知られ、時には非難を浴びることもあった八重だが、新島を支え、男女問わず同志社の学生たちに愛情を注いだことで知られている。

当時の京都にはキリスト教排斥運動が少なからず残っており、学校運営には多くの困難があった。その逆風の中で、新島は山本覚馬やアメリカ人宣教師J.D.デイヴィスらに支えられながら少しずつ学校経営を軌道に乗せていった。そして、1882年に大学設立運動に着手した。

新島が思い描いたのは、神学、文学、経済、法律・政治、理化学、医学などの複数の学部・学科を持つ総合大学だ。一方で、民間の大学を設立するためには、相応の資金や、多くの人の理解や協力を求めなければならない。そのため、新島は政財官界から一般庶民にいたるまで、東奔西走して協力を仰いだ。

そして1888年、キリスト教主義を徳育の基本とすることと、「一国の良心とも謂うべき人物」を養成するという『同志社大学設立の旨意』を全国の主要な新聞・雑誌に掲載した。しかし、新島は志半ばで倒れ、1890年に永眠。学生の自由と自立を尊重する思いを後世に託した。

キリスト教に基づいた「良心」に従って生きること。その「良心」の中で「自由」を行使すること。新島の考えた教育理念と精神は、彼の教え子や協力者ら「同志」に受け継がれ、1912年、専門学校令によって同志社大学が誕生した。新島襄の没後22年、今から約100年前のことであった。

2つの知の拠点を擁し、教育体制の充実を図る

一人ひとりの個性を尊重する同志社大学の自由な校風の源には、「信念と独立心をもち、安易に人に左右されない人を育てる」という考えがある。リベラリズムの原点ともいえるこの考えの下に学んだ学生たちは、創立者・新島襄の意志を受け継ぎながら、建学の精神にもある「良心を手腕に運用する人物」として活躍してきた。

また、同志社大学は「キリスト教主義」「自由主義」「国際主義」という3つの教育理念の下、私立大学の先駆けとして、さまざまな学問分野で先導的な役割を担ってきた。新島の「志」は、学生や教職員、卒業生などの「同志」の中に脈々と受け継がれ、真の大学の完成に向けてさまざまな教育改革を実現させてきた。

同志社大学は京田辺校地と今出川校地の2校地を擁しており、校地ごとにコンセプトを位置付けた、より体系的で一貫性のある4年間のカリキュラムを実施している。

今出川校地はリベラルアーツ型教養教育、ゼミナールを中心とした専門教育を展開する文系学部の教育拠点として、また京田辺校地は「実験・実習、フィールドワーク」を重視する理工系・文理融合系学部を中心とした複合的教育拠点として特色を生かした教育を進めている。

また、教育体制の充実の一環として、今出川キャンパス「良心館」には、日本の大学の中で最大級のラーニング・コモンズが設置されている。

さらに、2018年4月から京田辺キャンパス「ラーネッド記念図書館」がリニューアル。1階には刺激に満ちた交流と互いの啓発を促し、多彩でクリエイティブな発信を支える最先端のスペース・設備を備えたラーニング・コモンズを新設し、「学びのアウトプット空間」を構築。1階~3階は、主体的に情報や知識を得ることができるグローバル学修支援機能も完備した新しい図書館機能として「学びのインプット空間」を展開している。

両校地ともに、アクティブラーニングとグローバル学修支援機能を融合。学生の主体的な学びを多角的に支援している。

世界の「良心」拠点として、キャンパスの多様性を促進

同志社大学は、創立150周年に向けた「同志社大学 ビジョン2025」の中で、「学びのかたちの新展開」「キャンパスライフの質的向上」「創造と共同による研究力の向上」「志ある人物の受入れ」「国際主義の更なる深化」「ブランド戦略の展開」の6つのビジョンを掲げている。

さらに、その大きな特徴である「多様性」を生かすべく、世界の中の「良心の拠点」としての機能を促進。留学生や校友、卓越した研究者、国際社会を牽引するリーダーや企業が各国・地域から集まるキャンパスには、世界の縮図を見ることができる。

「良心」を考察し、学際的な研究領域として「良心学」を構築するため設立された「良心学研究センター」より、良心の実証的・実践的研究プロジェクト「良心を覚醒させる知の連携と知の実践」が発足。

生命医科学をはじめ、心理学、スポーツ、科学倫理、文学、社会福祉、経済、教育、宗教など多彩な分野で「良心」に基づく研究を展開し、その成果を国内外に発信している。

同志社大学が誇る学際的な教育・研究の成果としては、わが国初の「赤ちゃん学研究センター」が挙げられる。ここでは小児医学や心理学、情報工学、人工頭脳やロボット工学などを融合した最先端の学問領域を開拓。

文部科学省の共同利用・共同研究拠点にも認定され、正課科目として「赤ちゃん学概論~赤ちゃんを科学的に知るために~」を開講している。

また、多文化共生を実現するための学際領域「グローバル・リソース・マネジメント」が、文部科学省の「博士課程教育リーディング・プログラム」に採択され、資源・エネルギー工学、インフラ科学と、地球規模の課題群に関わる人文・社会科学を統合した文理融合型の教育プログラムとして、国内外の産学官にわたる連携により、最困難国・地域の人々とともに、発展への道筋を歩む人材を養成している。

2019年には、同志社大学の「宇宙生体医工学研究プロジェクト」が「宇宙生体医工学を利用した健康寿命の延伸を目指す統合的研究基盤と国際的連携拠点の形成」として、平成30年度「私立大学研究ブランディング事業(タイプB:先端的・学際的な研究拠点の整備により、全国的あるいは国際的な経済・社会の発展、科学技術の進展に寄与する研究)」に採択された。

大学の特色ある研究を基軸に、全学的な独自色を大きく打ち出す取組みを行う私立大学などを支援する文部科学省の事業として、「宇宙生体医工学」を利用した健康寿命の延伸をめざす統合的研究基盤と国際的連携拠点の形成をめざしている。

同志社大学には文理融合の複合領域をカバーする研究体制が整っており、今後ますます今出川・京田辺両校地の交流が促進され、一体となって学び、研究する体制の構築が期待される。

全学展開で進むグローバル人材育成プログラム

同志社大学の「国際主義」を実現する数々の取組みは、社会でも高い評価を受けている。これまでも「大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業(G30)」や、国内学生を対象に、グローバル化社会で求められるさまざまな能力を養成するための支援事業「グローバル人材育成推進事業全学推進型」に採択され、同志社大学ならではの「考動する」グローバル人材育成に向けた体制が構築されてきた。

さらに、「良心と進取の気性に溢れ、グローバル化する世界で新たな価値を創造できる人間」を養成することを目的として設置された「グローバル・ リベラルアーツ副専攻」においては、幅広い学問分野の科目と日本の伝統・文化に関する科目を「グローバル・リベラルアーツ副専攻英語開講科目」として開講している。

これらの科目は英語で授業が行われ、少人数の日本人学生と外国人留学生がともに学ぶ国際クラスとして編成される。グループワーク、ディスカッション中心の対話型授業を行うことで、柔軟な思考力と異なる文化や多様な価値観を持つ人々と協働する力を身につけることができる。

副専攻の英語開講科目には、アーモスト大学をはじめ、ハーバード大学やスタンフォード大学など、アメリカの名門大学からの留学生とともに学ぶ科目もある。 創立以来、国際社会に貢献する人物を育成してきた同志社大学。今後の展開に益々注目が集まっている。

問い合わせ先
〒602-8580
京都市上京区今出川通烏丸東入
同志社大学 入学センター入学課
電話 075-251-3210
https://www.doshisha.ac.jp/