12月までに大学入試を終える、「年内入試」が注目を浴びているが、年内入試にもさまざまな制度がある。主な制度を紹介すると、まず現在人気の総合型選抜。学校長推薦不要な制度で、大学・学部により様々な選抜方法があるため受験生の強みに合わせることができる、自由度が高い制度である。合格発表が早ければ11月1日から行われることも特徴だ。続いて指定校制推薦。大学と各高校間での取り決めにより、高校3年間の学習や活動が評価され選考される入試制度である。ただし高校ごとの人数枠があり、高校内での選抜が発生する。もう一つは公募制推薦で、高等学校長の推薦を受けた上で、書類審査や面接などの選考を加えて合否を判定する。元々推薦といえば公募制と指定校が主体だったが、AO入試が新設され総合型選抜へ発展してきた中、公募制が少々目立たなくなっているのが現状だろう。
しかし入試制度やスケジュールから公募制推薦ならではの活用方法があり、改めて公募制選抜の制度を変更する大学が多くなっている。ここでは立正大学法学部の新しい公募制推薦選抜を通して活用方法を検証してみることにする。
立正大学法学部は公募制推薦で基礎学力型を取り入れる。入学希望理由書、調査書と学校長推薦書提出のほかに基礎学力試験を受け、その結果を加えて合否が決まる方式である。制度変更の理由を法学部の友田博之教授にうかがった。
お話をうかがった友田教授
「大学入試制度は毎年のように変更されることが当たり前となっていますが、今年度から新たにラインアップされる公募制推薦選抜[基礎学力テスト型]は、実施時期と審査内容の両面から見て、推薦型選抜と一般選抜の言わば「いいとこ取り」をした入試制度です」
基礎学力テストは国語か数学どちらか1教科と英語の2教科だが、英語は外部試験スコア利用で当日受験免除の方式もあり、一般選抜を視野に入れている受験生も対応しやすい。また「他学部・他大学の併願が可能」「2026年2月20日まで入学手続延期可」も新たに導入される。これによりますます一般選抜をメインに考える受験生も受けやすくなったと言えるだろう。
つまりこの入試で合格を勝ち得てから年明けの一般選抜を迎えることができるわけだ。とにかく早期に一つ合格を取っておきたいという一般選抜を予定する受験生にはありがたい入試制度である。
公募制選抜のもう一つの利用方法は、指定校選抜の補完である。指定校選抜は高校内の希望者が複数いた場合枠をとれないこと、高校によっては大学とは別に基準を設けているなど、出願にやや高いハードルがある。しかも指定校の選定は多くの高校で2学期から始まり、指定校の校内選考結果をみてから総合型選抜に切り替えることは難しいが、公募制であれば十分間に合う。受験生は「指定校が無理なら公募制」を視野に入れて志望校選択をする方が確実だろう。なお学力試験があることを懸念する受験生がいるかもしれないが、あくまで「基礎学力テスト」なので通常の授業を受けていれば対応可能とのことだ。もちろん総合型選抜で思うような結果を得られなかった受験生にとっても、実施時期、選考内容ともに十分対応可能な選抜方式である。
以上をまとめると立正大学法学部の公募制推薦においては、
① 総合型選抜で思うような結果が出なかった受験生
② 指定校選抜の校内選考にもれた受験生
③ 一般選抜前の年内に合格を一つ取っておきたい受験生
これら3パターンでの受験が考えられる。
つまり公募制推薦制度は極めて幅広く受験生に対応する入試方式であると言える。この入試制度との併願は多くの選択肢が考えられるが、他学部との併願についても友田教授からこのような解説をいただいた。
「法学部=裁判官や弁護士になる人が行く学部、と思われがちですが、法曹志望者はどの大学でもおよそ1割程度、で、法学部のメインの出口はやはり『公務員』です。近年は特に公務員試験が驚くほど受かりやすくなっていて、警察官などの公安職だけでなく、特に試験科目に法律科目が必須となる上級行政職公務員を目指すには、法学部が間違いなく有利です。もちろん民間就職でも他学部に劣るところは少しもありませんので、こと就職に関して法学部はオールマイティーな学部ということができます」
決して法曹界へ進むためだけの学部ではないのである。また多くの企業では法的な基礎知識を有している人材を求めており、進路は各方面に拡がっている。
このように多彩な進路へ進む学生への学びとして、立正大学法学部では多彩なフィールドワーク科目を設置している。座学中心と思いがちな法学分野において、一般企業・官公庁の現場などで、現職の方々や学生同士で討論を交えて学ぶ機会が多く用意されている。これは昨今高校で取り入れられている探究の授業とも相通じるものである。
経済・経営・商学部系志望者は法学部の先入観を改めて、併願対象として視野に入れてもいいのではないだろうか。
友田教授からは受験生へ以下のメッセージをいただいた。
「リニューアルされた公募制推薦選抜は、①~③の全ての受験生のニーズをカバーすることのできる、全受験生対応型の選抜方式です。年内入試のリトライで第一志望校に再チャレンジするもよし、先行きが不透明な一般選抜の前に保険としての合格校を確保するのもよし、それぞれにあった利用方法を見つけてください。いずれの入試区分で入学されても、立正大学法学部はベストの教育を提供する準備があります。」
どの入試制度も多様化しているので名称だけの先入観で決めずに、しっかり要項を確認して様々なチャンスを見つけて欲しい。