充実したフィールドスタディでグローバルマインドを育む―神戸女学院大学 国際学部 グローバル・スタディーズ学科

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充実したフィールドスタディでグローバルマインドを育む―神戸女学院大学 国際学部 グローバル・スタディーズ学科

今年、創立150周年を迎える神戸女学院は、教育の伝統として「キリスト教主義」「国際理解の精神」「リベラルアーツ教育」という3つの柱を据えている。国際理解の精神については、開学時から英語を起点にした学びを展開。新制女子大学として認可された1948年には文学部に英文学科を設置した。そして2024年、英文学科の伝統を受け継ぎながら、英語学科と、グローバル・スタディーズ学科からなる国際学部を開設。グローバル・スタディーズ学科での学びを中心に、2年目を迎えた同学部の取り組みについて米川正子教授と南出和余准教授に話を伺った。

―国際学部の学びの特徴をお教えください。

充実したフィールドスタディでグローバルマインドを育む―神戸女学院大学 国際学部 グローバル・スタディーズ学科
南出和余准教授
神戸女学院大学文学部英文学科卒業。総合研究大学院大学(国立民族学博物館)博士後期課程修了。学生時代から国際協力に興味を持ち、大学3年生のときに初めてバングラデシュを訪問。以来、バングラデシュでのフィールドワークを重ねる。専門は文化人類学、映像人類学、バングラデシュ地域研究。

南出 最大の特徴はすべての授業を英語で行う、「オール・イングリッシュ」であることです。語学の授業はもちろんのこと、そのほかの授業も英語で行います。私たち日本人教員も英語で授業を行っています。とはいえ、最初はオール・イングリッシュに戸惑う学生もいます。そこで授業内では、必要に応じて日本語での補足を加えています。各授業では学生同士のディスカッションに力を入れているのですが、ここでは適宜日本語を使ってもかまわないことにしています。

英語の授業は習熟度に応じたクラス分けを行っています。さらに本学全体の特色として、少人数教育があります。これら2つの仕組みがきめ細かい指導を可能にしているおかげで、多くの学生が飛躍的に英語力を伸ばしています。オール・イングリッシュのおかげで各国からの留学生と一緒に授業を受けられるのも利点です。

学科ごとで見ると、グローバル・スタディーズ学科の大きな特徴は、現地に足を運んで実践的に学ぶフィールドスタディが充実していることです。必修ではありませんが、2年生から3年生前期の期間で留学する学生が多いことも特徴です。英語学科は通訳や翻訳、英語教員といった、英語のスペシャリストや英語を使った仕事を目指すための学びが充実しています。

オール・イングリッシュの大きなメリットは、自身の学びを外国人と共有する際の壁がなくなることです。文化や価値観の違う多くの人と意見を交換できることは、自身の視野を広げることにつながります。

国際学部は2年目を迎えていますが、学生が従来にも増して積極的で自発的になったように思います。教員の研究室を訪れてくれる学生も随分増えました。これは、興味のアンテナを高く張り、自ら行動する学生が多くなったことに伴う変化だと感じています。

充実したフィールドスタディでグローバルマインドを育む―神戸女学院大学 国際学部 グローバル・スタディーズ学科
米川正子教授
神戸女学院大学文学部英文学科卒業。東京外国語大学大学院世界言語社会専攻博士後期課程修了。国連ボランティアとしてカンボジアで選挙監視員、アフリカでは主に国連難民高等弁務官事務所の職員として難民の保護に関わる。アフリカでは4年間を過ごしたコンゴ民主共和国をはじめ、10カ国で活動。専門は難民学、紛争学、アフリカ政治。

―グローバル・スタディーズ学科ではどのようなことを学ぶのでしょうか。

南出 主な学びの分野は国際関係、持続可能な社会、ジェンダーなど多岐に及んでいます。また日本の社会や文化を英語で学ぶ授業も豊富です。それらの核として「グローバル社会」を据えたうえで、分野を越えて学際的に学ぶことが本学科ならではのポイントです。また、現地に赴いて行うフィールドワークの調査手法を身につけることも本学科の特色です。

米川 私は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)職員としてアフリカで活動していた経験などに基づき、アフリカ研究や移民研究、紛争研究といった授業を担当しています。

南出 私は文化人類学が専門で、バングラデシュを舞台にした研究を行っています。授業は文化人類学やアジア研究のほか、メディア・リテラシーや映像制作も担当しています。

―グローバル・スタディーズ学科で行われているフィールドスタディについてお教えください。

充実したフィールドスタディでグローバルマインドを育む―神戸女学院大学 国際学部 グローバル・スタディーズ学科

米川 2024年9月に南アフリカで、アパルトヘイトの歴史やゼノフォビア(外国人に対する嫌悪感・不信感)を学ぶためのフィールドスタディを行いました。現地では博物館などを訪れたほか、差別と闘った活動家から話を聞いたり、アパルトヘイト時代の黒人専用居住地域を訪問して日常の暮らしを見たり直接話を聞いたりしました。

フィールドスタディの狙いの1つは、固定観念や偏見を打ち壊すことです。現地に行き自分の目で見て自分の耳で聞くことで、「アフリカも日本も同じだ」と感じたり、「世界にはこんなすごい人がいる」と知ることができます。それが、帰国後の大学での学びにつながっていきます。

人との出会いや交流はフィールドスタディの2つ目の狙いです。南アフリカでのプログラムに限らず、フィールドスタディで現地の案内をしてくれたり意見交換をする方々のなかには、情熱を持って課題解決に取り組んでいる人がたくさんいます。そういった人たちの人間性に触れることで、学生は学びのスイッチが入るのです。フィールドスタディをきっかけに、「私はこれを学びたい」「この課題に私は取り組みたい」と方向を定める学生も多いです。

3つ目の狙いは、生のコミュニケーションを経験することです。南アフリカでは、日本の授業で習うような標準的な英語とは大きく異なる英語が話されていることもあります。世界にはそもそも、英語が通じない地域も数多くあります。そんなとき、どうやって意思疎通をすればいいかを、実体験することができるのです。

現地に赴く前には、事前学習として映画などを題材にしてアパルトヘイトの歴史を学び、クラスでディスカッションを行いました。難民の状況などについても事前に学びました。帰国後はフィールドスタディで得た学びをレポートにまとめ、日本国内のアフリカ研究者や活動家に対して報告を行いました。また大学内でも学生や教職員向けに、活動の報告をしました。

充実したフィールドスタディでグローバルマインドを育む―神戸女学院大学 国際学部 グローバル・スタディーズ学科

南出 私は2025年2月に、バングラデシュでのフィールドスタディを引率しました。このときのテーマは「食と農」です。事前学習として兵庫県内の農家を訪問し、有機農法などについて学びました。そのうえで現地の農業や食文化を学び、日本との共通点や相違点、現地の課題などについて考えました。

フィールドスタディを通して学生は、日本と海外、あるいは他者と自分との間にある違いや共通点を確認することができます。さらに、「日本とは?」「自分とは?」を考え、自覚することができます。この経験を積むことは、英語でいう「thoughtfulness」を養ってくれます。Thoughtfulnessは、思いやりや目配り、他者の気持ちや状況に気づく力といった意味の言葉です。日常のなかでいえば、困っていそうな人がいたとき、そのことに気がついて声をかけるなどの行動を自分から起こせることがthoughtfulnessです。私はthoughtfulnessこそ神戸女学院らしさであり、卒業生が社会で受け入れられている理由だと考えています。

米川 南アフリカは、アパルトヘイトという差別の歴史を克服した国です。その現場に出向いて現地を自分で体験することで、学生は「人間には将来を変える力がある」と実感してくれます。これこそがフィールドスタディによる大きな成長だと私は考えています。人種間の嫌悪感・不信感、そして難民、移民、LGBTQに対する排除など、現代の世界にも困難な課題は数多くあります。それらの解決は簡単ではないものの、決して不可能ではないと、プログラムに参加した学生は感じてくれたはずです。

南出 プログラムの企画や実施にあたっては、本学のネットワークや私や米川先生が現地で培った人のつながりが活かされています。バングラデシュでは、本学の提携校の施設を宿泊先などとして利用させてもらっています。訪問先との調整や案内などは、現地で活動するNGOに協力してもらっています。そのことが、安全・安心で費用を抑えたプログラムにつながっています。

24年度に実施した南アフリカとバングラデシュでのフィールドスタディの他に、沖縄と日韓という2つのプログラムがあります。沖縄や韓国は、旅行などで比較的気軽に訪問できる地域です。それらの地域を、専門家にガイドしてもらいながら別の視点で見つめようというのが、この2つのプログラムの狙いです。

―グローバル・スタディーズ学科では、「コミュニケーションスキル」「ソフトスキル」「テクニカルスキル」という3つのスキルを養うとされています。

充実したフィールドスタディでグローバルマインドを育む―神戸女学院大学 国際学部 グローバル・スタディーズ学科

南出 米川先生のお話にあった、英語が通じない場面でどうやって意思疎通するかというのが、ここでいうコミュニケーションスキルの一例です。言語は意思疎通の便利なツールではありますが、万能ではありません。「伝えたい」「理解したい」という気持ちを備え、そのために様々な工夫をする。これは、フィールドワークで養うことができる力です。

ソフトスキルとは、人間性や人格と言い換えることができます。例えば近年、日本で暮らすベトナムなど東南アジア出身の外国人が増えています。同じアパートで暮らす彼ら彼女らと互いの文化を尊重しあい、「こんにちは」と自然に声をかけて友だちになれる力、それがソフトスキルです。この力は、国籍や出身地だけでなく、様々なバックグラウンドを持った人とともに暮らしたり、働いたりする力へとつながっています。国際機関で勤務したりグローバルな課題に取り組んだりするためにはもちろんですが、国内や地域社会で豊かに暮らすためにも重要な力です。

テクニカルスキルは、AIやデータの活用をはじめとしたデジタル技術を活用する力です。グローバル・スタディーズ学科には経済学を専門とする先生も在籍しており、現代の社会人に求められるデータリテラシーをしっかりと身につけることができます。

―グローバル・スタディーズ学科で学んだ先に想定される進路についてお教えください。

南出 国際機関や、国際的な課題解決に取り組む組織が考えられます。地域社会で多様な人々が共生できる仕組み作りに携わるという進路もあります。働く場所や取り組む仕事内容は様々ですが、本学科で学ぶことで「グローバル市民」へと成長してもらいたいと考えています。

米川 貿易会社、商社、金融機関など、様々な進路が考えられます。本学科で養う英語力やコミュニケーション力、人間力は職種や業種、さらに国内外を問わずどんな仕事をするにも必要な力です。その結果、卒業後には多様な進路が広がると言えます。

フィールドスタディをはじめとした本学科での学びでは、マイノリティや社会的弱者とされる人と触れ合う機会も豊富です。他者、特に困難な状況に置かれた人を尊重し、寄り添う心が自然に養われます。ここにも、英文学科時代を含めて卒業生が企業から高い評価を得てきた理由があると考えています。

―国際学部には、どのような高校生が向いているでしょうか。

南出 英語学科とグローバル・スタディーズ学科の両方について言えることは、「人と関わることが好き」「英語が好き」という人です。英語については、得意でなくてもかまいません。「話せるようになったら楽しいだろうな」という興味があれば大丈夫。入学後にしっかりと学ぶことができます。

グローバル・スタディーズ学科について付け加えるなら、高校時代の探究活動が好きだった人にはおすすめです。自分の興味あるテーマを深掘りするという学生時代を過ごせるでしょう。

米川 両学科とも、「人が好き」「自分自身の人間性を高めていきたい」という人をお待ちしています。言葉を使うのは人間です。機械による翻訳技術がどんなに進歩しても、人間による翻訳とはまったく質が異なります。より良い翻訳やコミュニケーション、そして互いを理解し合うには、やはり人を理解し、自分自身を磨いていく必要があるのです。AIをはじめとしたデジタル技術が飛躍的に進歩し続ける現代だからこそ、人間性の重要性は増しているのです。

充実したフィールドスタディでグローバルマインドを育む―神戸女学院大学 国際学部 グローバル・スタディーズ学科

―高校の先生方や高校生の皆さんにメッセージをお願いします。

南出 高校生の皆さんには、ぜひ、好きなことを仕事にしてもらいたいです。もし今はまだ好きなことが見つかっていないなら、それはとてもラッキーだと考えてください。どんな分野やテーマに対しても興味の扉が開かれた、オープンな状態にいるからです。

好きなことは、じっとしていては見つかりません。自ら行動することで見つかります。本学にはフィールドスタディをはじめ、皆さんが行動し、好きを見つけるためのたくさんの仕組みがあります。私たちは好きを見つけようと一歩を踏み出す皆さんや、好きを仕事にするために力強く歩み始める皆さんを全力で応援します。

米川 本学には、女子教育に注力している、少人数制のため学生1人ひとりのいいところを伸ばす教育が行える、キリスト教精神を核にして国内外にネットワークが広がるといった魅力があります。日本でいち早く国際化が進んだ神戸・阪神エリアを舞台にして学べることも、グローバルな教育を行ううえでは大きな強みになっています。ぜひこの恵まれた環境で学生時代を過ごし、グローバル市民として成長してもらいたいです。

性的暴力に対して立ち上がった「#MeToo」運動は、世界へと広がりました。公共施設のトイレの便器の数には男女の間で差があるため、女性だけがトイレ待ちの行列が長いという問題が発生しています。このように、女性の声はまだまだ社会に届いていないのです。同様に、マイノリティやグローバルサウスなど、課題はたくさんあります。解決は決して簡単ではないかもしれません。でも、解決できる可能性はあります。社会は変えられるのです。課題や解決に向けたヒントは、スマートフォンを眺めているだけでは見つかりません。顔を上げ、周りを見渡してください。きっと、疑問や気づきがあるはずです。それらを本学で、一緒に探究していきましょう。

在学生インタビュー

資料では感じられない、現地の空気感に触れる

充実したフィールドスタディでグローバルマインドを育む―神戸女学院大学 国際学部 グローバル・スタディーズ学科
佐々木奈央さん 文学部 英文学科 4年
南アフリカ フィールドスタディを履修

3年生のときに、南アフリカで行われたフィールド・スタディを履修しました。学びのテーマは、アパルトヘイトの歴史やゼノフォビアでした。

現地では、ネルソン・マンデラ元大統領が収監されていたロベン島を見学したほか、アパルトヘイトの歴史や歴代の大統領の政策に関する展示を行う博物館を訪問しました。フィールドスタディの醍醐味は、現地の方から直接話を聞けることです。黒人が多く暮らす地域を訪れた際には、アパルトヘイト時代の経験だけでなく、今も残る人種間の感情的なしこりや、最近になって大きくなってきている黒人間での分断に関する思いを聞かせてもらうことができました。それらは、事前学習で資料などを調べているだけでは決してわからないものでした。今なお続く差別の構造を、現地の⽅の⾔葉から実感できたことは、フィールドスタディだからこその成果でした。

南アフリカには、コンゴ⺠主共和国から難⺠や移⺠が流⼊しています。コンゴ人は南アフリカで労働力として期待される一方で、南アフリカの黒人からは自分たちの仕事を奪っていく存在として敵視されることもあります。この状況は、日本における外国人労働者に対する意識と似ています。共通の課題が世界中にあることを理解すると同時に、身の回りで起こっている出来事に対して従来以上に意識が向くようになりました。

神⼾⼥学院⼤学の先⽣⽅は「好き」を追求しながら学びを楽しんでおられ、その姿には学⽣をひきつける⼤きな感染⼒があります。気がつけば私も、フィールドスタディをはじめとして興味あることにどんどん挑戦するようになりました。先生方のように自分の「好き」を大切にし、そして周囲の人の「好き」を尊重し、応援できる人になっていきたいです。

充実したフィールドスタディでグローバルマインドを育む―神戸女学院大学 国際学部 グローバル・スタディーズ学科

違いを理解し、尊重する大切さを体験

充実したフィールドスタディでグローバルマインドを育む―神戸女学院大学 国際学部 グローバル・スタディーズ学科
舩瀬遥月さん 国際学部 グローバル・スタディーズ学科 2年
バングラデシュ フィールドスタディを履修

2025年2月に実施されたバングラデシュ・フィールド・スタディを履修しました。このときのテーマは「食と農」。事前学習として日本の農家を訪問し、有機農業や農家の副業についてリサーチしました。現地では農村を訪問してリサーチ内容を発表したほか、バングラデシュの農業の現状について話を聞きました。また、時間が許す限り現地の食べ物を食べて、食文化を体験しました。

バングラデシュの農村では、若者が都市へ流出したり看護師などの高収入が期待できる職業に就いたりして、後継者不足が大きな問題になっています。これは、日本と共通する課題です。一方で、手を使って食事をしたり足首を露出することが恥ずかしいこととみなされるなど、日本とは異なる文化にもたくさん出合いました。世界には共通点もあれば異なる点もあると体験を通して理解できたことや、異なる点を受け入れて尊重することが大切だと学べたことが、フィールドスタディでの大きな成果です。

次は南アフリカのフィールドスタディに参加したいです。神戸女学院大学では、自分1人ではなかなか訪問できないような国へ行くことができます。現地での経験が豊富な先生が引率してくれるので、安心・安全です。この環境を活かしてたくさんの国を訪問し、様々な文化に触れたいです。そのうえで、それぞれの国の文化を尊重できるような人になっていきたいです。

今は、将来の進路を模索しているところです。そんな私にとって、フィールドスタディをはじめとした興味深い学びが数多く行われている神戸女学院大学は、ぴったりな環境です。言ってみれば、神戸女学院大学はいろんな「寄り道」ができる場所。たくさんの寄り道をしながら、「これだ!」と思えるやりたいことを見つけていきたいです。

充実したフィールドスタディでグローバルマインドを育む―神戸女学院大学 国際学部 グローバル・スタディーズ学科