積極的な改革により、変化の時代を生き抜く自律した女性を育成する―甲南女子大学

PR 聞き手 松本陽一(大学通信) 文 松本守永(ウィルベリーズ)
積極的な改革により、変化の時代を生き抜く自律した女性を育成する―甲南女子大学

卒業生500人以上の実就職率ランキングで西日本女子大学1位という、就職への強さを誇る甲南女子大学。受験生からの評価も高く、「就職力が高い大学」「いろいろな資格が取得できる大学」「学生サポートが充実していると思われる大学」の3部門で近畿地区女子大学1位に選ばれている。1920年の学園創立以来、長い歴史とともに揺るぎない実績を築いてきた同学は今、新たな教育の導入や学部の新設・再編など、積極的な改革を推し進めている。取り組みの狙いや高い就職力の背景などについて、秋元典子学長に話を伺った。
(※ランキングはいずれも2024年大学通信調べ)

―「新リーダーシップ」教育が2025年度から全学展開されることになりました。

本学は2017年度に、関西の他大学に先駆けて新リーダーシップ教育を導入しました。変化がめまぐるしく先行きを見通しにくい「VUCAの時代」と呼ばれる現代においては、1人のリーダーが組織を引っ張り、残りのメンバーはリーダーの指示を待って従うという従来的なリーダーシップのあり方では、課題を解決したり物事を推進することは難しくなっています。今求められているのは、メンバーそれぞれが各自の強みを活かしてチームに貢献する「全員発揮型リーダーシップ」です。これを私たちは「新リーダーシップ」と位置付けています。

新リーダーシップを育むための大きな舞台は、5〜6人の学生が1チームになって取り組むグループワークです。グループは様々なテーマに取り組むのですが、ポイントは、メンバー間やグループ間でのフィードバックにあります。課題に取り組んだり発表を行ったりすると、「うなずきながら聞いてもらえたので、安心して発表できた」「いつもメモを取ってくれていたので、話し合いがスムーズに進んだ」などのフィードバックが寄せられます。それらの中には、本人が「そんなことを評価してもらえるなんて」と意外に思うことも含まれています。つまり、自覚していなかった強みに気づくことができるのです。これらの、ささいに思えるような強みこそ、学生1人ひとりが持つ新リーダーシップです。先頭に立つわけではないけれども、しっかりとチームに貢献できる力を備えていることに気づき、その力を伸ばしていく教育を行っています。

新リーダーシップ教育は、学部・学科の垣根を取り払って行っています。専門分野が異なる学生とともに活動することが、自身の強みなどに気づく大きなきっかけになるからです。実習等の関係から、参加が難しかった医療系の学部も新たに加わり、2025年度にはついに全学へ展開することができました。医療職は病気やケガに目が行きがちですが、「人を見る」という姿勢を決して忘れてはいけません。その視点を、他学部の学生とともに学ぶことで従来以上に養えると期待しています。また、新リーダーシップ教育を通じて身につけた力は、多職種連携で行うチーム医療の現場でもきっと役に立つと考えています。

―心理学部が2025年4月に開設されました。

心理学部の紹介にあたっては、「たぶん、あなたが思っているのと違う心理学。それは、生き抜くための心理学。」というフレーズを用いています。心理学といえば、心を掘り下げて学んだり研究したりするイメージがあるでしょう。それに対して本学では、自分だけでなく、周りを、社会を豊かにするための学びが心理学であると考えています。仕事で役立てて世の中の課題解決に活かすこともできれば、自分自身の人生をより良くすることに役立てることもできます。

具体的には、「コミュニケーション」「次世代テクノロジー」「犯罪を防ぐ」「心のケア・医療」「子ども・福祉」という5つの幅広い領域の学びを展開しています。学生はそれらの中から興味に応じて学びを深め、自身の可能性を広げていくことができます。

公認心理師の資格取得を希望する人は、全員が受験のための要件となる実習に参加できることも特色です。実習は受け入れ機関との連携が不可欠なため、学生数を制限することも珍しくありません。本学が人数制限なく実習の全員参加を実現できた背景には、1975年から心理学教育に取り組んできた実績に対する、社会からの信頼があると言えます。

―2026年4月には社会学部と教育学部が開設されます。

現在の人間科学部文化社会学科と生活環境学科は、それぞれ社会のさまざまな営みを広く研究や学びの対象としています。これらを発展させ、複雑化した現代社会の課題をとらえるための学びを展開するのが、社会学部です。文化社会学科が「メディア社会学専攻」に、生活環境学科が「生活環境学専攻」になり、さらに経営やマーケティングを学ぶ「ビジネス社会専攻」が加わります。3つの専攻を横断して幅広く学べることや、地域や企業と連携して実践的に学べることが新学部の特色です。

さらに、本学には約50年におよぶ教育学の学びの歴史があります。そこで得た知見やノウハウを土台にして誕生するのが、教育学部です。本学では、子どもを深く学び、総合的にとらえる「子ども学」を展開してきました。教育学部でも子ども学を根本に据えた教育を行うことで、子どもを1人ずつ個別のかけがえのない存在として総合的に見つめることができる保育者・教育者を養成します。約1万冊の蔵書を誇る絵本ルームや、神戸市と連携した地域子育て支援拠点事業でもある「甲南子育てひろば」など、実践を通して学べる機会が学内に豊富に設けられていることも特色です。

積極的な改革により、変化の時代を生き抜く自律した女性を育成する―甲南女子大学
絵本ルーム


―就職力や学生へのサポートについては、実績と受験生からの評価ともに高いです。

就職支援にあたっては、「一人ひとり丁寧に。誰一人取り残さないサポートを」という姿勢で取り組んでいます。手厚さの象徴とも言えるのが個別面談で、利用する学生数は年間でのべ4000〜4500人。すべての学生を本学キャリアセンターの職員が対応しています。思うように就職活動が進まない学生に対しても最後まで粘り強く伴走することが、本学の特色でもあります。

「担任の先生」に相当する「アドバイザー教員」制度も導入しています。アドバイザー教員は、基本的には入学から卒業まで1人の学生に対して同じ教員が務めます。学生にとって身近で信頼できる存在がいることが、希望の進路実現につながる要因の1つになっています。

―資格の取得支援でも高い評価を得ています。

医療系学部では国家試験の合格に向けて、教員が学生1人ひとりの学修状況に応じたサポートを行っています。

教員採用試験に向けては、2024年度から面接試験対策の時間を大幅に拡充しました。しっかりとした準備をしたうえで面接に臨み、実力を十分に発揮できるようになった結果、採用試験の合格者数は前年度から大きく増加。学生の状況を見極めニーズにマッチした支援が実を結びました。

―高校の先生や受験生にメッセージをお願いします。

受験生の皆さんのなかには、自分に自信がない人や、自信を持ちにくい人、自分を自分で認めてあげにくい人がいると思います。そんな人にこそ、本学の新リーダーシップ教育を体験してもらいたいです。きっと、皆さんの中にある素晴らしい一面に出会えるはずです。

現代の日本は、法律の上では男女は平等です。しかし現実には、女性はまだまだ生き抜くための困難さに直面します。多様なライフイベントやその時々に求められる選択の難しさには、女性ならではと言えるものも少なくありません。そのような現実を見据え、女性として社会を生き抜く力をつけたい、自律した女性として成長していきたいと考える人は、ぜひ本学への進学を検討してみてください。グループワークでも、クラブやサークル活動でも、性別による役割分担が生じないのが女子大という環境です。性別にとらわれず、1人の人として「自分はどうしたいのか、どのように生きたいのか」を考えることができます。本学でともに学べることを楽しみにしています。

積極的な改革により、変化の時代を生き抜く自律した女性を育成する―甲南女子大学