昭和女子大学が目指す、次世代のデジタル人材育成とは?

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昭和女子大学が目指す、次世代のデジタル人材育成とは?

昭和女子大学では、女性デジタル人材の新境地を開拓すべく、2026年度の「総合情報学部(※)」新設に向けた準備を進めており、2025年度には日本のインバウンド産業を担う人材を育成する「国際日本学科」を新設した。では、実社会においてデジタル人材やインバウンド活用・観光人材にはどのような力が求められているのだろうか? 今回は、日本のリゾート観光を牽引し、DX推進の取り組みも注目される星野リゾートの代表・星野佳路氏を迎え、坂東眞理子総長、金尾朗学長との特別鼎談をお送りする。

※設置認可申請中であり、内容が変更となる場合があります。

現場とエンジニアを結ぶ人材の重要性

昭和女子大学が目指す、次世代のデジタル人材育成とは?
昭和女子大学 総長
坂東眞理子
東京大学卒業後、総理府(現内閣府)入省。内閣広報室参事官、総理府男女共同参画室長、埼玉県副知事などを経て、1998年にオーストラリア・ブリスベンで女性初の総領事に就任。その後、内閣府初代男女共同参画局長を務めたのち、2003年に昭和女子大学に着任。2007年に学長就任、以後2014年に理事長、2016年より総長を務める。

坂東 DXは「人の働き方や仕事の中身を変革するための有効なツール」です。

星野 DXの本質はそこにあると思います。私は90年代からDX化に取り組んでいますが、必要な力は3つあると考えています。1つはデータ分析、2つめはコンピュータサイエンスやプログラミング、そして3つめは現場力です。

昭和女子大学が目指す、次世代のデジタル人材育成とは?
星野リゾート 代表
星野佳路
慶應義塾大学経済学部卒業後、アメリカ・コーネル大学ホテル経営大学院博士課程修了。帰国後、1991年に星野温泉(現星野リゾート)社長(現代表)に就任。「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO(おも)」「BEB(ベブ)」「LUCY(ルーシー)」の6ブランドを中心に、国内外で71の施設を運営する(2025年5月時点)。

金尾 2026年度に開設予定の総合情報学部には、「データサイエンス学科」と「デジタルイノベーション学科」を設置する予定です。データサイエンス学科では数学と統計学の基礎を固めた上で、星野代表が1つめに挙げられたデータの分析手法を学びます。この学科で育成したいのは、データを分析するだけでなく、分析結果から将来起こりうる事象を予測し、必要な対策を社会に発信できる人材です。デジタルイノベーション学科では、2つめに挙げられたコンピュータサイエンスやプログラミングを、Webサイト制作やアプリ開発などを通して学びます。身につけた知識とスキルを駆使して新しい商品やサービスを提案するなど、ビジネスの変革を主導できる人材を育成したいと考えています。

坂東 データサイエンスやAIの分野で最先端を走っている方たちは、一握りの人にしか理解できない非常に高度で複雑な研究、活動を行っておられます。総合情報学部の学生には、最先端を行く人たちが創り出した技術を社会に実装し、仕事や暮らしに役立てる力を身につけてほしいのです。

昭和女子大学が目指す、次世代のデジタル人材育成とは?
昭和女子大学 学長
金尾 朗
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了(工学博士)。1992年に昭和女子大学に着任し、2007年に教授、2023年4月より現職。専門は建築計画・都市計画で、環境デザイン学科では建築のデザイン教育とともにデザイン・プロデュースを担当。近年は新潟県村上市での竹灯籠祭りへの参加など、まちづくり関連の活動を行う。

星野 技術者と話していると、専門用語が多いためにコミュニケーションがうまくいかず、困り事が起こる場合もありますね。こうしたときに、現場とエンジニアの間に立ってプロジェクトを進められる人材が必要だと実感します。

坂東 そうした現場力を養う場としては、本学が全学的に推進する「プロジェクト型学修」が挙げられます。企業の方と課題解決に取り組む機会を設けることで、学生の新しい発想と企業の方の豊富な経験が融合した協創を実現できるのではないかと期待しています。

星野リゾートが達成したデジタルによる変革

坂東 星野代表は、社会のデジタル化とともにキャリアを歩んでこられました。

星野 かつて、宿泊予約は宿への電話と旅行代理店の集客が主でしたが、2000年代に宿泊予約サイトが登場し、インターネットでの予約が当たり前になりました。しかし、代理店や宿泊予約サイトに支払う手数料は安くありません。そこで自社の予約システムの開発を進めて直接予約に注力したところ、結果的に収益増につながりました。

金尾 オンラインでの直接予約というDX化がビジネス躍進のカギになったのですね。

星野 はい、加えてお客様とのコミュニケーションも変わりました。弊社では1994年から顧客満足度調査を始めましたが、当初はアンケート用紙に記入していただいた回答を手作業で集計していました。今はメールでお客様にアンケートを送り、独自に開発した分析ツールで自動集計しています。

坂東 調査結果はどのように生かされているのですか。

星野 すべての結果を全社員に公開しています。これにより業務の見直しやサービス改善が迅速にできるようになりました。社員はリアルタイムで調査結果にアクセスできるので、結果に応じて各現場のスタッフが自分たちで考えて実行し、その効果をデータで確認するという環境を創出できたのです。

金尾 現場の自律性が高まったということですね。

星野 おっしゃる通りです。社員一人ひとりの意識の変化を目の当たりにして、「データが人の働き方を変える」ことを実感しました。デジタル技術がなければ達成できなかった大きな変革だと思います。

日本の社会や文化を理解し、発信する力を養う

坂東 星野代表は施設運営において「日本のおもてなし」を落とし込むことを大事にされています。そこで、2025年度から新設した国際日本学科についてお話しさせてください。

星野 「日本のカルチャーを、もっと世界へ」というのが、国際日本学科のコンセプトですね。

坂東 学びの柱の一つは「ジャパンスタディーズ」です。日本の文化と社会に関する基礎知識、国際的側面、今日的課題などを学び、「日本を理解し、発信する力」を身につけた人材を育成します。また、そうした人材の活躍が期待される分野の1つとして、「観光・地域創生」について深く学ぶカリキュラムを用意しています。

星野 観光を競争力のある事業にするためには、各地域の文化や自然、食といった特有の素材を、観光資源や旅の魅力に変えていく必要があります。例えば「星野リゾート・トマム」では、スキー用ゴンドラを活用した雲海観賞を提案したところ、オフシーズンの利用が増加しました。トマムならではの自然現象が新しい観光資源になったのです。

坂東 まだ気づかれていない魅力を見過ごさない、目利きの力が大切なのですね。

星野 はい。そうした目利きの力を身につけるには、自分が旅をすることも大切です。実際にその土地に行って初めて、土地の魅力や地元の人たちの日常が見えてきます。海外の人たちが日本をどう見ているのかを知るために、海外を旅する体験も重要だと思います。

坂東 国際日本学科では、基本的に2年次前期にボストンへ留学します。現地には「昭和ボストン」という本学の海外キャンパスがあり、国際的な視点から日本を学ぶ学科独自のカリキュラムを用意しています。

金尾 国内各地で地域創生活動に関わるプログラムも用意しています。国内でも海外でも、自分が今まで生活してきた世界の外に出る経験は学生を大きく成長させます。国内外での幅広い経験を糧に自分なりの視点を開拓し、インバウンド活用や地域創生を牽引できる人材を育成したいと考えています。

星野 人は常に成長できる環境に身を置くことが大切だと思います。「この場所は自分が成長できる環境か」ということを大切にして、大学も就職先も選択してほしいですね。

坂東 昭和女子大学では、学生の「成長したい」気持ちに応えるさまざまな経験の場を用意しています。本学で自分の可能性を広げて未来を切り拓くと同時に、「社会を支える力」を持つ女性に成長してくれることを願っています。