“好き”ゆえの探究心と越境的な学びが成長を加速させる―清泉女子大学

PR 構成 東久世克樹(大学通信) 文 鈴木秀一郎
“好き”ゆえの探究心と越境的な学びが成長を加速させる―清泉女子大学

総合文化学部と地球市民学部の2学部体制がスタート

清泉女子大学は1950年の開学時に設置された文学部が進化を遂げ、2025年4月に総合文化学部と地球市民学部の2学部体制が始動。学部間連携によって越境的で多様な学びを推奨しながら、徹底して一人ひとりに向き合う学生指導が重視されている。新学部の学びや新体制の特徴について、総合文化学部の齋藤華子教授と地球市民学部の兼清慎一教授に伺った。

4月の全員面談で学びのベクトルを確認

“好き”ゆえの探究心と越境的な学びが成長を加速させる―清泉女子大学
学長補佐 地球市民学部
兼清慎一教授

―新体制の概要と始動後の状況をお聞かせください。

齋藤 本学は2025年度より総合文化学部と地球市民学部の2学部体制となり、総合文化学部は日本文化領域・国際文化領域・文化史領域の3領域、地球市民学部は地域共生領域とソーシャルデザイン領域の2領域を設置しました。新入生はもちろんのこと、教職員も上級生も新学部誕生という活き活きとしたムードに包まれています。

兼清 4月には学部別にカリキュラムを説明した後、2学部合同かつ教員総出の履修相談会を開催、授業が始まる4月中旬までに新入生全員との面談も行いました。履修相談会は、学びたい内容を学べる環境であると各自が実感するとともに、自領域とは異なる領域へと“越境”して履修できる学びの多様さを感じてもらう機会になりました。

齋藤 本学では一人ひとりと向き合う学生指導を重視しており、その最初の取り組みが4月の新入生全員との面談です。履修相談会では他領域や他学部の幅広い情報に触れ、「新たな興味が芽生えた」と目を輝かせる新入生もいました。新体制では、集大成となる卒業論文への道筋を教員が面談でアドバイスしていきます。「この領域だからこの勉強しかできない」と殻に閉じこもる必要はありませんし、新たな興味に基づいて柔軟に軌道修正できることも魅力ですね。

兼清 早期に合格が決まった受験生向けの入学前教育でも入学確定者全員と面談をしています。また、2025年度から「学びのあゆみ」という新たなシステムを導入し、個々の目標や入学後の学習成果を記録していくことになりました。その記録を教職員が共有しながら、学生自身もポートフォリオとして更新していきます。

齋藤 学生に目標を意識させ続けるためのツールですが、教職員も学生との向き合い方が変わり、教職員間の連携も密になるメリットが生まれていますね。

兼清 人との向き合い方という点では、例えば障害のある学生に対して、まわりの学生は所属の壁を越えてノートテイクなどのサポートを行っています。積極的に手を差しのべる学生の気質は、本学に根づく誇るべき特色のように思います。

齋藤 シスターがカトリックの精神でつくりあげてきた大学であることの影響が大きいですね。同様に歴史的な観点でいえば、本学はスペインの修道会が設立母体のため、スペイン語やスペイン語圏の文化、文学を専門的に学べる大変珍しい女子大学です。この特色を全学生に実感してほしいと考え、リニューアルした全学共通の基幹教育科目の中に、スペイン語を必修科目として設置しました。

兼清 1〜2年次必修の「清泉スタンダード」では、キャリア教育系科目と情報科学系科目のほか、建学の精神に関する科目も配置しています。キャリア系の科目では、自分が将来したいことや自分に向いていること、自分がどう社会の役に立てるのかを実感してもらうことが狙いであり、越境的な学びと多様な体験を通して、自分と社会のつながりを感じてほしいと考えています。

“好き”であればこそ壁を越え、道を切り拓ける

“好き”ゆえの探究心と越境的な学びが成長を加速させる―清泉女子大学
副学長 総合文化学部
齋藤華子教授

―学部別の特徴や、学び方を教えてください。

齋藤 総合文化学部では1年次に、領域を横断して1つのテーマを多様な視点から学ぶ「総合文化スタディーズ」のほか、190科目にも及ぶ選択科目を用意しており、興味のある科目を自由に履修できます。一方、ゼミ形式の演習科目も2年次からスタートし、たとえば文献研究によって歴史や文学を深く考察します。ただ、文献の情報を鵜呑みにして“わかったつもり”になってはいけません。それをどう解釈していくか、思考を止めないことが大切です。また、国内外での研修科目もあり、英語やスペイン語の短期語学研修をはじめとして、すべて単位化しています。条件が整えば入学してすぐにでも参加できますし、もちろん長期留学にも挑戦できます。

兼清 地球市民学部では、国際協力機構(JICA)の一員としてアフリカ・マラウイに派遣されるプログラムや、「地域おこし協力隊」として鹿児島県いちき串木野市に派遣されるプログラムが特徴です。その他、フィールドワークでは、従来の韓国やフィリピン、ラオス、マレーシアなどに加え、2026年度には初めてメキシコやアフリカ・ルワンダにも訪れる計画を進めています。また、地域共生領域では英語を集中的に学ぶ合宿、ソーシャルデザイン領域ではメディア系やデジタル系のスキルを身につける集中講座が必修ですが、領域外の学生にも強く履修を推奨しています。その上で重視しているのが、社会課題を解決に導くためのプロジェクトです。1人で現場を訪れ、多様な人材と協働していく過程で失敗も経験するものの、失敗の要因やリカバリー方法を主体的に考えることが重要です。ある段階で失敗だと感じても、それを糧にすることで長期的に見れば失敗ではなくなりますし、失敗することにこそ意味・意義があると考えています。

齋藤 総合文化学部でも、たとえば文献を読んで“わからない”という壁にぶつかって“失敗”をしても、そのテーマが“好き”であれば前向きな気持ちで探究を続け、道を切り拓けるはずです。

兼清 わからない経験や、失敗の経験をすることで新たな問いが生まれ、その問いに自ら答えていくことで壁を越えていけるのだと思います。

―最後に受験生へのメッセージをお願いします。

兼清 受験生には、大学で何を学ぶのかに加え、どんな環境でどんな学び方をするのかというポイントまで意識して大学選びをしてほしいと思います。その点、本学は高校と連携し、探究活動やプロジェクト型学習の知見・ノウハウを高校側に提供する「探究サミット」を2025年3月に初めて開催したほか、高校での出張講義や、学生と高校生の合同での探究活動なども行っています。そこに在学生や卒業生も参加しますので、本学の校風や、学生と教員の距離の近さなどを感じていただけると思います。“近さ”でいうと、本学は五反田駅、大崎駅、品川駅、高輪台駅の4駅から徒歩圏内という好立地で、しかも都心とは思えない緑豊かなキャンパスですので、まずはオープンキャンパスに来ていただきたいです。

齋藤 入試は総合型から学校推薦型、一般、共通テスト利用入試まで用意しており、総合型選抜には「英検換算方式」が新たに加わりました。また、学費免除者の選考を兼ねた12月の総合型選抜では、1教科の基礎学力試験における領域別の教科指定を廃止し、国語・英語・地理歴史の中から得意な教科で受験できるように制度を変更しました。既に合格が決まった方も学費免除に挑戦できますので、多くの方に受験していただきたいですね。