文理の枠を超えて共創する社会実装型総合大学へと 生まれ変わる―金沢工業大学

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文理の枠を超えて共創する社会実装型総合大学へと 生まれ変わる―金沢工業大学

金沢工業大学では、2025年より従来の4学部12学科から6学部17学科へと進化する、大きな学部再編を予定している。6学部とは、工学部、建築学部、バイオ・化学部の基幹3学部に、情報デザイン学部、メディア情報学部、情報理工学部という新しい情報系3学部を加えたものだ。

新しくできる情報系学部のうち、情報デザイン学部とメディア情報学部は文系の要素を大きく含む“文理探究型”の学部であるという。今回の学部再編のねらいについて、金沢工業大学の大澤敏学長にお話を伺った。

情報の専門家のみならず、全員が情報技術を身につける時代に

文理の枠を超えて共創する社会実装型総合大学へと 生まれ変わる―金沢工業大学
学長 大澤 敏 教授

―3つの情報系学部の開設を始めとする、大きな学部再編が行われます。今回の改革に至った経緯や、そのねらいを教えてください。

近年、ChatGPTの公開や、生成AIの普及など、情報技術が急速に社会に入り込んできています。情報の専門家だけではなく、全員が基本的な情報技術を身につけ、自らの専門分野で活用していく時代がやってきたと言えるでしょう。そこで本学ではまず、情報技術に関する教育と研究の核として、情報デザイン学部、メディア情報学部、情報理工学部という3つの情報系学部を開設します。この3学部を拠点とし、既存の工学部、建築学部、バイオ・化学部という、産業を支える基幹3学部に情報技術を浸透させていきます。それぞれの専門分野に情報技術を掛け合わせて、全学的に情報に強い大学にしていきたいというねらいがあります。

今回の学部再編の大きな特徴は、新しい情報系学部のうち情報デザイン学部とメディア情報学部の2つが、文系と理系の学生が共存する、文理探究型の学部であることです。本学では以前より、学部を超えて協働をしながら研究成果を社会に実装していく、プロジェクト型の教育を重視しています。従来は理系志向の学生、つまり技術者だけでプロジェクトを完結させることができていたのですが、デジタルツール、グリーン社会、持続可能性といったこれからの時代をリードする成長分野は、文系志向の学生とも共創する必要が出てきたのです。文理探究型の2学部はAIやデータそのものを深く学ぶわけではなく、その活用を探究していく学部です。数学力は高等学校を卒業できるレベルのものがあれば十分とし、文系の受験生を積極的に受け入れていきます。学生の多様性が増すことで、より多様な社会課題に対応するプロジェクトの実施が可能になると期待しています。

文理探究型2学部+理系志向1学部 情報系3学部それぞれの特徴は

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―文理探究型の2学部では、それぞれどのような内容を学ぶのですか。


まず情報デザイン学部は、マネジメント、マーケティング、金融、ITの4分野を融合的に学ぶ経営情報学科と、環境に配慮しながら情報、経営、文化、芸術などを学び、持続可能な社会システムをデザインする環境デザイン創成学科で構成されます。例えば、ロボットやAIを活用したスマート農業の社会実装プロジェクトを考えると、ロボット・AIの開発は理系志向の技術者の役目ですが、新商品やレシピの開発、Webでの宣伝など、技術を活用したビジネス構想や、実際に行われるビジネスのマネジメントなどが経営情報学科の役割になります。そして、そのビジネスが環境に配慮しており、持続可能なものであるかを考えていくのが環境デザイン創成学科の役割です。

また、メディア情報学部は、メディア情報学科と心理情報デザイン学科の2学科からなります。メディア情報学科が主に取り扱うのは、CGや映像・音楽、Web、XR(※)など各種のメディアテクノロジーです。これは今非常に発展しており、例えば医療の分野では患者の表情を伝えることで遠隔医療に活用されたり、教育の分野ではアニメーションやCGにより視覚的に教育効果を高めるために活用されたりしています。一方、心理情報デザイン学科で学ぶのは、人間の心と脳のメカニズムです。感動する、ワクワクするという人の心の動き、今風に言えば“エモい”、“映え”といったものをデータとして分析していきます。
※ XR=エクステンデッド・リアリティまたはクロス・リアリティ。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などの先端技術を包括した総称。

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―もう1つの情報系学部である、情報理工学部についても教えてください。

情報理工学部はハードウェアやソフトウェア、情報セキュリティなどを取り扱い、高度情報技術者を養成していく情報工学科と、生成AIや自然言語、データサイエンスなどの先端技術を学んでいく知能情報システム学科、そしてそれらの技術を実装して実際にものづくりなどを行うロボットを創造するロボティクス学科から構成されています。通常、情報理工学部では情報技術と先端技術を深く学ぶケースが多いですが、それらを実際に活用するためのロボティクス分野と融合していることに本学ならではの特徴が表れています。文理探究型の情報系2学部及び基幹3学部と協働しながら、ロボットを介して学んだ情報技術を実際に産業に活かすところまでを、学内のプロジェクトとして行うことができるのです。

―ありがとうございます。今回の学部再編のことが良く分かりました。最後に、高等学校の進路指導教諭の方々へのメッセージをお願いします。

本学は技術者中心の工業大学から、文理の枠を超えて共創する総合大学へと生まれ変わります。自身の専門分野を学ぶことに加えて、それを他の専門家と協働しながら社会に役立てていく経験をたくさん積むことができるでしょう。また、科学的根拠に基づいてポジティブになれる方法を学ぶ、「実践ウェルビーイング」などの科目も全学共通科目として用意しています。前向きに元気をもって、周囲とコミュニケーションをしながら問題解決に取り組むことのできる、いわば人間力を高めることができる大学であることを、ぜひ知っていただきたいです。

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