安田理氏に聞く 今注目の学校
二松学舎大学附属柏中学校・高等学校
主体的に生きる力「自問自答力」で未来を切りひらく
建学の理念に「自国の文化を正しく理解し、母国語を正しく表現できる真の国際人の養成」「異なる文化・歴史を理解し、多様な価値観を認めようとする視点を養成」を掲げ、これからの時代に求められるグローバル人材の育成を目指している。教育の柱としているのが「学力の向上」と「人間力の向上」だ。
学力の向上では、一人ひとり丁寧に働きかける学習指導を行い、生涯にわたって役立つ問題解決力と自ら考える力を身につける。主体的な学びを強化するためにICT機器を活用、生徒全員が学習システム入りのタブレットを持ち、資料配布や動画教材の視聴、校外学習などに利用している。
人間力の向上は「自問自答」をキーワードに、自分自身と向き合う、自分の適性を理解する、人間関係をつくるコミュニケーション能力を養う、そして今後訪れるさまざまな想定外の状況にも前向きに取り組める強い心を育てることを目指す。その原点となるのが『論語』だ。中学では週2日、素読・暗唱を行い、高校では週1時間、英訳入りのオリジナルテキストを学ぶ。声に出して読み、その精神に触れ、体にしみこむほどに学ぶ『論語』の知恵は、社会に出てから生きてくるはずだ。
中学では、自ら問題を見つけ自ら解決する力を養うために、体験を重視した「自問自答プログラム」を設定している。校外で沼の教室、田んぼの教室、雪の教室、都市の教室、古都の教室、世界の教室を開講し、文明や社会、自然と人間の関わりを考え、体験を通してグローバルな視野と自問自答力を育んでいく。3年次には個人で探究論文作成とプレゼンテーションに取り組む。学ぶ楽しさを味わうとともに、自分の成長を実感できるプログラムだ。
安田理氏からのコメント:中学段階から独自のかたちで 『探究』を実践
今年度から始まった高校の新学習指導要領では「探究」が最重要視されているが、二松学舎大学附属柏はそれを中学段階から「グローバル探究コース」「総合探究コース」というかたちで実践している。従来から行っている「自問自答プログラム」はそれこそ「探究学習」そのものである。
「論語教育」で全国に知られる学校だが、このように時代の動きにも敏感である。思わず「故きを温ねて(ふるきをたずねて)新しきを知る」という故事成句が浮かんでしまう。
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二松学舎大学附属柏中学校・高等学校
〒277-0902 千葉県柏市大井2590
電話 04-7191-5242
安田 理(やすだ おさむ)
安田教育研究所代表。東京都出身。早稲田大学卒業。
大手出版社にて雑誌の編集長を務めたあと、2002年安田教育研究所を設立。