聖学院大学は6月27日、大学説明会を開催し、「これからの時代に必要な力を育む大学教育とは」をテーマにパネルディスカッションを実施した。登壇者は、共愛学園前橋国際大学の大森昭生学長、聖学院大学の小池茂子学長、八木規子副学長。
冒頭、小池学長は聖学院大学の歴史と理念を紹介した。同大は1988年設立、3学部5学科、3研究科の大学院を擁し、現在の学生数は約1600人。授業は50人規模、ゼミは10人以下と少人数教育を徹底し、学生一人ひとりに目が届く環境を整えている。「大学進学率が60%に近づき、大衆化した今こそ、知識だけでなく、人としての成長を重視する教育が求められている」と小池学長は語る。
続けて大森学長は、「学生の幸せにコミットすることが大学の使命」と強調する。同大学では“GLOCAL”と“WELL-BEING”を教育理念に掲げ、アクティブラーニングを教室外で展開。地域社会と連携し、学生が実社会の課題に取り組むことを重視している。「今の大学教育は、単なる知識の獲得では不十分。自分で課題を見つけ、仲間とともに解決していく力=コンピテンシーが必要」と語った。
八木副学長は、文部科学省が定める「学士力」を聖学院大学として再解釈し、各学科が育成する力を時系列で可視化している点に言及。キリスト教主義に基づき、人間力と社会貢献の意識を育てる教育を行っていると述べた。
聖学院大学の地域と連携した学びの具体例も紹介された。政治経済学科では埼玉中小企業家同友会と連携し、経営者を招いた授業を実施。来年国際文化学科に名称変更予定の欧米文化学科では、川口市の多国籍団地でNPOと協働し、学生が仮説を立てて調査研究に取り組んでいる。大学院では、県内自治体や釜石市との協定により、公務員のリスキリングを支援する学び直しの修士課程も展開している。
入試も学生の可能性を重視した制度が導入されている。「アンバサダー入試」では、高校卒業後に大学の「大使」として活躍することを期待する学生を選抜。プレゼン、口頭試問、面接を通じて人物を多面的に評価する。また講義方式では、入試当日に社会問題に関する講義を聴講し、ノートを取りながら理解を深め、その上で「自分ならどうするか」を面接で発表させる形式が採られている。
2023年には学生の総合相談窓口「フィリア」も開設され、学生生活の不安や悩みを受け止め、必要な支援に繋ぐ体制も整っている。キャリアサポートセンターでは1年次から個別面談を継続し、学生が将来を主体的に考える機会を支えている。
小池学長は最後に、「入学した学生は、声をかけられ、覚えられ、ときに愛をもって叱られる経験の中で、自信をつけていく。そのような成長の場を大学として提供していきたい」と述べ、説明会を締めくくった。