【短大の魅力教えます!】資格取得、4年制大学への編入学など・・・
写真=京都経済短期大学
短大には、大学とは異なるさまざまな特徴があります。たとえば、進路に直結した効率的なカリキュラム、多様な進路、少人数教育など。さらに、社会のニーズに柔軟に対応した学科やユニークなコースも増えています。フレキシブルな教育を展開して、社会で即戦力となる人材を育成しています。ここでは、大学とはひと味違う短大の魅力を紹介します。
1.短期大学と大学ってどう違うの?
学校教育法には、短大は「職業又は実際生活に必要な能力を育成する」ことを主な目的とする「大学」とあります。4年制大学とは異なる固有の目的を持った「大学」である、と位置づけられているのです。
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また、2019年度からは、専門職短期大学が開学しました。なりたい職業に直結する、理論と実践の両方を学べる新しいタイプの短大です。
2.短大ではどんな資格が取れるの?
3.短大LIFEは多忙でも充実の日々
短大生は、ハードなキャンパスライフを送っているのが現実です。2年(3年)という短い修業期間で、実践重視のカリキュラムが組まれているからです。授業は毎日びっしり、また実験・実習の準備が多く、レポートの提出もあります。さらに、資格取得のためには、自主的な学習も必要です。クラブやサークル活動に参加する時間もとれないようですが、将来の目的に向かって勉強している人にとっては、効率的で充実感のある毎日を送ることができます。小規模な短大が多いので、同じ夢を追いかける仲間同士のつながりが強く、ともに資格・検定の勉強に励み、切磋琢磨しているようです。
4.短大生の就職状況
短大卒業生の就職状況は悪いのでは、と思われがちですが、表のように、就職率(卒業者数のうち就職者総数の占める比率)は4年制大学卒業生を上回っています。
就職活動サポート
自己分析やキャリアプラン作成のサポートにはじまり、職種・資格別ガイダンス、SPI(適性検査)対策、面接実習、マナー講座など、各短大でさまざまな就職支援プログラムを実施しています。4年制大学に比べて少人数なこともあり、学生一人ひとりに応対し、丁寧な指導を行う短大がほとんどです。
5.卒業後は4年制大学への編入学、短大専攻科への進学の道もある
編入学
4年制大学の3年次または2年次に入学する方法が編入学です。必要な単位を取得していれば編入学試験を受験できますが、学科によっては関連学科の出身者に限る場合もあるので、注意が必要です。短大で修得した単位が既習単位として認められるので、大学では残りの単位を修得すれば卒業要件を満たすことができます。
併設大学への編入では、学科試験の免除や学費の減免など、優遇される場合もあります。
専攻科への進学
短大での勉強をよりスムーズなかたちで継続するためには、短大に併設された専攻科に進む選択肢があります。徹底した少人数教育で、より高度な知識と技術を身につけることができます。
専攻科では、本科で取得できない資格、例えば看護系では助産師、保健師などの受験資格が得られることも大きな特色です。また、文部科学省の一機関である学位授与機構から認定を受けた専攻科であれば、学士の学位を取得することができます。短大で学んだことを無駄にせず、さらに高い専門性を身につけられるところが、専攻科の利点といえるでしょう。
6.多様な入試方式をチェックしよう
パンフレットを入手するなど、早めに受験準備に取りかかることが大切。来校型のオープンキャンパスは、ほとんどの短大が事前予約制なので早めにチェック。オンライン型も活用しましょう。
少子化の影響や、女子の4年制大学志向により、短大受験は易化しています。しかし、実践的な技術が身につけられたり、就職に直結する資格を取得できる学科は、4年制大学に合格するよりも難しいケースがあります。
幼稚園教諭免許と保育士資格がダブル取得できる短大もある保育系学科は、人気が高く、入試方式によっては高倍率となる場合もあります。
ほとんどの短大では一般選抜の募集人員は少なく設定しているので、学校推薦型選抜(旧:推薦入試)や総合型選抜(旧:AO入試)がおすすめです。募集人員の大半を学校推薦型選抜と総合型選抜にあてている短大がほとんどです。学校推薦型選抜には「指定校推薦」、高等学校長の推薦が必要な「公募推薦」、自分をアピールする「自己推薦」があります。総合型選抜は入学したい意欲をアピールする入試。オープンキャンパスや説明会への参加が必要となるので、早めに準備をしましょう。また、大学入学共通テスト利用選抜を行う短大も多くあります。科目は、1〜2科目の短大がほとんどです。一般選抜において1科目判定を行う短大もあります。各入試の併願の可否、選考方法などをよく調べて、自分に合った入試方式で挑戦しましょう。
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あらゆる学生のニーズに応え、長期履修制度を設けている短大・学科もあります。あらかじめ申請しておけば、通常の課程を延長して学ぶことができます(年数の上限は短大ごとに異なる)。学費は通常と同額です。有職者や経済的事情のある人、ゆっくり学びたい人などにぴったりな制度です。
このほか、短大の魅力は、大学よりも修業年限が短いので、その分学費が安く済むところです。そしてもっと勉強したくなったら4年制大学へ編入、留学、さらには大学院進学など、フレキシブルな進路選択が可能です。
4年制大学編入でステップアップ!
以前は、短大卒業後は就職するのが当たり前でしたが、4年制大学へ編入する道も選択できるようになりました。もともとは就職するつもりで短大に入った人でも、学ぶうちに、“もっと学問を掘り下げたい”という気持ちがわき、編入にチャレンジしています。このほか、“短大で取得した資格のさらに上級の資格を取りたい”というように、さらなるスキルアップを目指して大学編入を選ぶ人も多く、就職に次ぐ進路として、定着しています。
かつては、併設大学への編入が一般的なルートで、併設短大生にのみ与えられた特権でした。しかし現在では、大学で編入学定員を設けることが可能となり、すべての短大生に門戸が開かれています。
私立大学では、ほとんどの大学で編入学試験を実施しています。ただし、学部・学科によっては実施していなかったり、年度によって募集しない学部・学科もあるので、よく確認しておくことが大切です。
編入学試験は、国公立大学、私立大学ともに、主に9月から12月にかけて実施されます。2月または3月に試験を行うのは、明治大、立教大などです(2022年度参考)。
試験科目は、主に専門科目と外国語。論文や面接、口頭試問などを課す大学もあります。試験の内容は専門的で、大学での学習に必要な深い専門性が問われます。
一般入試よりも入試科目が少ない分、勉強の負担は軽いといえるかもしれません。ただし、編入学定員は少ないので、人気のある大学・学部の試験は、激戦となります。
協定校・指定校推薦が有利
編入の方法は、「自主応募」のほか、「併設大学への優先編入」「協定大学・指定校推薦」などの制度もあります。
在籍する短大が大学から指定校依頼を受けていたり、協定・提携を結んでいれば、書類選考と面接・小論文などの選考だけで進学できます。
併設大学への内部進学
併設大学(系列大学等)への内部進学については、多くの大学で優先編入枠を設けています。
内部進学の場合、他短大出身者よりも有利に扱われるところもあります。なかには、選考方法の一部を免除したり、短大の学長の推薦があれば、書類選考のみで進学できる大学もあります。
このほか、併設短大のメリットとしては、入学金の免除・減額や検定料の免除、他短大出身者よりも単位認定が有利、といったことが挙げられます。また、短大在学中に併設大学の授業を履修でき、編入後の単位に認定される大学もあり、編入を視野に入れた学びが可能です。
“学びたい”意欲をサポート
ほとんどの短大で、編入学希望者をバックアップする態勢を整えています。
ガイダンスから始まり、募集大学の情報提供、パンフレットの発行、受験相談、編入合格者による体験報告会、試験対策講座(外国語・専門科目)、論文指導、面接指導など、多彩です。専門の部署や編入を目的としたコースを設置している短大もあります。さらに、編入対策の授業を単位認定の選択科目として組み込んでいるところもあります。大学に比べると短大は小規模なため、一人ひとりにきめ細かな指導をしてくれます。なかには、編入用の自習室を設けたり、マンツーマンで外国語や論文などを指導する短大もあります。最近では、対面だけでなくオンラインでの指導を行うところもあります。
このように、多くの短大では、学生のニーズに応え、親身になってサポートしてくれます。ただし、合格を手に入れられるのは、自分で努力した人だけ。ただ単に大学に行きたい、という漠然とした動機だけでは努力は続けられません。大学卒業後の就職や大学院進学まで視野に入れて大学を選び、編入学にチャレンジしましょう。