地域と生徒が繋がる学びの場!多摩大学聖ヶ丘高等学校の超実践型探究プロジェクト「街なかプレゼンテスト」

中学・高校情報 文 秋岡達哉(大学通信)
地域と生徒が繋がる学びの場!多摩大学聖ヶ丘高等学校の超実践型探究プロジェクト「街なかプレゼンテスト」

多摩大学聖ヶ丘高等学校では、探究学習の一環として「街なかプレゼンテスト」が実施されています。これは、生徒たちが自ら設定したテーマについて深く探究し、その成果を学校の外、つまり実際の街のなかで、一般の聴衆や地域の方々に向けて発表するというユニークな試みです。従来の教室内での発表と異なり、通りを行き交う人々の前でリアルな反応を受けながらプレゼンテーションを行うのが特徴です。今回、この「街なかプレゼンテスト」を現地で見学させていただきましたので、その際の生徒たちの様子をレポートいたします。

小田急・京王多摩センター駅前のパルテノン大通りを歩いていると、高校生たちがチラシを手に「街なかプレゼンテーションやっています。お時間がありましたら、ぜひ話を聞いていってください。」と、通りを行き交う人たちに積極的に声をかけている姿をみかけました。恥ずかしそうにチラシを配る生徒、テキパキと配布する生徒など、対応は様々でしたが、全員が「街なかプレゼンテスト」を成功させるために懸命に呼び込みをしていました。

会場となる通路の両サイドには、ポスターやフリップを設置したブースが並び、各ブースに生徒が3、4人ずつ配置されていました。生徒たちは緊張感をもちながらも、活気に満ちた様子で発表ブースに立ち、行き交う人々に対して大きな声でテーマへの関心を呼びかけます。そして、立ち止まってくれた一般市民を丁寧に迎え入れ、自らの研究を通じて導き出された、多摩市の抱える課題解決のための様々なアイデアを、堂々とプレゼンテーションしていました。

地域と生徒が繋がる学びの場!多摩大学聖ヶ丘高等学校の超実践型探究プロジェクト「街なかプレゼンテスト」

地域社会との連携 学校と街が一体となる教育

プレゼンテーションの内容は、地域社会の課題、環境問題、歴史・文化研究、地元商店街の活性化など、多岐にわたります。どのテーマにも共通していたのは、生徒たちが自ら課題を見つけ、深く掘り下げた主体的な研究の成果であるということです。どの発表からも、真剣に多摩市をより良くしたいという強い思いが溢れていました。また発表は、一方的な説明に終始せず、「これについてどう思いますか?」「あなたの暮らす街ではどうですか?」といった質問を投げかけ、聞き手を巻き込む対話形式でプレゼンテーションを進める生徒の姿が多く見られました。

特に印象的だったのは、発表中に通行人から「それはどうして?」「具体的には何をすればいいの?」「このほうがより効果的なのでは?」といった質問や意見が出た際の対応力です。予期せぬ質問に対しても、慌てることなく、しっかりと自分の言葉で考えを述べたり、資料を基に説明を加えたりする様子から、生徒たちのテーマに対する深い理解と、そこから生まれる自信が強く感じられました。

地域とのつながりから生まれる成長 生徒の意識の変化

この「街なかプレゼンテスト」は、教室の中での発表と異なり、不特定多数の人々、すなわち多様な年齢層や職業の聴衆を相手にするため、生徒たちにとっては大きな挑戦となるでしょう。この学校の取り組みについて、最後に「街なかプレゼンテスト」の企画者でもある入試対策部長の出岡(いずおか)由宇先生に、お話しを伺いました。「街なかプレゼンテストを企画したきっかけは、一言でいうと面白そうだったからです。生徒たちが先生の手を借りずに、主体的に研究し、全く面識のない一般市民にプレゼンテーションする。こんな面白そうなことないですよね。地域住民の方とディスカッションする中で、時には聞いてくださっている方を怒らせてしまうようなこともあります。しかし、全く面識のない人に対して、自分の考えを堂々と発表し、相手の方と懸命にディスカッションすることによって、生徒の社会参画意識は飛躍的に向上します。このプレゼンテストを経験すると、生徒たちは自信を持ち、劇的に変わっていくのです。多くの生徒が『最初は緊張したけれど、知らない人に興味を持ってもらえて嬉しかった。』『教室での発表とは異なり、リアルな反応や厳しい意見を聞くことで、自分の研究やテーマの課題点が明確になった。』といった前向きな感想を述べていました。たとえその研究内容が間違っていたとしてもいいのです。地域住民に間違っていると指摘され、鼻っ柱をへし折られる。世の中そんなに甘くないことを思い知らされるわけです。しかし、そのすべてが良い経験になります。早いうちにこういった経験をすることは大変重要です。間違えに気づき、そしてまた再度立ち上がって研究すればいいのです。そういった生徒たちを全力でサポートするのが、私たち教員の仕事ですから。」

この「街なかプレゼンテスト」の経験は、単なるプレゼンテーション技術の向上に留まらず、より深い教育効果をもたらしていることが伺えます。生徒たちは、社会の一員としての実践的なコミュニケーション能力を磨き、地域住民などからの多様な意見を受け入れる柔軟性、そして何より自分自身の考えを社会に発信する力を育む、極めて貴重な機会となっています。このテストを通して、生徒たちは未来の社会で活躍するための確かな一歩を踏み出していると言えるでしょう。

地域と生徒が繋がる学びの場!多摩大学聖ヶ丘高等学校の超実践型探究プロジェクト「街なかプレゼンテスト」