写真=IT企業を会場にプログラミングを学ぶ広尾学園テックキャンプ
いつの時代も難しいのが学校選び。わが子にあった学校に進学させるために、役立てたいのがエキスパートの意見だ。首都圏の学習塾にアンケートを実施し、312学習塾の塾長、教室長から回答を得た。項目別に学校を5校連記で記入してもらい、最初の一貫校を5ポイント、次を4ポイント……として集計した。
1位は広尾学園。昨年に続いてトップとなった。「次世代を担う生徒たちにふさわしい環境と機会を提供する」というミッションのもと、英語教育やサイエンス教育に力を入れるとともに、ICTを活用した教育環境の充実を図っている。Google Workspace for Educationを中心に授業での教材配布や課題提出はもちろん、Web上の映像授業を予習に用いたり、自己管理ツールで定期試験の振り返りを行ったりするなど、学校生活におけるICT活用は欠かせない。また、創造的な活動の場として生徒の自主活動を支援する「ICTルーム」では、3Dプリンタや大型のレーザーカッターなどを設置。化学、生物、物理の3分野に設置された「サイエンスラボ」には大学レベルの最新設備が揃っている。
2位は工学院大附。先進的なICT教育を基盤としたKGI(Kogakuin Global & ICT・IBL)教育を柱に、工学院大学との包括的連携に基づく教育環境を整え、先端数理情報工学を核とした中高大院連携で行う「K-STEAM教育」を推進。隣接する工学院大学・八王子キャンパスの施設の一部を利用でき、ラボでの実験授業や、大学教授による特別講座、探究論文のための研究室訪問といったプログラムも充実している。また、3Dプリンタや3Dスキャナ、大型モニタや可動ボードなどを設置した「MakeRoom」や「Fabスペース」では、マインクラフトや3Dモデリング・プログラミング、映像・音楽・デザイン制作など、生徒の柔軟な発想を形にする経験を積むことができる。

工学院大学附属中学高等学校
3位は芝浦工業大柏。昨年7位からのランクアップだ。同校は、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)第1期、第2期に続き、2024年より第3期指定校として、理数教育や探究教育のさらなる推進・強化を目指す。第3期SSHでは「自律的活動力」「問題発見力」「問題解決力」「研究基礎力」の4つを「SSコンピテンシー(芝浦サイエンスコンピテンシー)」と定め、これらを育むためのカリキュラムのもと、ICTを活用した探究活動や研究活動を行っている。学生生活や授業においては、Google Workspace for Educationのほか、主体的・協働的な学びを促進するツールとしてschool Taktを導入。相互に学び合う活動を通して、互いに学習意欲を高め合う環境が整っている。
4位は開智未来。開智学園の2番目の中高一貫校として、「教育開発」をコンセプトに開校した。「Inquiry=探究活動」「International=世界水準の英語発信力」「ICT=つなげる知能としてのICT」を表す「3I’s」を教育の柱に、開智学園が共通で掲げる「国際社会に貢献する心ゆたかな創造型発信型リーダーの育成」を目指す教育を行っている。ICT教育においては、モラルやマナーを学んだ上でデジタルリテラシーを身につけ、300人が独習できる「アカデメイア」や「質問スペース」など独自の学習環境を整備。1年間の学びの総仕上げイベントとして、中学1年から高校2年までの各学年代表の生徒がICT機器を駆使した日本語や英語のプレゼンテーションで競い合う「未来TED」を毎年開催している。
5位は市川。第1〜3期に続いて、2024年よりスーパーサイエンスハイスクール第4期指定校として、全学年で実験を中心とした学習活動を行うほか、高2の理系選択者には全員必修で行う探究的・課題研究カリキュラムを提供している。また、中学3年から一人一台のタブレットPCを貸与。英語ではネイティブスピーカーによるマンツーマンでのスピーキングトレーニング、理科では実験の様子を動画や写真で撮影し、その後の検討や分析、試験前の復習を行うなど、さまざまな学習の場で活用している。さらに、Classiやschool Takt、Libryなどのアプリケーションを充実させることで、学習活動だけではなく、課外活動における情報共有など、生徒の自主的な活動にもICT機器を有効に活用している。
6位は桜丘。2014年より一人一台のタブレットPCを導入。授業中の資料共有や課題提出はもちろん、放課後の個別指導ではAI(人工知能)を用いて生徒一人ひとりの苦手分野を分析し、効率の良い学習に役立てるほか、ポートフォリオに蓄積された学習記録を通して1年間の振り返りなどを行っている。通学時や自宅での個別学習でも活用し、英語では音声録音機能を利用した個別指導も行っている。また、部活動では動画の撮影や記録の蓄積、作品をタブレットで作成するなど、それぞれの活動に合わせて幅広く利用されている。また、外部講師を招いてSNSを中心としたネット・リテラシーに関する講習会を実施。生徒がICTを正しく使いこなし、自らの可能性を広げられるように指導している。
<表の見方>
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首都圏の学習塾にアンケートを実施し、312学習塾の塾長、教室長から回答を得た。項目別に学校を5校連記で記入してもらい、最初の一貫校を5ポイント、次を4ポイント…として集計した。
無印は公立、◎印は私立を表す

