探究と創造が交わる、発想の新拠点
探究型学習を重視する三田国際科学学園では、生徒の発想力と創造性を引き出す新たな拠点として、新ラボ棟「Zero to One(ゼロワン)」を今秋竣工した。
10月25・26日に開催された学園祭「MITA International Festival」では施設が一般に公開され、多くの来場者が足を運んだ。
名前の由来は、“0から1を生み出す空間”。
学園は既に大学レベルのサイエンスラボやカルチャーラボを複数保有しているが、この新ラボ棟「Zero to One」は、理科室や実験室とは異なり、考える為に足を向ける“発想の拠点”となるべく生み出された。
生徒が一人で思索にふけったり、仲間と議論したり、多様な考えるスタイルに合わせた空間が、3階建ての施設の各所に築かれている。
学園祭当日は、この「Zero to One」の各階で生徒たちによる研究発表が行われた。
1階では、中学3年生の基礎ゼミナールによるポスター発表が並び、日常の疑問から出発したユニークな研究が来場者の関心を集めた。
2階では、メディカルサイエンステクノロジーコース(MSTC)の高校生たちによる研究成果の発表が、ポスター掲示、来場者へのプレゼンで披露され、その専門性と完成度の高さに驚かされた。

生徒たちのプレゼンにおいて印象的だったのは、どの発表も「うまくできました」で終わらず、課題や今後の改善点までを自ら語っていたことだ。
結果だけでなく“学びの過程”を重視する姿勢は、同校の教育理念そのものを映し出しているように感じられた。
そして3階では、水中ドローンや二足歩行ロボットなど、生徒たちの創意工夫が詰まった作品が展示された。

このフロアには、ソファや焚火のオブジェを備えたユニークなリラックス空間も設けられている。同じスペースには、発想のメモや議論に用いる移動式のホワイトボードも多数設置されている。そのひとつには「何を言ってもいい」「人を否定しない」「聞いているだけでもいい」と書かれていた。そのメッセージが象徴するのは、自由な発想と相互尊重を大切にする学園の文化だ。

「Zero to One」は、生徒が主体的に考えたり、仲間とともに新たな価値を生み出すための“発想の拠点”。ここから生まれる探究と創造の連鎖が、三田国際科学学園の未来、そして新しい教育の形をさらに広げていくだろう。
